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第46話 捜索!

 

 辺りは男の子と女の子が仲良く手を繋いで文化祭を楽しむ姿や、友達同士で楽しそうにする姿、お店の当番を少しめんどくさそうにしながらも同じ当番の人と話す人。


 今日の文化祭で色んな楽しさが溢れている。

 そんな中を僕は会長を探して走る。

 あの人の事だからあんな状態でも見回りをしたり、イベントに参加したりしているに違いない。


「あの、生徒会長見ませんでしたか?」

「ううん、見てないなぁ」


 色んな人に会長の事を聞いていくが、全く情報が集まらない。

 あんな目立つ人なのにここまで情報が集まらないのは奇跡に近い。

 まさか、情報操作でもしてるのか?


「くっそ…ほんとどこ行ったんだ?」

「あれ?真也、どしたの?そんなとこで」

「あ、要くん」


 ニコニコと笑顔を振りまきながら、女の子を周りに付けて僕の所に近づいてくる。

 宮地さんの件は秘密だからしょうがないけど…これは大丈夫なんだろうか?


「ちょっと会長を探しててね」

「綾ちゃんを?……ふ~ん」

「うっ、そのニヤニヤする顔は止めてほしいかな」

「あ~、皆!ちょっと俺、真也と話したいから皆でどっか遊んできてよ」

「えぇー!要くんが居ないと面白くないよー」

「いいからいいから。俺も男友達を大切にしたいんだって。じゃ、また~」


 止めて…、女の子たちはブーブーと文句を要くんに言いながらも、笑顔を振りまく彼には反論できず、僕に対して物凄い怖い睨みを利かせてくる。

 それも要くんには見えないようにしてくる辺り、女の子ってのは本当に怖い生き物なんだと思い知らされる…。

 僕と要くんは離れていく女の子たちを見届けた後、少し歩いて人気のあまり無い所で立ち話を始めた。


「それで?どうして綾ちゃん探してんの?」

「いや…ちょっと仕事の内容で」

「あーそんな嘘は言わなくていいって。何何?喧嘩でもしたの?」

「……まぁ少しだけど」

「おぉー!それで何の喧嘩?」

「会長のやり方にちょっとムカついて…治そうとしないから、副会長を止めると…」

「綾ちゃんはどしたの?」

「無言だっ…たけど…って、止めない?すっごい恥ずかしいし悲しくなるんだけど」


 何が悲しくてこんな話をしないといけないんだろ…。

 要くんは凄く楽しそうな顔をしながら「それでそれで?」と子供のように質問攻めをする。

 本当は全然話したくないけど、要くんは会長と姉弟だし、良いアドバイスを得られるかもしれない。

 何より、僕より全然経験値がある。

 僕は恥ずかしさを抑えながら、どうしてこうなったのか、岩瀬先輩に言われたことを要くんに話すと「なるほどね~」と腕を組みながら頷いた。


「まぁあの人はそういう人になっちゃったわけだし、しょうがないっちゃしょうがないかな。

 とりあえずさ、もう告白しちゃえばいいんじゃないの?」

「…はい?」

「この際だから言っちゃうけど、綾ちゃんは絶対真也に気があると思う」

「はい?はい!?!?」


 予想もしてなかった発言に思わず要くんの胸倉を掴んでしまう。

 さすがの要くんも僕の行動は予想外だったのが、ビックリしたらしい。


「ちょ、ちょっと落ち着いて…」

「ご、ごめん。急に変なことを言うから思わず」

「いや、冗談じゃないんだけどね。だって普通、見舞いする?嫌いな奴の」

「しないと思うけど、僕一応副会長だし」

「鈍感…。それマジで言ってる?」

「……そ、そりゃ少しは思ったけどさ」


 だけど、それは自分が勝手に思っただけで、あの会長の事だから単純に心配だったから!とか言いだしそうだし…。


「まぁ俺も綾ちゃんが真也の事、好きなのかは知らないよ?ただ気はあるなぁってのは分かる。それで、真也は綾ちゃんの事、大好きなんでしょ?」

「だ、大好きって」

「そんな恥ずかしがる事でも」

「ご、ごめん。…でも、うん。好きなのは確か…だと思う」

「ハッキリしようよ…いつまでもそんなのだと鈍感な綾ちゃんは絶対に気が付かないと思うよ。そうだ!良い事思いついた」

「………」

「そんな疑うような顔しなくても大丈夫だって。そうだな、今日の夜のキャンプファイヤーあるからその時にでも」

「いやいやいやいや、告白とかしないよ?それよりも謝って元通りにしたいだけだから」

「告白じゃないって、大丈夫」


 要くんはこれから起きるであろう“何か”が楽しみで仕方がないと言ったような顔をしながら僕の肩に手を置いた。




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