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第37話 元気出ない・・・

 

「ふぁぁぁ~……眠い…」


 会長の居ない静かな生徒会室で、昨日買った最新のスマートフォンを触る。

 買い変えた理由は前の携帯が洗濯機の中でメリーゴーランドされて完全に水没したから。

 それにしても、スマートフォンは文字が物凄く打ちにくそうだと思っていたけど、いざ操作してみると結構打てるからビックリだ。

 そして、アプリがたくさんあるため時間つぶしには持ってこいの道具かもしれない。


「綾乃~…っと、あれ?犬塚くんしかいないの?」

「会長は今、校長先生に呼ばれて校長室ですよ。岩瀬先輩」

「ふ~ん。あ、そうだ、この前の守る会の件ありがとう。なんとか静かにしてもらったよ」

「あれ僕じゃないです。要くんですよ」

「でも手伝ってくれたんでしょ?さすが綾乃が認めた副会長だよ」

「まぁ別に良いですけど」

「なんかいつもと感じが違うねぇ、犬塚くん…ってありゃ最近CMをガンガンやってるスマホじゃない」

「昨日買い変えたんですよ。あ、そうだ。岩瀬先輩メルアド送ってくれません?」

「アドレス帳移さなかったの?」

「完全水没しちゃって移せなかったんですよ」


 岩瀬先輩は馴れたようにスマートフォンを操り、メールを送ってくれる。

 スマートフォンに馴れるとあんな早くできるのか…。

 岩瀬先輩のメールが届くと僕は悪戦苦闘しながら何とかアドレス帳に登録を完了する。

 これであとは会長のを聞けば、なんとかなる。


「それにしても…私にもそろそろ聞かせてほしいなぁ」

「何をですか?」

「体育祭の終わりに綾乃とデートに行ったんだって?」

「あぁ…はい」

「ありゃ、すんなりと認めるのね。てっきり誰から聞いたのか?とか他の人は知ってるのか?とか言うと思ってたのに」

「いや、どうせ会長からでしょう?聞いたの」

「そうだけど。ん~なんか面白くないなぁ、いつもの犬塚くんらしくないよ?なんかあったの?」


 岩瀬先輩は珍しく心配そうな顔をしながら僕の横の席に座る。

 たぶん…いや、僕がもし会長に惚れてなかったら、今ここで岩瀬先輩に惚れてしまっているだろう、というぐらい優しそうなオーラを醸し出しているのだ。

 ちょっとぐらいなら話していいかも…。


「会長のことなんですけど…」

「綾乃のこと?」

「はい。僕って会長の事何も知らないなぁって思って」

「というと?」

「体育祭の後にケーキ屋さんへ行ったのは知ってますよね?」

「うん」

「ケーキ屋の後に帰りましょうって言ってもなかなか帰ってくれなかったんですよね。それになんだか帰りたくないような雰囲気があって…」

「ふ~ん。いいじゃないか、お持ち帰りでき」

「そういうのじゃないですけどね」

「まぁどうして綾乃が帰りたがらないのは私知ってるよ。あ、でも犬塚くんに教えるつもりもないから」


 岩瀬先輩は近くに置かれた雑誌に手を伸ばして、僕の話をもう聞く気が無いらしい。

 少しぐらい教えてくれたって良いだろうに…。って人に言えるような内容じゃなかったら言えないか…。


「別に言えない内容では無いよ」

「頭の中読まないでください。それに言えない内容じゃないなら少しぐらい教えてくれてもいいじゃないですか」

「そういうのって信頼された相手だから話すことであって、私が言うことじゃないと思ってるから」

「つまり信頼されてないってことですか…」

「なんだかいつになく真也くんらしく無いね?」

「そうですか?」


 確かに僕らしくないような気がするけど…なんか凄く落ち込んでる…。

 それにしても、今まで結構頑張ってきたけど…まぁしょうがないか…所詮副会長なんだし…。

 自分でもあからさまに落ち込んでいる雰囲気を出していると生徒会室のドアがバンっ!と勢い良く開く。

 もちろん開けたのは会長だ。


「たっだいま~~~!!!」

「おかえり。綾乃」

「奈央どしたの?って、ワンちゃんどしたの?凄く落ち込んでるんだけど…」

「まぁ色々あるんだよ」

「???」

「あ、会長おかえりなさい。何の呼び出しだったんですか?」

「ん?ちょっとね。それよりも配布してもらうように言ってきたよ。文化祭のやつ」

「ありがとうございます。それじゃ僕はちょっと用事があるので帰りますね」

「うん。なんか疲れてそうだからゆっくりしてね?」

「はい。失礼します」

「またね」


 荷物をまとめて生徒会室を出る。

 勝手に悩んで勝手に落ち込んでしまってる自分が情けない…。


 病は気から。というけどアレは間違っていないのかもしれない。

 家に着いた頃には身体が重く、自分の部屋に入ると電池が切れたようにベッドへ身体を預けた。



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