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第32話 最終兵器???

 

「ワンちゃん!これが私の最終兵器だよ!!!」


 会長が右手に持っているのは無駄に精巧に作られたミサイル。

 そして、左手にはそれの発射ボタンらしきものが見られる。

 会長は満面の笑みで僕にミサイルを見せつけ、そして四條学園に向けるのだ。


「待っててね!これが私の力!えいっ!!!」

「ちょ!」


 会長はボタンをぽちっと押すとミサイルの小尾から物凄い音を立てながら火が噴く。

 そして、会長がミサイルを投げる。

 すると、ミサイルは学校に向かって物凄い勢いで飛んでいくのだ。


「な、なにやってんですか!!!」


 会長の手から離れていくミサイルに手を伸ばすが当然届きはせず、ミサイルは学校に向かっていった。





「うわぁっ!?!?」


 ガバッと身体を起こすとそこはいつもの僕の部屋。

 しかし、僕の額には凄い汗が付いている。

 あれだ…悪夢にうなされるとはこのことか…普段あまり見ることはないんだけど…よっぽどこの前の会長の張り切りが恐怖だったんだろう。

 それにあの発言があってから1週間は何もなし、つまり今日の体育祭で何かをやるつもりなのは見なくても分かる。

 それの証拠に昨日とか凄く張り切っていたし…こんなに学校に行くのが憂鬱な日は滅多にない。


 僕は布団から出て嫌な汗を流すためにシャワーを浴びる。

 そして、お風呂場から出ると母さんがちょうど起きてきた所だった。


「あんた、朝からお風呂なんて良い御身分だこと」

「嫌な夢を見たんだ」

「それよりも時間は大丈夫なの?」

「げっ!もうこんな時間じゃん」

「私は起きれないと思ってたからパン買っておいたわよ。行きながらでも食べなさい」

「ありがとう」


 母さんから渡されるスーパーの袋を手に持ち、自分の部屋へと向かう。

 そして、いつも来ている制服では無く、ジャージに着替えてから急いで学校へ向かった。



「あ、ワンちゃんやっときた」

「すみません、遅れてしまって」


 校門近くに行くと会長が手を振って待っていてくれる。

 その手には今朝見たミサイルなんてものは無い。

 ちょっとだけ安心しながら体育祭をスムーズに行うための資料に目を通す。

 頭の中に入れてきた内容とはいえ、確認は必要だ。

 確認し終わると会長と共に準備を始める。


「これでおっけ~かな?」

「ですね。お疲れ様です会長」


 事前準備も終わり、あとは先生たちに任せる。

 本来なら生徒会と体育委員が共同で行うはずの体育祭だが、僕たち生徒会は競技する側に立てる。

 これは先生と体育委員会からの提案だ。

 いつもイベントを立ちあげて楽しませてもらっているお礼らしい。

 ちなみにこれを聴かされたのが体育祭前の2日前。

 つまり、すべての計画が完璧に煮詰まった頃で、悪く言えばその時期を狙ったと言える。

 そりゃまぁ…計画なんてメンドクサイことをするよりも計画書に沿ってやった方が楽だけど…。


「さ~て、あとは体育祭を楽しむだけだね」

「そうですね。会長はどの種目に出るんですか?」

「私?ん~っと、100mに200mでしょ、騎馬戦に、二人三脚に、大玉転がしに、綱引きに、リレーも出てるね。あ、あと1000mも出てるよ」

「…はい?1人3競技までって決めたはずですけど?」

「ん~なんか体育委員さんがそれ無しにしてほしい。って言ってきたんだよね」

「どうしてですか?」

「さぁ?1人3競技だったら回らないとか。まぁやるしか無いんじゃないかな?皆が私を頼ってくれるんだし」

「…そうですか、まぁ頑張ってください」

「うん!頑張るよ!」


 1人2~3競技も出れば十分回るとは思うんだけど…まぁ体育委員さんたちの考えがあるんだろう。


 会長は笑顔で言いながら校舎の方へと歩いていく。

 でも、本当に全部出るつもりなんだろうか…いくら会長でも8競技も出るなんてありえない。

 会長はニコニコしてるけど、本当は嫌じゃないのか?


「あ、あの会長!」

「ん?」

「………いえ、なんでもありません」


 聞けるわけない…あんなやる気な顔を見せられたら…。

 ?マークが出ながらも校舎の中へと入っていく会長の後姿を見届けながら、少しの不安となんでもやってくれるという会長への期待がグルグルと頭の中で回っていた。


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