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第15話 よだれ…

 

「寝れなかった………」


 まだ自分の顔を鏡で見ていないけど、おそらく酷い顔だろう。

 できるならば僕の足元で寝ているこの会長の身体を踏みたい所だ。なぜならこの会長のせいで寝れなかったのだから。


 2時ごろにようやく寝てくれた会長はぐぅすかぐぅすかと気持ちよく寝てくれていたまでは良かったのだ。僕の最初の方は寝れていた。

 しかし、1時間も経つと彼女は何を思ったのか急に僕の背中を蹴ったのだ。

 トイレぐらい1人で行けよ…と思いながら目を開けると、何故か掛け布団が会長の寝ている所から1mぐらい離れた所に飛んでいて、僕の方に足を向ける会長の姿があった。

 そう、彼女は物凄く寝相が悪い。とてつもなく悪いのだ。


「ふわわぁぁぁ~…おふぁよふ~」


 よだれよだれ………。

 口の端からタラリと垂れる涎が彼女の残念度を表している。

 ほんと…こういうのを見ると人ってのは完璧じゃないんだなぁって実感できる。


「おはようございます。顔、拭いてください」

「ふわわぁぁぁぁ~今なんじぃ~」

「6時半です。そろそろ泊まってる生徒を起こしに行くんで女子の方はお願いしますね。あと行く前にコーヒーでも飲んで目を覚ましてください」

「ふぁぁぁい」


 本当に理解できたのかな…。

 コーヒーを入れたマグカップを会長の前にコトンと置いてから生徒会室を出る。

 そして、男くさい教室で寝ている人達を起こしにかかる。


「起きてくださーい!!!時間ですよ~~~」


 フライパンをカンカンと叩くことはできないので生徒会室に置かれていた拡声機で朝の挨拶をする。

 すると、最初はモゾモゾと動いていた者たちが半分キレたような顔で僕の方を睨んでくる。


「え~っと、昨日言った通り、この教室は8時までなのでそれまでに掃除して元通りにしてください。あと、シャワー室は掃除が終えてから部活を行う方のみの使用をお願いします」


 生徒達はめんどくさそうにしながらも寝ている友達を起こして動き出してくれる。

 やっぱり四條学園の生徒は素晴らしい。

 僕は頭を下げて、職員室の方へと向かう。今度は先生だ。


「失礼します…うっ…」


 く、臭い…酒臭い…。

 テーブルの上には缶ビールが5本も置かれていて、イカの食べかすも落ちている。

 確かに、普段休みの所を来て貰ったのでお酒も飲んでくれて良いと言った。しかし、これは飲み過ぎだろう…。


「先生、先生!起きてください!」

「う、…なんだ……犬塚か」

「先生、お酒臭いですよ。シャワー室はまだ誰もいませんから今のうちにシャワー浴びてきてください。こんな匂い醸し出してたら生徒から何言われるか分かりませんよ」

「お、おお。んじゃちょっくら行ってくるかな」

「バスタオルは引き出しに入ってますので」

「ああ、悪いな」


 僕ってなんか可哀そうな立ち位置かも…。

 お尻をぼりぼりと掻きながら部屋を出ていく先生の後ろ姿をそんなことを考えてしまった。



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