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第13話 ぽじてぃぶ精神

 

 まぁ予想していたと言えば予想していたのだ。

 だって、この前の抜き打ちテスト後に実施したバイキングに生徒会が今使える予算を投入したのだから。


「納得できません!!!どうして恒例行事であるクラス対抗野球の景品が出せないんですか!」

「納得も何もこの前の抜き打ちテストで使った予算が多すぎるんだ。これ以上は出せない」


 さっきからこのやり取りが何度続いてるだろう…

 会長はバンっと机を叩いて何度も抗議を唱える。校長は困ったような顔をしながらチラチラと僕の方に助けを求める

 あなたはこの学校の偉い方なのに僕に助けを求めないでください…


「このクラス対抗野球は四條学園の伝統なんじゃないんですか!」

「それはそうだが、何度も言っているようにこちらは予め予算を決めて通知しているはずだよ?」

「っ…そ、そんなの!」


 まだ引き下がらないのか…会長凄いな…

 しかし、これ以上は時間の無駄。校長も仕事があるのだ、そろそろ会長を止めよう


「校長先生、予算の関係はこちらも分かっています。しかし、今回は四條学園の伝統であるクラス対抗野球ですし、優勝商品があってこそクラスが一致団結できると思うんです」

「確かにそうだが」

「なので、こちらの意見としては何としても景品は付けたいんです」

「しかし、これ以上生徒会に予算は回せないよ」

「もちろん分かっています。予算が足りないのはこっちの完全なミスです。そこで提案なんですが、一日だけ学校に泊まるということはできないでしょうか?場所は普段使っている教室で良いので」

「んん~………難しいね。そもそも夜の学校に1クラスが泊まるわけだろう?もし何か遭った時はどうするんだい。それに誰が面倒を見るんだい?」

「生徒会で見ます。もちろん、僕たちだけというのは親御さんたちも不安だと思うので1~2人の先生も必要ですが…」

「ふむ………まぁこちらとしても景品が無いのは寂しいからね。色々と考えさせてもらうよ」

「ありがとうございます。すみません、無理を言ってしまって」

「いや、そのぐらい言ってくれた方がこちらとしても嬉しいよ。学校が賑やかになるのは楽しいからね」

「すみません。それでは良い返事がもらえることを祈っています。会長、行きますよ」


 未だに反抗を続ける会長を引っ張り、頭を下げて校長室を出る。

 とりあえず、交渉は成立だな。そもそもこっちに非がありまくりだったんだから校長もかなり妥協してくれたと考えるべきだ。

 それにあの反応を見る限り、良い方向に進むだろう。

 しかし、会長は納得していないのか生徒会室に戻っても怒りの矛先は校長から僕に移っただけだった。


「なんで!なんでよ!どうしてあんな意地悪するのさ!」

「意地悪というか…こっちに非があったわけですし」

「でも、高校生活は3年間しかないんだよ!その3年間を楽しく過ごしてほしいと思うのは誰だって」

「僕たちのお金ならいくら使っても良いと思いますけど、学校のお金を使ってることを忘れないでください。ここの学校が緩いからと言って甘えてはダメだと思いますよ」

「うぅぅ~…ワンちゃんも校長の味方なんだ」

「味方とか敵とかそういうんじゃなくて…はぁ、とりあえず今回は別の景品にしましょう。もしかしたらお金を使わずに今までの景品より良いモノになるかもしれませんし」

「うぅぅ~…絶対面白くしてやる!!!」


 この時ばかりは会長のポジティブ精神が救いだな…。

 さっそく会長は頭を切り替えて夜の学校でのイベントを考え始める。


「まず肝試しは必要だと思うの」

「はぁ…そういうのは正式に決定してから考えてください…」


 そもそも夜の学校に泊まること自体が特別な環境なんだから、それだけで十分だと思う。

 あとの事は生徒次第だろう。修学旅行みたいに恋愛話に花を咲かせるのも良し、ウダウダと遊び続けるのも良し。

 その時間を僕たちが勝手に計画していいのか?と思ってしまうけど…まぁ会長は楽しそうだからいっか…。

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