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海底

作者: 名無し
掲載日:2026/04/21

月に惑わされる愚か者と、得体のしれない海。似た物同士。

私は海が好きだよ。それは果てがなく、底も無く、誰も知らない。




私はそういう存在で良い、人目に触れず静かにそこに在るだけ。




狂月。

それが何であれ、真夜中の独りを表すのに最適だと思った。


孤高。

光も闇も恐れず、空虚であり続けた存在。



海に憧れ、空を仰ぎ、何者であるか自問自答をしていたその時間。

夜闇を愛した。世界の全てから私を隠してくれる。

何も与えず、教えず、匿う。



生きて行くことに執着は無いが死に行く理由も持ち合わせておらず、ただひたすらに静寂の夜に思いを馳せた。


感傷的になつているのかもしれない。

若しくは、黄昏ているだけなのかもしれない。

この時間に酔っているだけなのかもしれない。

結局どれでも良いのだが、相変わらず答えは得られない。

得るつもりもなかつた。



凪いだ海は、ただそこに在るだけで私に答えを返してはくれない。

私の心情に比例するように凪いでいる水面を、少し羨んでは切り離す。


夜の狂月にガラスを翳して歪んだ空は、この街の闇深さを物語つているようで滑稽であった。




貴方は何にも染まらぬ黒を選び私を飾った。

私は何処へでも行つてしまう烏であり、


貴方の御陰で何色にもならない。


知らない。どれだけ恐ろしいかは。

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