表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

恋愛疲弊




 恋愛に疲れたんだ。


 男は言った。

 世界共通の法律に賛同する多くのやつらは、恋愛に疲れたんだ。


 恋愛を成就させる事に。

 成就させた恋愛を維持させる事に。

 恋愛相手に裏切られた事に。

 恋愛相手探しに奔走する事に。

 恋愛相手から自由を、命を脅かせられる事に。

 恋愛相手と縁を切る事に。

 性交渉について悩まされる事に。

 子どもを産むか産まないか悩まされる事に。


「あらゆる恋愛問題を自分で考えて行動する事に疲れて、そして、世界共通の法律に飛びついた。自分で考え、行動しなくていい、子どもに対して責任を負わなくていい。この世界共通の法律に押し付けられているという理由の下、決められた結婚相手と、選ばれた赤子と添い遂げればいい。不平不満が出てきたとしても、やり遂げられそうな気がする。なんて。意味がわからん。自由恋愛を禁止されて、恋愛に関する押し付けを、まさか嬉々として受け入れるだなんて」

「世界共通の法律が課せられるのは、この法律が成立施行された年以降に生まれた者からだ。すでに成人のおまえには関係のない話。やり過ごせばよかっただろう。それを、大々的に反対デモを起こした。当然の報いだ」

「別に後悔はしてねえよ。あるとしたら。はい」

「私とおまえは初対面だ。その葉書を受け取る謂れはない」

「あんたが被っている看守の皮とは確かに、初対面だが。あんたとは長年の付き合いじゃねえか。なあ」


 男は鉄格子の合間に挟み込んだ葉書をゆらゆらと揺らした。

 看守は見下げるだけで、微動だにしなかった。


「早く受け取ってくれよ。それとも、警察のくせに、投獄された俺に呆れ返って他人の振りをし続けるつもりか?長年追い続けたってのに、つれねえなあ。怪盗バレンさんよお」











(2024.2.7)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ