9ー2 女傑ですか?
9ー2 女傑ですか?
わたしは、ルゥが何かを食べているのをみたことがなかった。
もしかしてルゥも何か、共喰い的なことをしてるわけ?
怖い!
怖すぎる!
もう、ホラーな想像が止まらないよ!
そうこうしているうちにフェブリウス伯爵家の別荘へと到着した。
広大な緑の草原の中にポツンと建っているそのお屋敷は、まるでスローライフな物語に登場しそうな可愛らしい外見の小さなお城だった。
「よくお越しになられました、みなさん」
わたしたちを出迎えてくれたのは、その別荘の管理人であるガゼルさんの奥さんと子供たちだった。
もと騎士団の団員だったらしいガゼルさんは、中高年にもかかわらず引き締まった逞しい体をしていることが服の上からでもわかった。
奥さんの方も、少しポッチャリ系だがすごくかわいらしい人だし。
子供たち、といってももうライザよりも年上ばかりのようだが、いかにも田舎の子供という感じで純朴そうな少年たちだ。
エミリアさんは、いつもからは想像もできないような素早い身のこなしで馬車から降りると屋敷へと歩き出す。
「明日まで世話になるわ。よろしくね、ガゼル」
「かしこまりました、お嬢様」
お辞儀をするがガゼルさんにエミリアさんがぽうっと頬を染めた。
「あら、いやだわ、ガゼルったら。もう、お嬢さまではなくってよ」
エミリアさんは、にっこりと微笑むとわたしたちに向かって宣言した。
「さあ、さくっとダンジョンを攻略するわよ!」
わたしたちは、それぞれの部屋へと案内された。
だが、ほっとする間もなくダンジョン攻略の準備を整えて玄関ホールへと集合した。
そこには、すでに銀の鎧に身を固めたヴァルキューレのような凛々しいお姿のエミリアさんがいた。
わたしは、そのとき全てを理解したのだ。
やはり、天は二物を与えない。
普段治療院で持て余されているエミリアさんじゃない!
そこにいたのは自信に溢れた女戦士だった。
うん。
たぶん、これなら竜ぐらいなら殺してるだろうな、たぶん。
今の彼女からは、それほどの覇気が感じられた。




