8ー9 心配性かよ!。
8ー9 心配性かよ!
わたしは、なぜか、親に初めてのデートの邪魔をされそうになっている女子高校生みたいな気分になっていた。
「だって、この世界のシステムとか、生活の中心であるダンジョンに一度も行ったことないなんて変でしょ?これは、遊びでもなんでもなくって社会勉強なんだから!」
「社会勉強ならうちが管理しているダンジョンがあるからそこに行くのはどうだ?」
ご主人様は、サインを書きながら目もあげずに命じた。
「週末の休暇は、くれてやる。だが、ダンジョンは、このフェブリウス伯爵家の管理しているダンジョンにジェイムズたちと行くように。わかったか、トガー」
「わかったか、トガー」
わたしは、部屋に戻るとパジャマ姿でルゥを抱き締めているライザにご主人様の物真似をしてみせると、そのままどすどすっと枕を殴った。
「ほんとに腹立つ!あの傲慢な、最低男!」
「うふふ」
ライザは、くすくすと笑った。
「お父様ったら、トガーのことが心配なんだ」
「はい?」
わたしは、ライザのことをじとっと見つめた。
心配って!
これまでだってさんざん世話を焼いてやったのは、こっちの方だろうが!
それを手足ができたとたんにこの態度!
わたしは、めっさムカついていた。
男なんて信じられない!
「わたしは、あの人の子供でもなんでもないんだって!」
わたしがうがーっと叫ぶとライザが複雑な表情を浮かべた。
「まあ、トガーが娘ならお父様もいろいろと大変そうね」
マジですか?
ライザは、ルゥをなぜなぜしながらにっこりと微笑んだ。
「わたしもトガーと一緒にダンジョンに行きたい!」
わたしは、ライザにそういわれてはっと気づいた。
そういえば、この子は、この世界の人間としてはめずらしくこの年になってもまだダンジョンに行ったことがないらしかった。
この世界では、だいたいの人は、10才の誕生日に成人の儀式を行うものらしい。
そのときにたいていは、ダンジョンへと入るらしいのだが、このライザは、まだ成人の儀式すら行っていなかった。
それは、家庭の事情というやつで仕方がなかったのかもしれないが、この子もそろそろ人並みの経験をしてもいい頃かもしれないな。




