8ー8 週末ぶらりダンジョン旅
8ー8 週末ぶらりダンジョン旅
「そうだ」
ライナス先生がはっと思い付いたという様にわたしに訊ねた。
「この週末に、わたしもダンジョンに行く用事があるんだがトガーも一緒に行ってみるか?」
「行きましょう!」
わたしは、ライナス先生に応じた。
この世界を変えるためにはこの変なダンジョンに頼りきったシステムを変えていくしかないのかも。
場合によっては、わたしがダンジョンを破壊していかなくてはならないのかもしれない。
だって、こんな便利なコンビニみたいなダンジョンに、それに頼りきった生活をしている人々。
そんなの、変!
みんな気づいてるのかな?
この女神の恩恵には、対価が必要だ。
それは、お金とかではない。
ここで人々が支払う対価は、命であり、体の1部なのだ。
そんなものが普通に必要とされている世界なんて絶対におかしいって!
「というわけで今週の週末は、休暇をとらせていただきたいのですが」
ジェイムズさんに言うとこの人らしくもなく、即答してくれなかった。
「わたしでは判断しかねますのでしばらく保留ということで」
はい?
なんか、嫌な予感中だな。
だが、わたしは、深くは考えなかった。
ご主人様は、義肢にも慣れてきていてもう、そんなにがっつりと介護が必要なわけではないしな。
ここら辺でちょっと異世界ぶらり旅と洒落込んでもバチはあたらないだろう。
まあ。
ひとり旅じゃねぇけどな!
しかし、事態は、思わぬ方向へと進んでいった。
夜になってわたしは、ご主人様に呼び出された。
ご主人様は、妙に不機嫌な様子だった。
「なんでも、あの若い医者と一緒にダンジョンに出かけたいとか言ってるらしいな、トガー」
「そうですけど」
わたしは、ベッドに起き上がって膝の上に広げられた小さなベッド用のテーブルの上でペンを持って何やら書いているご主人様を眺めていた。
「それが何か?」
ご主人様は、このところのリハビリのせいもあってじょじょに新しい手足にも慣れてきていた。
今もサインの練習をしているようだった。




