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8ー5 もう1度、冒険者に

 8ー5 もう1度、冒険者に


  手足の接続が終わるとわたしは、ジェイムズさんに手伝ってもらって車イスへと御主人様を移乗しようとしたが、それを御主人様は、片手で制した。

 「ちょっと待ってくれ」

 ご主人様は、ゆっくりと立ち上がると自分で車イスへと向きをかえて腰をおろした。

 「すごい・・・これは、奇跡です!これは!まさしく奇跡です!」

 ジェイムズさんが言葉をつまらせる。

 「ああ・・・旦那様が・・・マクシミリアン様が立たれた!」

 「そんなので驚いてんじゃないぞ!」

 クラウスさんがジェイムズさんに告げる。

 「この人は、もう1ヶ月もすれば立派にレディとダンスを踊れるようになるんだからな!」

 「ダンスを、でございますか?」

 ジェイムズさんが何やら黙り込んだ。

 そのとき、ドアが開いて残りの被験者たちがテスとローナにつれられて現れた。

 残りの被験者は2人。

 1人目は、青みがかった髪が月の光のように美しい少年だ。

 少年は、右腕と左足がなかった。

 そして、もう1人は、赤い髪の若い男だった。 

 彼は、両足が失われていた。

 2人は、一足先に義肢を身につけたご主人様を見て目を見張っていた。

 「手が・・・足が、動いている!?」

 「当然だろう?」

 ご主人様は、当たり前のことのように応じた。

 「これは、そのためのものなんだからな」

 

 わたしは、義肢の被験者たちのカウンセリングをライナス先生と一緒に行うことにした。

 かつて、一度失ったものを取り戻したことで、彼らが戸惑っていることを考慮してのことだ。

 カウンセリングは、わたしの執務室で行われた。

 わたしたちはみな、ソファに座ってお茶を飲みながらくつろいでいた。

 主にライナス先生が話をし、それに答えている被験者たちをわたしが観察した。

 その日の午後は、赤毛の元冒険者であるセツのカウンセリングがあった。

 セツは、車イスで現れたがソファには自分1人で移動してみせた。

 もう、動きたくってウズウズしているようだな。

 「ライナス先生よぉ!俺、いつ、ここを出られるんだ?」

 セツは、ライナス先生に訊ねた。

 ライナス先生は、にこにこ笑いながらセツに答えた。

 「もう1、2ヶ月といったところかな」

 「ああっ!もう、待ちきれないぜ!」

 セツは、ライナス先生に訴えた。

 「はやく、元通りの姿を昔の仲間たちに見せてやりたいんだよ!」

 セツは、にやりと笑った。

 「そして、またもう一度、冒険者になるんだ!」

 マジですか?

 わたしは、彼の言葉が信じられなかった。

 彼は、冒険者として仲間たちとダンジョンへ潜ったときに魔物に襲われて仲間をかばって両足を失ったのだ。

 にもかかわらず、ここを出たらまた冒険者をやりたいなどと言うのか?

 わたしは、苦笑した。

 理解できませんな!

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