7~10 独り身でも!
7ー10 独り身でも!
わたしは、自分を見つめているテスから目をそらすともう1人の職員に声をかけた。
「えっと、君は?」
「はじめまして、トガー様!」
テスの隣にたっていたその地味なメガネの女子は、頬を赤く染めながらわたしにお辞儀をした。
「わたしは、ローナ・フィル・ダンティスと申します。父は、フェブリウス伯爵家にお仕えしている騎士団の団長のガブリエル・フィル・ダンティスと申します」
わたしは、おどおどしているローナをじっと見つめた。
長い亜麻色の髪を後ろでひっつめて結い上げているが、まだ、たぶん若いはずだ。
なんで、こんな子がここに?
「君はなんでここに来たの?」
わたしが問いかけるとローナが口ごもる。
「わ、わたしは、実は、もう今年で23才になります」
はい?
わたしは、ローナのことを見つめていた。
23才になるとなんでこういうところで働かなくちゃいけないわけですか?
ローナは、しばらく真っ赤になって黙り込んでいた。
だが、わたしが彼女のいいたいことを理解しようとしていることに気づくと一生懸命に話してくれた。
「その、この国では、貴族の娘は、20才過ぎればいきおくれといわれるんです」
「そうなんだ」
わたしは、彼女のいいたいことが何なのかをひたすら考えていたわけだが、まったくわけがわからん!
ローナは、ゆっくりと続けた。
「その・・・この間のことです。夜中に自分の部屋で眠っていると父が突然に入ってきました。しかも、父のお気に入りの騎士団の団員たちを連れて」
ええっ?
何?
いきなりかっ!
わたしは、がばっとローネの方へと前屈みになりながら彼女に話し続けるように促した。
ルーナは、こくりと頷いた。
「父はいいました。父のお気に入りの騎士団員の妻になるか、さもなければ修道院に入れと」
マジでか?
この若さでそんな追い詰められてるの?
わたしがまじまじとルーナを見つめていると彼女は、震える小さな声で告げた。
「だから、わたしは、家を出ようと思ったのです。わたしもトガー様のように独り身でもしっかりと生きていきたいのです!まだまだ、このお仕事はよくわからないことばかりですが、頑張りますのでよろしくお願いします!」




