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7ー6 プレゼント

 7ー6 プレゼント


 義足は、完全なオーダーメイドだ。

 足の長さやらなんやら細かなところまで採寸して造られるのだ。

 そして、完成してもすぐには使えるようにはならない。

 自由に動かせるようになるには、リハビリが必要だ。

 だけど。

 この二人が今日やり遂げたことは、この世界の歴史に残る偉業だった。

 「ありがとう、トガー」

 クラウスさんが車イスに座ってわたしを見上げた。

 「あんたのおかげで俺は、自分の足を、人生を取り戻した」

 「いや、こちらこそお礼を言わなくては」

 わたしは、クラウスさんに頭をさげた。

 「今日のあんたの1歩がこの世界の多くの障害者たちの新しい未来への一歩になるんだからな」

 わたしは、クラウスさんに依頼して何人かの利用者の義手と義足、それに体につけるアダプタを製作してもらうことにした。

 この義手や義足の話をしたときに実験に参加することを望んだ人々のものだ。

 クラウスさんとルイーズさんに指示を受けた職員たちが彼らの体の採寸をしていく。

 義手の作成の過程で一番むずかしいのはアダプタ部分を馴染ませることだ。

 まずは、アダプタを装着する。

 そうするとスライムの部分が腕と融合して神経を拾い上げていく。

 そして、その間に製作される義手や五足をアダプタ部分に繋いでいくのだが、この時に痛みがあることがあるらしい。

 それは、幻の痛みといわれるものだ。

 失われた手足の痛みを感じるのだ。

 わたしは、クラウスに1つ頼みごとをした。

 急遽、被験者を1名増やしたい。

 そして、それは、少しやっかいな被験者だった。

 「彼には、両手両足がないんだけど、頼めるかな?」

 「それは、フェブリウス伯爵様のことだろう?トガー」

 クラウスさんに問われてわたしは、頷いた。

 「よくおわかりで」

 「わからいでか!」

 クラウスさんがにやっと笑った。

 「任せておいてくれ!特性のやつを造ってやる!なにしろ、あの人は、俺たちの英雄だからな!」

 そう。

 彼は、英雄だ。

 この世界から忘れられた英雄だった。

 わたしは、その彼に新しい手足を贈ろうと思っていた。

 だが。

 彼は、受け取ってくれるだろうか?

 わたしは、誕生日の二週間前にご主人様の夜のケアに入ったとき、彼に訊ねた。

 「もし、新しい手足をてに入れられるとしたらどうしますか?」

 「バカなことを!」

 ご主人様は、ふん、とバカにしたようにわたしを見上げた。

 「そんなこと、可能なわけがない」

 「本当に手に入るとしたら、です」

 わたしがなおも訊ねると、ご主人様が信じられないようなものをみる目でわたしを見つめた。

 「それは」

 ご主人様の喉がごくり、と鳴った。

 「できるのか?そんなことが」

 「できるから話してるんです」

 わたしが言うとご主人様は真剣な表情でわたしを見た。

 「もし、新しい手足が手に入るなら私はこの屋敷も何もかも差し出すだろう」

 「いえ、それはいいです」

 わたしは、にやりと笑った。

 「ご主人様が路頭に迷ったらわたしが困りますから」

 そして、その翌日からはご主人様とジェイムズさんもわたしと共に治療院のへと通うことになった。

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