6ー10 獣人
6ー10 獣人
しばらくしてマチルダさんに案内されてギルド長ともう一人大柄な男が入ってきた。
「やぁ、トガー、ライナス先生も」
ギルド長は、勝手にソファに腰を下ろすと一緒にきたその大男にも座るようにと促した。
わたしは、その男を見てちょっと驚いていた。
大きなふさふさの耳を垂らしたその男は、どうやら犬の獣人のようだった。
「これは、うちで一番腕がいい親方のラックだ」
ギルド長がじっと様子を伺うようにわたしのことを見た。
「みての通り、ラックは、犬の獣人だ」
そうなんだ。
わたしは、この世界に獣人と呼ばれる人々がいることを噂では知っていたが実際に見るのは初めてだった。
「初めまして、ラックさん。トガーといいます」
わたしが手を差し出すとラックさんは、戸惑うような表情を浮かべてギルド長のことを見た。
ギルド長が頷くと、ラックさんは、やっとわたしの手を握り握手をした。
「トガーさん、はじめまして。この治療院の改築を担当することになったラックです」
わたしたちは、それぞれソファに腰を落ち着けるとテーブルに図面を広げてミーティングをはじめた。
話しているうちにわたしは、ラックさんが腕がいいだけじゃなく、頭の回転も早いということがわかった。
ラックさんは、図面を見ながらわたしとライナス先生があれやこれや話すのをきいてメモをとりながら頷いていた。
そして、最後にいくつか質問をしてくる。
「ぷーると温泉は、1つで両方を兼ねることは可能でしょうか?」
「それでもいいと思うけど、どの場合は、個浴の浴槽をいくつか用意してほしいんだ」
わたしが伝えるとラックさんは、答えた。
「了解です。では、明日からさっそく仕事にかからせていただいてもよろしいでしょうか?」
マジか?
わたしは、ラックさんをじっと見た。
精悍な男らしい人だ。
ライナス先生とは、違う意味でイケメンだな。
わたしの視線に気づいたラックさんが頬を赤らめる。
「わたしの顔に何かついてますか?トガーさん」
「いや、別に」




