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2ー12 人間の力だ!

 2ー12 人間の力だ!


 わたしは、ギルドの奥へと消えていくクラウスさんとルイーズさんの後ろ姿を見送りながらはっと気づいて叫んだ。

 「あの!わたしの頼んだ車椅子は?」

 「ああ、忘れるとこだったよ!」

 ルイーズさんが振り返るとてへぺろっと舌を出した。

 「ギルド長に預けてある!詳しくは、ギルド長にきいて!こっちは、今、それどこじゃないんで!」

 はい?

 わたしは、去っていく2人を見送るとちっと舌打ちした。

 何が、今それどこじゃない、だ!

 わたしは、ギルド長の方を見た。

 すると、ギルド長が改まった様子でわたしに話した。

 「あんたに話があるんだよ、トガーさん」

 「な、なんでしょうか?」

 わたしは、今度は何事かと身構える。

 ギルド長は、前に乗り出してくるとわたしにそっと話した。

 「車椅子をこの工業ギルドで商品化したい。もちろん、売り上げの3割は、あんたに入るようにしよう。どうかな?トガーさん」

 はっ?

 わたしは、なんのことやら理解不能だった。

 なんで車椅子の売り上げの3割がわたしに?

 「私からも頼む」

 ライナス先生がぺこりと頭を下げる。

 「これを使うことで救われる人がたくさんいるんだ」

 「ええっ?」

 わたしがいまいち話を飲み込めずにいるとギルド長がため息をついた。

 「仕方がないな。あんたの取り分を売り上げの4割にしようじゃないか!」

 はいぃっ?

 困っているわたしにルゥが小声でささやく。

 「いいんじゃね?世界を変える第一歩だよ、トガー」

 「そうなの?」

 わたしは、ルゥの言葉にギルド長に向かい合って頷いた。

 「もちろん、喜んで!どんどん使ってもらってかまいません。ただ」

 「ただ?」

 ギルド長が息を飲んだ。

 わたしは、にやっと笑った。

 「わたしの取り分は、もっと少なくってもいいんで、出切るだけ多くの人たちに役立つようにしてください」

 「マジかよ?」

 ギルド長は、ライナス先生と顔を見合わせるとわたしの手をとった。

 「あなたは、聖女に違いない!」

 ほえっ?

 わたしは、慌てて叫んだ。

 「ちがっ!わたしは、そんなもんじゃないし!」

 「でも」

ギルド長は、わたしを見上げた。

 「あなたは、間違いなく聖女に違いない!」

 こうしてわたしは、工業ギルドと手を組んでこの世界に車椅子を普及させることになった。

 工業ギルドからの帰り道のことだ。

 わたしはギルド長が出してくれた馬車に揺られながらほぅっと吐息を漏らした。

 「よかったじゃん、うまく進んでさ」

 ルゥが空中を漂いながらにんまりと笑った。

 「これもすべて、精霊の神業だね、トガー」

 「いや」

 わたしは、頭を振った。

 「これは、人間の力だし」

 今よりもっとよくなりたいと願う人間の力だ!

 わたしは、馬車の中で拳を突き上げて呟く。

 「この調子でどんどん世界を変えていくぜ!」


 

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