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2ー5 出世ですか?

 2ー5 出世ですか?


 わたしは、食事の後片付けをアエラさんとルルに任せて、次は、ご主人様の朝食作りに取りかかった。

 フライパンで焼いたパンは、けっこう柔らかくてふっくらしているけど、いままであんなペースト状のものばかり食べていたのでいきなり固形物は、胃に悪いだろうからメインは、パン粥にする。

 ガータヤギとかいう家畜のミルクをたっぷりと入れてちぎったパンを煮込んだだけのものだ。

 オムレツとスープはそのままでもいけそうだな。

 肉と野菜は小さく刻んでおく。

 そして、ジェイムズさんの言っていたご主人様がかつて好んでいたとかいうお茶を入れる。

 わたしは、食事をのせたトレーを持ってご主人様の部屋へと向かった。

 ご主人様に朝のケアをすませると彼の体をベッド上に起こして背中にいくつか大きなクッションを入れてしっかりと支える。

 まずは、温かいお茶をカップからゆっくりと飲んでもらう。

 一口お茶を飲んだご主人様は、はっとした表情を浮かべた。

 「これは、この領地のお茶だな?」

 「おわかりですか。さすがですね」

 わたしは、そっけなく答えると、次は、パン粥を一口スプーンで口許へと運んだ。

 パン粥を食べたご主人様は、奇妙な表情をする。

 「なんだ、これは?」

 「パン粥です」

 「パン粥だと?こんなパン粥、食べたことがないぞ!」

 その日、ご主人様は、食事を完食した。

 そうして、3日の間わたしは、ご主人様のお世話の合間に屋敷のみなさんの食事を作って提供した。

 少し余裕があったのでちょっとしたスウィーツとかも作ってみる。

 といっても簡単なプリンだけどな。

 プリンに砂糖を焦がして作ったキャラメルをかけて出すとアエラさんとルルが瞳を輝かせる。

 「こんなの、初めて!」

 「おいしいぃですぅっ!」

 ご主人様にも好評だった、というか文句を言われなかったのでレシピを書き出しておく。

 後でサラさんに渡すためだ。

 そして、3日後、サラさんが戻ってきた。

 だが、みんなの要望で料理はわたしが引き続き作ることになってしまった。

 なんでやねん!

 まあ、当然、サラさんも納得しない。

 「なんでプロの料理人であるわたしがこの女の補助になるんです?」

 ジェイムズさんは、わたしに指示して残り物のスープをサラさんの前に運ばせた。

 サラさんは、不承不承にスープに口をつけるとはっと表情を一変させた。

 「これは・・・」

 サラさんは、わたしに訊ねた。

 「これは、本当にここにある材料だけで作ったの?」

 「もちろんです」

 サラさんは、頷いたわたしに告げた。

 「こんなおいしい料理は、いままで食べたことがないわ」

 こうしてわたしは、正式な屋敷の料理人兼ご主人様の介護人となった。

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