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0ー2 まだ、死ねない!

 0ー2 まだ、死ねない!


 いや。

 男っ気は、ある。

 ただそれが二次元の世界の男たちだというだけ。

 しかも、男と男のラブゲームの世界の男たちだというだけのことだ。

 「ふふふ・・・」

 わたしは、奥歯を噛み締めるようにして低い笑い声を漏らしていた。

 「子供がいないという点においてはわたしも彼らも同じ仲間・・・」

 そう!

 今、時代は、わたしたちにも優しいはず。

 生き方は、千差万別。

 子孫ができずとも幸せは追求できるのさ!

 そこまで考えてわたしは、急に虚しさに襲われた。

 このままじゃ、未来からド◯えもんも来ないじゃん!

 だって、子孫が絶えてるから!

 「そろそろマジで結婚するかな・・・って、相手はいないんだけどな!」

 とりあえずマッチングアプリに入会するか。

 わたしは立ち上がると、ぐっと天に向かって拳を突き上げた。

 「なんにせよ、我が人生に一片のくいなし!」

 「誰か!」

 子供の叫び声がきこえてわたしは、そっちを見た。

 橋の欄干からかわいい男の子が身を乗り出して川の方を見下ろしてベソをかいている。

 「どうしたの?」

 駆け寄ると涙で濡れた瞳がわたしを見上げた。

 「チビが!」

 「はい?」

 少年の指差す方を見ると茶色い子犬が川を流されていっている。

 ヤバい!

 わたしは、川までの高さを目視ではかった。

 うん。

 大人が飛び降りられない高さじゃない。

 わたしは、持っていた鞄を少年に預けると欄干を乗り越え川へと飛び降りた。

 この川の深さは、1メートルほどもなかったはず。

 子供の頃からよく知ってるし。

 ところが飛び降りたわたしは、足がつかなくてパニクっていた。

 ほぇっ?

 な、なんで?

 わたしは、そのまま水の中へと吸い込まれるように沈んでいった。

 深い深い水底へと落ちていきながらわたしは、死を覚悟していた。

 かわいいショタのために死ねるんだからな。

 本望といえば本望か?

 わたしは、なぜか、静かな気持ちだった。

 こんなにも穏やかにわたしは、死んでいくんだ。

 そう思ってわたしは、目を閉じた。

 そのとき、だ。

 はっとわたしの記憶がよみがえる。

 だめだ!

 まだ、わたしは、死ねない!

 

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