9ー10 私と踊ってください。
9ー10 私と踊ってください。
しかも、AEDのバッテリーがなくて代わりに魔石が動力源になってるみたいだし!
「こっちの魔鉱石とかは、エミリアさんに相談して換金するか」
わたしは、目録を作りながら呟いた。
「このドレスとかも」
「あっ!」
ライザがはっと気づいたという様子でわたしをとどめる。
「そのドレスと靴、それから宝石をいくつかは、とっておいた方がいいんじゃないかな?」
「なんで?」
わたしは、ライザにきいたが、ライザはしどろもどろで答えた。
「あ、あの、たぶん必要になることもあるんじゃないかなって思って。それより、この鞄を売ろうよ!きっと高く売れるよ!」
「あ、それね」
わたしは、ライザが指し示したAEDをじとっと見つめた。
「いや、これは、置いておきたいんだよ」
その数日後。
なぜか、わたしは、あの青いドレスを身にまといガラスの靴をはいてフェブリウス伯爵家の広い舞踏室に立っていた。
いやいやいや!
わたしは、もう涙目だった。
なんで?
どうしてこんなことに?
当惑しているわたしにご主人様が手を差し出して微笑んだ。
「私と踊ってください、トガー」
実は、これは、すべてエミリアさんたちの陰謀だった。
「兄上のための祝のパーティーを開きたいの」
そう、エミリアさんたちに告げられたのは、つい昨日のことだった。
エミリアさんは、満面の笑顔でわたしに言った。
「そこでトガーにお願いがあるのよ。あなたに兄上のパートナーをつとめてほしいのよ」
「はい?」
わたしは、当然お断りをさせていただこうとしたのだが、エミリアさん、いや、『竜殺しのエミリア』は、ぐいぐい押してきた。
わたしもがんばってぐいぐい押し返していたのだが、最後にライザの一言に止めをさされた。
「わたし、トガーと一緒にパーティーに出たい!」
「じゃあ、はやく準備しなくてはね、ライザ」
そうして。
あれよあれよという間にわたしは、アエラさんとルルの手で風呂に入れられ、全身を香油でマッサージされ、コルセットで腰を締め付けられ、例の青いドレスを着せられた。




