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9ー8 諦めないで!

 9ー8 諦めないで!


 「女神と精霊はひとしいんじゃねぇの?」

 「いや、女神と精霊は、対等な関係なんかじゃないよ、トガー」

 ルゥがため息をつく。

 「女神は、あくまでも至高の存在であり世界の長だ。そして精霊は、この世界そのものだよ」

 ええっと?

 わたしは、頭がこんがらがってきていた。

 いったい、この世界は何なんだよ?

 「この世界を造ったのは神だ。神は、女神と共にこの世界を育てようとしていて、そのためには世界の荒ぶる力の源である精霊をコントロール下におく必要がある。でも世界は、精霊は、女神のコントロールの下に入ってくる気はなかった」

 ルゥは、わたしに告げた。

 「そこで世界は、君を召喚したんだ。かつてのおとぎ話の中の聖女様ならきっとこの小さな世界を救ってくれると期待して」

 おいおい!

 わたしは、心の中で突っ込みをいれていた。

 何でやねん!

 ルゥは、わたしの魂の突っ込みには気づかないらしかった。

  「このダンジョンというシステム事態は、僕たち精霊にとっては嬉しいとこなんだよ?」

 ルゥは、わたしを見下ろして話し続ける。

 「力が弱い精霊たちが強い精霊たちから身を守るためには、ダンジョンは利用できるものなんだ。それになによりエサにも困らないし」

 「エサってなんだよ?」

 わたしは、どきどきしながらルゥに訊ねた。

 ルゥは、笑顔で答える。

 「もちろん人間のエーテル体、つまり生命力を精霊は喰らうんだよ」

 つまり、だな。

 まとめてやると、女神と精霊は対立しており、ダンジョンは、女神による精霊コントロールのための装置なわけだ。

 そして、人を呼び寄せるために精霊は、魔物を飼い、その魔物を人間が倒すとご褒美と称してドロップ品を与えるというわけだった。

 うん。

 わたしは、断言した。

 「この世界は、間違えている!」

 「だけど、いいところもあるんだよ?トガー」

 ルゥがとりなそうとする。

 「このシステムを続ける限り世界は、破綻しないんだ」

 「でも、自由でもないわけだし」

 わたしは、ルゥに訊ねる。

 「精霊も人間も、みな、女神によるコントロール下にあり、真の自由はあり得ないわけだ?」

 「そうだね」

 ルゥは、わたしに向かってにっこりと微笑んだ。

 「だから聖女として君がこのクソな世界を変えてよ、トガー」

 ルゥの瞳が金色に輝いた。

 「女神の構築した世界を破壊できるのはこの世界が選んだ聖女であるトガーだけなんだ!」

 「わたしが女神を倒す?」

 わたしは、思わず失笑を漏らした。

 「そんなことできるわけが」

 「自分から諦めないで!」

 ルゥが懇願する。

 「見捨てられた勇者を救い、治療院を変えたんだ。君ならこの世界を変えられる!」

 「だから!」

 「戦うことを諦めないで!トガー」

 ルゥが囁く。

 「君は、聖女なんだから」



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