9ー5 倒せばいいだけ!
9ー5 倒せばいいだけ!
蜘蛛女と蝶娘が突然姿を消した。
わたしは、ほっと一息つくとみんなと共にダンジョンの中を歩いていった。
そう。
歩いていた。
もう、かれこれ一時間近く。
だが、その間、1体の魔物も現れることがなかった。
「おかしいわね」
エミリアさんが足を止めた。
「これだけ進んでも魔物が1体も出てこないなんて、変ねぇ」
「そうでございますね、エミリア様」
ジェイムズさんも立ち止まって辺りを見回した。
「なんか、嫌な予感がしますね。今日のところは、この辺で中止して戻られてはいかがでしょうか?」
マジで?
わたしは、うんうん、と頷いた。
もう、歩きたくない!
『お待ちください!聖女様ぁっ!』
不意に坑道の奥からあの蜘蛛女の声が聞こえて、わたしは、嫌な予感がして振り向く。
何かが奥からすごいスピードで走ってくる?
それは。
茶色くて毛足の長い、手足の短い生き物。
ええっ?
わたしは、目を疑った。
何、これ、かわいい?
わたしは、走ってくるそのカピパラそっくりの生き物を捕まえようと手を伸ばした。
すると、その生き物は、目をうるうるさせてわたしの体によじ登ってきた。
『せいじょざまぁっ!!』
ふるふる震えているその生き物をわたしは、抱き締めていた。
もふもふだぁ!
『お待ちなさい!カピール!』
ずしん!
奥から地響きがして巨大な何かが立ちふさがった。
「な、何?」
ジェイムズさんとエミリアさんが手に持っていた剣やら槍やらを構える。
「なぜ、ここにレッドドラゴンが?」
そのドラゴンは、奥からぬっと現れるとわたしの腕の中で震えているもふもふに呼び掛けた。
『カピール!』
ドラゴンは、がぉおっと吠えた。
『おとなしく聖女様にその身を差し出しなさいな!』
『イヤだ!』
カピールが叫んだ。
『おいらは、聖女の使い魔になんてなりたくないんだよぉっ!』
なんですと?
わたしたちがワアワア言っている横でエミリアさんたちは、ヤル気満々だった。
「なぜ、こんなところにドラゴンが?」
エミリアさんは、、にっと笑うと手に持っていた槍を構えた。
「まあ、いいわ!倒せばいいだけ!」




