異世界報告書
表題:異世界間移動報告書
報告者:レアティ
近年において観測された異世界の歪みに関して情報がまとまりました。
項目
1:歪みの現状
2:歪みの元凶
3:何故、異世界召喚が可能となったのか
4:異世界召喚の拡大
5:歪みの終着
1:歪みの現状
数多の異世界にて、まるで太陽に向かって伸びようとする植物に横から光を当てるかのごとく歪んだ成長を見られます。
別世界の人間を召喚する事による本来であれば決して得ることない、あるいは未来において得るべき技術や知識を得たことが原因です。
また、長い時間をかけて緩やかに確立すべき知識が短い時間で連続して獲得することによりその過程で得るべき派生する知識や技術を失ったことも歪みの一因となってます。
2:歪みの元凶
原因となっている異世界の知識の大元は現地人に地球と呼ばれる星です。
何故この星が選ばれたのかについてですがこの星では異世界に関する本が大量にあり人々が認識していることが考えられます。
無論、本当の意味で異世界を認識しているわけではなく物語として受け取っているようなのですが、異世界という別次元の存在を当たり前に受け入れていることが異世界召喚の土台となっていることは間違いではないでしょう。
そこに異世界の召喚術が繋がったと推測されています。
3:何故、異世界召喚が可能となったのか
当たり前の話ですが土台があったとしても生半可な方法では召喚は出来ません。
世界を越えるに足る技術とその世界に住む数多の人々の救いを求める思念が結びつき初めて異世界召喚を可能にしました。
こちらで確認できる始まりに近い異世界召喚でもその世界では魔王と呼ばれる人類の敵に劣勢に立たされもはや希望を神に祈るしかない状態で召喚術を行ったことが確認できてます。
4:異世界召喚の拡大
一度異世界召喚が成功すると後は容易く次々と同じ願いが繋がり始めた。
最初は細い手で掘ったような小さい水の流れも同じような願いを叶えてゆくうちに大きな川となった。
しかし、回数を重ねるうち本来の願いと異なる願いも不純な願いも通るようになってきました、大きく作られた川の流れを横から奪うように世界を救うほどの能力を与えられながら人格が伴っていなかったり、その逆に勇者として素晴らしい人格を持ちながらも能力的には一般人と変わらない者といった原初の願いの一部しか条件に合っていないものも現れました。
ついには世界の救いも求めず召喚者の私欲や現状打開としての戦力のみを求めた召喚などが現れ始めました。
また、召喚術の精度が落ちても召喚が容易となり特定の人間以外の周囲の人間を巻き込んだ召喚一室内にいる人間をまとめて召喚するなど術の精度が下がっている状態でも呼び出すことが可能と
なりました。
5:歪みの終着
結果、勇者とは到底言い難い破壊者や殺人鬼が生み出され知識や技術以前に召喚者によって世界が滅ぼされる自体も発生してます。
召喚元となっている地球でも本来であれば世界に貢献すべき存在が消えることにより地球での成長も阻害される自体となってます。
世界が辻褄を合わせるためか記憶等の操作が発生していますが少子化等の社会問題として認識されている自体となっています。
そう遠くないうちにいずれ国単位の召喚すら行われるようになるでしょう。
その場合、最終的に召喚するものが無くなった世界で一体何が召喚されるのか予測不能がつきません。