宮里 蒔灯 様より SS !
初めて頂いたSSは、宮里 蒔灯さまから頂きました。
かっぽうからのお話でした。
コーヒー派か紅茶派か、という話だったかと思います。
皆様からコーヒーにはミルクたっぷりなんだ、とか、この茶葉が美味しいんだ、とか盛り上がっていたら、そんな会話を見ていた宮里さまがその日のうちに書いて下さったのでした。
素敵なSS! と身悶えたのを覚えています。
では、ご一緒に。
◇ ◆ ◇
「はい、アイスコーヒーどうぞ。ミルクやガムシロップは?」
「はい、アイスレモンティーどうぞ。私、アイスコーヒーは何もいれないでそのままで飲む派なの。それにしても、このお店も、アイスコーヒーをあなたに置いたわね」
「男はコーヒーと決めつけてるんだよな。コーヒーを飲むと体調が悪くなる僕みたいな奴もいるってことが周知されればいいのに」
「不思議な体質よね。インスタントとか薄いのは大丈夫なのに」
「あの珈琲豆の焙煎の香りとかすっごく好きなのになぁ。残念過ぎる」
「私の馴染みの喫茶店に連れていったとき、私の大好きなウインナーコーヒーだったら生クリームと砂糖たっぷりできっとあなたでも美味しく飲めたのに、見栄はってブルーマウンテンなんて飲んじゃってさ」
「だって聞いたことある名前だったし、珈琲豆の銘柄で頼むのとか、かっこいいじゃん」
「結局飲みきれなくて、私のと交換したのよね。まあブルーマウンテンもいいけど。私はモカが一番飲みやすくて好き」
「うーん、わからん。コーヒーは全部同じに思える。紅茶のほうがはっきり味の違いがわかるよ。3年前に行った、鎌倉の紅茶専門店、覚えてる?」
「懐かしいわねぇ。あのアイスレモンティースカッシュを飲んだところでしょ?若宮大路を海に向かって歩いた途中にあったわね。一緒に食べた薄いワッフルとクロテッドクリームが美味しかったなぁ」
「今日みたいな夏の暑い日になると、決まって思い出すよ。君と付き合った頃に行った、思い出の場所だから」
「ふふ、私は小学生の頃にすごくまずいミルクティーを飲んで以来紅茶が苦手だったんだけど、どうしてもあなたがあの紅茶専門店に行ってみたいって言うから、正直渋々だったのよね。でも、予想以上の美味しさに感動したっけ。今もまだお店あるのかしら」
「どうだろうな。あれ以来行ってないし。あ、自由が丘の紅茶専門店のルピシアにも、試飲会に参加したよね。君は白桃烏龍と白桃紅茶にハマって、すぐティーバッグを探してレジへ駆け込んだの、よく覚えてるよ」
「あの試飲会も楽しかったわ。たくさんのお茶が飲めて、帰りは二人しておなかタポタポで、カフェでデザートも食べずに帰ったよね」
「あはは、そうだったそうだった! 面白いね、僕らカフェや喫茶店巡りが趣味だったから、いろんなところへ出かけても結局コーヒーや紅茶の話になる」
「あなたも不思議な人よね。京都の有名なお茶屋の三男坊なのに、コーヒーと紅茶好きなんて。あ、コーヒーは香りだけか」
「親父や跡継ぎの一番上の兄貴も、朝はコーヒー飲んでるけど。ああ、そろそろ行こうか。親父やお袋から、新幹線の改札出たって連絡きてるし」
「うう、緊張してきた。ちゃんと挨拶して、お話できるかしら」
「大丈夫だよ。兄貴たちはとうに結婚してる、残り物の僕と結婚を決めてくれた奇特なお嬢さんだって、大喜びだから」
「あら、じゃああなたという残り物には福があったわけね」
「優しいなぁ、君は。さあ行こうか、奥さん」
「ふふ、結納を前に気が早いわね、旦那様」
◇ ◆ ◇
ちなみに、出てくるエピソードは実際に体験したもの、とご本人様の談ですが、モデルはまた別だそうです。
どの方がモデルでどのエピソードが実体験なのでしょう?
ふふっ、気になる方はご本人様にお聞き下さいませ。
宮里 蒔灯さま、ありがとうございました!