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新存の魔法使い  作者: つむ
6/10

第五話 これからの事

「世界が俺を呼んでいる…!」

「うおっ、なんだ急に」


意味の分からない寝言と共に勢いよく幸生は起き上がった。


幸生は自分が今の今まで寝ていた事に気づいたようだった。


「あれ…俺は何故ここで寝ていたんだ…?」

「なんだお前、寝すぎで自分のさっきまでの事忘れたのか」


幸生は隣から声をかけられる。


振り向くと椅子の背もたれが自分の前に来る向きにし、座っている男がいた。


「あ、そういや俺、無意識に紋章を発動させた気がする…」

「そうだ。お前は紋章を発動させた状態で戦っていた。それで体の負担が大きくて倒れた。そんな感じだ」


座っている男は口にくわえたタバコに火をつけながら言う。


「え、てか貴方は誰ですか」


幸生は素直に聞きたい事を口に出した。


「おー、そういや自己紹介してねえな。ったく、めんどくせぇな」


男はそう言いながら、タバコの灰を灰皿に落とす。


「俺は志賀原(しがはら) 龍吾(りゅうご)。お前らと同じ魔法使い。簡単に言うと、お前らの教師だ」

「教師…」


-そんな感じじゃなくないか!!


少なくとも幸生は心の中でそう思った。偏見にも程があるが、そう思わざるを得なかった。


「お前俺の事教師っぽくないとか思っただろ」

「うっ!い、いやぁそんなことないです」

「嘘ついたらぶん殴るぞ」

「思ってましたすいません!!」

「そうか思ってたのか、よし殴ってやる」

「いや理不尽すぎrぶほぇ!!!!」


幸生は顔面に思いっきり拳を一発浴びせられた。


「ぐっ…てか俺はこれからどうなるんですか…いてえ」

「そうだな。とりあえず来た方が早い、さっさと起きて付いてこい」


龍吾がそう言った後、幸生は急いでベッドから降りて、龍吾の後を付いていった。



「ここは一体…」


行き着いた先はおそらく何処かの部屋の扉の前。


学園的には教室と言った方がいいのだろうか。


「話は中でする。入るぞ」


龍吾は扉を開ける。するとそこには教室とはまるで感じさせない部屋があった。


「うわー…すっげえ…」


第一印象は広い。


ただただ広いのだ。まるで10人以上はは軽く入れるような広さだった。


ホテルのロビーような。例えるならそんな感じだろう。


こんな所があるのに、幸生は驚きを隠しきれない様子だった。


「ここは…」

「ま、その内わかる」

「お、龍先生やん!」


どこからか声が聞こえた。


恐らくだ上からだろう。


するといきなり上から誰かが飛び降りてきた。


「どないしたん?なんか緊急の任務でも出たんか?」

「いや、出ていない。今回は新しいメンバーを紹介しようと思ってな」


ー…ん?メンバー?


幸生はそう言われて周りを見るが、それっぽい人は誰もいない。


すると青年が幸生の顔をガシッと掴んで固定した。


「いやどう考えてもキミやろ!なんで周り見てんねん!」

「え…ホントに?」

「ホントだ」

「ホンマや」


「…マジ?」

「マジだ」

「マジやで」


幸生は驚きと同時に酷く絶望した。



「てことでよろしく頼むで!ワイは真田(さなだ) 純吉(じゅんきち)!キミは?」

真田純吉。


身長は幸生と同じくらい。


濃いめの茶髪でツンツンとした髪型。そして関西弁。


それが彼の特徴な様なものと幸生は感じた。


純吉と名乗った青年は幸生に名前を聞いてくる。


「あ、水無月幸生です」

「かっこええな!水無月て!何年生や?」

「そ、そうかな…?二年です」

「なら一緒やん!敬語もいらんで!仲良くしような!あ、名前で呼んでもええか?その方がもっと仲良くなれるやろ!」

「べ、別に構わないよ」


関西弁のようなアクセントで話してくる彼は、まるでムードメーカーの様だ。


関西人特有なのかと、幸生は密かに思っていた。


「そうや幸生。得意な魔法はなんや?」

「得意な魔法…」


幸生は思わずギクッとする。


たとえ炎の魔法が出たからといって得意魔法が炎と決まった訳ではない。


まだ分からないと素直に言うのも何かと変なので幸生は言いとどまった。


「なんや?どしたん?」

「い、いや…俺、最近魔法使いになったばかりだから、得意な魔法っていうのは…」

「なんや、まだ自分がどんな系統が得意かちゃんとハッキリしてへんのか?」

「そ、そうなる…」


ほとんど紋章を発動させては気絶の連発だったので、詳しくは分からない。


幸生は少し凹んだ様子で頭をかいた。


「ならええやん!それは日々過ごしていく内に分かる!魔法は色々使ってみればええねん!サッカーや野球とか、自分が最初から何が得意か分かると思うか?」

「い、いや、分からない」

「それと一緒や!やらないよりやってから知る!最初から分かるやつなんておらへん!気長に行こうや!」


純吉は肩をポンポンとしながら幸生に笑顔で話す。


その言葉に幸生もやる気が出てきた。


これが純吉の長所なのだろう。


相手を尊重し、相手に勇気を与えられ、元気づけられる才能を持っているのだろう。


幸生はそう思った。


「話はそんなもんだろ。じゃあ水無月、お前はこの部屋でこれからを過ごすんだ」

「あ…はい」

「意外とここは広いでー!なんせワイらはド派手な仕事をこなす部隊やからな!」

「ド派手な仕事…部隊?」

「まぁそうだな。水無月。お前はこれから志賀原隊の一員として過ごすんだ」

「なんですかぁそれぇ…」


わけも分からないまま部隊に加入してしまった幸生だった。

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