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サモナーさんの召喚するだけ3秒間クッキング ~大繁盛! ダンジョン前食堂~  作者: 森田季節
食堂ダンジョン前に開店!

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38 家族会議をする

 応接間に言って、ソファに腰かけながら話をした。

 二人は俺の話を受けて、かなり衝撃を受けていた。これでなんとも思わないなんてことはありえないだろうが。

 なにせ、女神がやってきて、しかも召喚能力の代価を払えと言ってきたんだ。

 女神なんて伝説上の存在に会うことがあると考えたこともなかったけど、俺の持ってる力も伝説的な異常な力だから、ある意味道理にあってることなのかもしれない。


「じゃ、じゃあ……三日後にそのリルハって人に、オルフェさんの大切なものをあげないといけないってことですね?」

「うん、そうなんだ。でも、抽象的すぎて、どうしていいかわからないんだよな」


 レトが何か思いだしたようにぶるぶる体をふるわせた。

「こういうの、本で読んだことある。寿命とか記憶とか要求する悪魔」


「たしかになあ……。女神どころか悪魔っぽいよな」

 とはいえ、選択肢そのものはこっちにあるから、まだマシなんだろうか。その場で決めろって言われたらパニックになって、とんでもない決断をしていたかもしれないし。


 レトが立ち上がってぎゅっと俺の服をつかんだ。


「オルフェ、自分の寿命とか差し出したらダメだよ。そういうのは絶対ダメ」

 無表情に見えるけど、レトがすごく心配してくれているのがわかった。


 レトの頭を撫でて、それに応える。


「わかってる。みんなが悲しむような選択はする気ないから心配するな」

 とはいえ、それなりの価値があるものでないと、リルハさんも納得しないだろうから、そのラインが難しいけどな。


「この建物をあげるって言ったら聞き入れてくれるかな。それが一番楽と言えば楽なんだけど。また稼げばいいわけだし」

 この召喚能力があれば、どこででもやっていける。建物のほうに本質的な価値はない。建ててくれた美食家ドワーフのディーズにはものすごく申し訳ないけど……。


「多分それでは足りないんじゃないですかね。だって、召喚能力がある限り、いくらでも稼げるって向こうは知ってるんですよ? だとすると、それって金銭的価値がはっきりしてるもの、イコールお金と大差ないものって判断するんじゃないですかね?」

 サンハーヤの意見はもっともだと思う。もっともだからこそ、どうするか難しい。


「だとすると、どういうのがあるかな……。専門学校までの記憶ならあんまりいらないけど……あんまりいらないってことは、たいして価値がないと言われそうだよな……」

 当たり前だけど、かけがえのないものなら渡したくない。

 となると、どうでもいいもので代替しようとしてしまう。


 でも、少なくとも絶対に手放したくないものはある。

 よし、逆転の発想で考えよう。手放せないものを先に決めて、ほかは全部手放す方向で考えるんだ。そしたら、いくらでもリスタートができる気がする。


 その時、ぽんとサンハーヤが手を叩いた。


「あっ、いいネタが、すごくいい案がありましたよ!」

 なんというか、俺は全然信用してなかった。


「ふうん、じゃあ、言ってみてくれよ。頼むわ」

「ちょっと、オルフェさん! まったくもって期待してないじゃないですか! それはひどいですよ!」


「いや、だって、お前が考えたのって、どうせ屁理屈的なやつだろ? 相手は女神だから屁理屈でやりこめるみたいな展開はできないんだって」

 無価値なものを価値があるように見せかけたところで、それはやっぱり無価値ですってリルハさんは言うだけのことだ。その機転に免じて許してやろうとは絶対言わないと思う。


「違いますよ。私がはっきりとすごく価値のあるものを差し出すつもりなんですよ」

 その表現に、俺はちょっと恐ろしくなった。い、いったい何を出すつもりなんだ……?


「レトもすごく気になる」

 自分の席から前のめりになって、レトも聞いてくる。


「はい、それでは発表しましょう!」


 そのサンハーヤの案を聞いて、俺はあぜんとした。

「なんだ、そのバカな発想は……」

「でも、これ、すっごく大事なものじゃないですか。価値がないとか失礼なことは私が言わせませんから!」


 ちなみにレトは白い眼でサンハーヤを見ていた。

「愚かしい。しょうもない。価値なんてあるわけない」

 うん、俺もそう思う。でも、あんまり価値がないって言わないでくれな……。


 それから、俺は思い出し笑いみたいに時間差で笑ってしまった。


「あれ、どうしました? 実はツボに入ってました?」

「ある意味、そういうことかもな。やっぱりこの家族、最高だ」

 俺の召喚能力は本当にすごいと思ってる。けど、召喚能力はたんなる手段だ。お金がものを手に入れるための道具でしかなくて、それ自体が特別なものではないように。


「こんな重大な話の時でも、こんなゆるんだ空気になるんだからすごいよ。ずっと、ずっと、三人でいような。絶対にな!」

 危機があるからこそ、それまで見えてなかった価値を発見する、よくあることだ。

 水に潜ったりしないと、空気がいかに大切なものかなんてわからない。


 だけど、ちょっとだけおかしなところがあった。

 俺の言葉を聞いたサンハーヤが切なそうな顔になった気がしたのだ。


 すぐ元の表情になっていたから、勘違いだったのかもしれないけど。


「まっ、私の提案したやつで女神さんも納得してくれるでしょうけどね! ちゃんと言ってくださいね!」

「わ、わかった……。言いたくないけど、それは約束する……」


 三日後と言われていたけど、初日の相談でもう結論は出てしまった。


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