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サモナーさんの召喚するだけ3秒間クッキング ~大繁盛! ダンジョン前食堂~  作者: 森田季節
食堂ダンジョン前に開店!

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24/51

24 新店舗で営業

 ディーズが大物の建築家だというのは本当だった。

 わずか一か月ほどで、計画どおりの完璧な店舗兼住居が完成したのだ。


「どうじゃ。なかなかの手際じゃろう?」

 仏頂面が多いディーズも、完成した建物を案内する時はドヤ顔をしていた。


「ありがとうございます! もう、夢のようです!」

 これまでみたいに砂埃がたつようなこともない。そして、住居とセットだから通勤時間もかからない。ゆっくり時間が使える!


「おぬしらはこの町になくてはならない人材じゃ。これからもしっかり食堂をやってくれ」

「言われなくてもそうしますよ」


 最後に俺はディーズとしっかり握手をした。



 こうして、「オルフェ食堂」は完全なる形でリスタートした。

 メニュー表は以下のとおり。


=====

メニュー

ラーメン

ショウユラーメン 銅貨5枚

シオラーメン   銅貨5枚

トンコツラーメン 銅貨5枚

ミソラーメン   銅貨6枚

ギョウザ

ギョウザ     銅貨3枚

スイギョウザ   銅貨3枚

ミソラーメンとギョウザのセット 銅貨8枚

他のラーメンとギョウザのセット 銅貨7枚


ギュウドン    銅貨4枚

タコヤキ     銅貨4枚

トンジル     銅貨3枚

ギュウドン・トンジルセット   銅貨6枚

カレー      銀貨6枚

ウメボシ(3ヶ) 銅貨2枚

スマイル     銀貨0枚

=====


 スマイルというのは、ふざけてサンハーヤが入れた。

「こういうお遊びがあったほうがいいんですよ! アットホームな空気が出るでしょ!」

「店に害がないなら、勝手にやってくれ」

 お前、接客の時、だいたい笑ってるだろと思ったけど。


 あと、害はすぐに起こった。

「レトちゃん、笑顔!」「レトちゃん、笑って!」


 そう常連の客は、だいたい笑ってるサンハーヤにいちいちスマイルを要求したりしなかった。むしろ、普段は笑ってないレトのほうにスマイルを要求してきたのだ!


「えっ……。レト、そういうのは困る……」

 レトは注文を受けると、ちょくちょく厨房(と客が認識している部屋。俺は召喚しているだけなので調理はしてない)に逃げ帰ってくることがあった。

「レト、笑顔苦手。知らない人にできない……」


 だよな……。いつも笑ってるレトとかむしろ不気味なぐらいだ。


「サンハーヤ、もうこのスマイルは廃止しろ……」

「え~、いいじゃないですか。じゃあ。レトさんはお受けできませんってことでいいじゃないですか」


 結局、サンハーヤが譲らなかったため、スマイルは(※店員によっては提供できないことがあります)という変な注意書きが入れられた。


 普段の生活水準もこれまでよりかなりよくなった。

 まず、家族全員に一人ずつ部屋があてがわれた。

 これまではプライバシーもなんもあったものじゃない空間で男女三人で暮らしてたが、そういったところが改善された。


 それと、お風呂も設置された。

 お湯を温めるための魔法熱石というものを水をためた浴槽に入れる。すると、しばらくすると、お湯になっているという寸法だ。

 この魔法熱石がそこそこ値段が張るが、それは我慢するしかない。食堂の収入を考えれば、何の問題もなく毎日買える額だ。それに飲食店をやってるのに不潔というのもまずいしな。


 水は家のすぐ近くを流れている沢の水を朝のうちに汲んでおく。

 結果として、王都にある大浴場を使わずとも、毎日お風呂に入ることが可能になった。


「ほんとに夢のような生活ですよ! 最高です!」

 初日のお風呂に入ったサンハーヤは風呂場で歌を歌って、それがけっこう響いていたぐらいだ。ちなみに異様にうれしそうだったから、一番風呂も許可した。


「サンハーヤ、行商人なのに定住できる家を手に入れて喜んでる。変なの」

 レトが厳しいツッコミを入れていた。

「まあ、行商というのはやむをえないことで、住める場所があるならそのほうがいいってことだろ」

「そっか」

 レトもどうやら納得したらしく、こくこくうなずいていた。


「あとでレトも入れよ。俺はもう少し新しいメニューができないか試す」

 今の課題は、デザートを作れないかどうかだ。

 本格的な建物ができたことで、これまでよりゆっくり店を利用する客も増えてくることが予想できた。

 たとえば、ある程度上流階級に属する女性は、露天のテントの店なんてはしたないとして、なかなか顔を出さない。けれど、こぎれいな建物で営業しているとなると、そんなに面目も気にせず、参加することも可能になる。


 事実として、これまでよりも客層が広がった印象はある。冒険者以外にとって残っていたハードルが一気に下がった。

 これまでもデザートを用意できないかと言われていたこともあるし、なにがしか形にできないだろうか。


 あと、メニューを増やす以外の目的でも甘いものが必要だったのだ。


「ねえ、オルフェ」

 ちょんちょんとレトに肩をつつかれた。


「ああ、なんだ?」

「お風呂、一緒に入らない?」


 ごく当たり前なようにレトは言った。

「なっ、ななな……」


「親しい人同士でだと家風呂は一緒に入る。レト、そう聞いたことある。仕えていた家でも親子で入ってた」

 これ、それがおかしいことって素で気づいてないな。

 たしかに家風呂で混浴はダメとかそんな理由はないかもしれない。しかし、しかし……そろそろ思春期に入りますというレトとお風呂に入るのは……。


「オルフェ、レトのこと、嫌いなの?」

 ちょっと寂しそうにレトは言う。


 ダメだ。これ以上、レトを悲しませるわけにはいかない……。


「わかった。入ろう……」

 そのあと、俺とレトは一緒にお風呂に入った。

 あんまり裸は見ないようにした。ギリギリアウトな気がしたからだ。


 風呂から上がったあと、スマイルとは程遠い顔でサンハーヤが立っていた。


「年齢的に幼すぎるという点で、ギリギリアウトですよ。ロ、ロリコンですよ」

「それはそれでショックだ!」


「私の時に入らないでレトさんと一緒に入ったあたりにこだわりを感じます……」

 その不本意な誤解を解くのにしばらくかかりました。


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― 新着の感想 ―
[一言] カレーが銀貨6枚になっています。誤字報告できないのでこちらで……
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