プロローグ
――『騎士』
奇跡の力、【奇力】を操り、己が鍛えた肉体を駆使して"魔"を祓う者。
――『魔術師』
悪魔の力、【魔力】を用いて、【魔法】を放ち、"聖"を屠る者。
人類の叡智、【科学】が進歩し、発展した世界。
その水面下では、『騎士』と『魔術師』の両陣営が、果てる事のない争いを繰り広げてきた。
殺し殺され、奪い奪われ。
数百年もの間、成長と衰退を繰り返してきた。
――そして今。
少年と少女の出会いが、
この世界を変えていく、きっかけとなる――
「沙良たん、聞いた? 変質者の噂」
「変質者? 今時噂にするような事じゃないでしょ。どーせ男は皆同じようなモノなんだから」
「言うねぇ。でも、その変質者は凄いカッコイイ人なんだって~。いきなり腕を掴まれて、ジッと顔を覗き込んでくるらしいの。4組の飯島さんが一昨日遭ったみたいで、彼女、私の王子様を遂に見つけたとかなんとか言ってたって」
「……変質者が王子様だなんて、世も末ね」
「まぁ、趣味は人それぞれだから。あ、もう帰っちゃうの?」
「うん。ちょっと、ね。暫くは一緒に帰れないカモ。……ごめんね」
「ナニ、またお父さんと喧嘩したの~? 早く仲直りしちゃいなよ~」
「いや、今回はそうじゃないんだけど……。色々とあってね。お父さん絡みなのは間違いないんだけど」
「随分と複雑そうだね? 私が口出しするのもアレだし、何も言わないけど。近々、駅前に新しくケーキ屋がオープンするみたいだから、その問題が解決したら一緒に行こ! さーちんも誘って3人で、ね?」
「……うん、そうね。それじゃ、また明日ね」
「あ、変質者に気を付けてね! また明日~!」