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建国祭 4

短めです。

思わぬお父様の姿を見た私はひとしきり笑った後、帰路につきました。



いやぁ〜

にしても本当に面白かった。

これ、お父様に言ったら、怒られそうだけど、言わずにはいられないよね。

あれ、毎年のことなのかな?



なんて、思いつつ、日が落ちる前には帰ることがでました。


この世界で日が落ちてから帰る人はほとんどいません。せいぜい、お勤めをして、遅くなった人です。

ましてや、子供や女性は絶対に出てはいけません。


王都内は比較的安全で、貴族が住むエリアになると警備はかなりのものですが、なんせ、灯りがほとんどない状態ですからね。


灯りなどは魔具と呼ばれるものを使ってますが、街灯のように外にたくさんつけれるわけではないのです。




ってなわけで、もっと遊びたかったけど、ここまで。


まぁ、今日はいい収穫もあったしね。




───────────────


「「「ただいま、戻りました!」」」


「おかえりなさい。」


お母様が笑顔で迎えてくれます。


いいよね。「ただいま」って言って、「おかえり」って笑顔で迎えてくれる人がいるって。



「お母様!とても楽しかった!あのね...」


「ふふ。そんなに急がないの。ハルトもアレクもおかえり。もうすぐ夕食になるから準備してきてちょうだい。ユリス、あなたもよ。」


「はぁい。」



ふふ、今日の夕食なにかな〜

たくさん、歩いたからお腹空いたよ。








「ただいま、戻ったぞ。」


あっ、お父様が帰ってきた!


「ランディ、おかえり。」


「あぁ、疲れた。」


なんか、酷くお疲れのよう?


あっ、あんなに民衆の前にいたからかな?


「お父様、お疲れ様です。」


「あぁ〜ユリス〜癒しだぁぁ〜」



ぎぁぁ!くっつくな!

てか、離せよ。無駄に力強くない?

私、折れちゃうよ



「お...お父様。離してください。」


「あぁ〜」


なんか、スリスリしてきたよ...


「お父様......あっ!そうそう、見ましたよ!とてもカッコよかったです!」


「...!!」


よし!ちょっとだけ離してくれた。



「ユ...ユリス。見たのかい?あのパレード見たのかい?」


「はい!ばっちり見ました!」


結構、狼狽してますな。

本当に見られたくなかったのか?


「......なんてことだ。だから、いやだと...いやでも.........あぁ、見られたのか...あぁ...」


お父様よ。そんなに嫌だったのか?


「いやまてよ。ユリス、どうやって見たのだ?だって、あんなに人で溢れかえって...あぁ...」


なんか、自分で言ってドツボにはまっているよ。


「アレク兄がね、肩車してくれたの」


うんうん。事実だもんね。


「そうか。」


お父様がアレク兄を睨みつけ、アレク兄が私を睨みつけても、けっして、告げ口でもなんでもないんだもん。


「まぁ、まぁ、ランディ。よかったではありませんか。ユリスもカッコよかったって言ってるし。」


「そうです!カッコよかったですよ!」


うん。笑ったけど、カッコイイとは...思ったよ。うん。思ったさ。


「にしても、なんでお父様はそんなに嫌がるのですか?」


「そ...それは...」


「ふふ、それはね、ランディが人見知りだからだよ。」


!!なんと、衝撃の事実!将軍なのに!?


「ちょっと、アンジュ。」


「ふふ、だって、そうでしょう?まぁ、でも、自分達の部下や軍の仲間達はいいのだけどね。どうやら、民衆などの知らない不特定多数の人たちに見られるのが嫌なのよ。しかも、今回は英雄役だしね。」


ほぉーなるほど


「そもそも、陛下が役を俺に押し付けなければよかったんだよ!」


「え?押し付け?」


「あれはね、毎年陛下か王太子がやってるの。もちろん金髪のね。でも、去年くらいからか、ランディがやることになったのよ。」


「曰く、『あんななんの足しにもなず、英雄役でわざわざ民衆の目に晒すとか仕事とは馬鹿馬鹿しい。そもそもなんであんな派手な衣装なのだ?...そうだ、英雄が金髪と紫の瞳なら、お前がやればいいんだよ。そうだよ。なんでこんないい方法を思いつかなかったのだ。』だそうで。」


陛下というか、この国って戦争してるから、ギスギスしているのかと思えば、割と愉快だな。


あっ、ちなみに、お父様の瞳の色は紫色ですよ。私の瞳はお父様譲りなのです。


「でも、まぁ、お父様、カッコよかったです!だから、来年もやってね。」


そして、ぜひ、陛下と並んでやって欲しい。



「ぜっったいに、来年はやらん!!」





お父様の叶えもしないささやかな意気込みは家族の笑い声とともに消えた。



閲覧ありがとうございました。

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