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建国祭 3

い...いつの間にかアレク兄がいなくなってました...


「アレク兄は?」


「...あいつめ。まぁ、子供じゃないんだし、大丈夫だろ。」


いや、いなくなる時点で子供ではないでしょうか。



まぁ、いっか。


「じゃぁ、お菓子屋さん行きましょうよ!」


「そうだね」



今度こそ出発ー!



───────────────


ってあれれ?


城下町に行って、お菓子屋に行って...なんてとても簡単なことなのにどうしてこうも難しいの?


私はあるところへ視線を向ける


そこにはーー



「お兄さん!こんなのどうだい?」


「ねぇ、今一人?」


「ハルト様じゃないですか!」


「「きゃぁーーーー!」」



などなど


はぁ...ハルト兄...


どうか、女たらしにはならないで欲しいかな


これさ、どうすればいいの?

こんな時に...


「ハルト兄ー!」


なんてなんて言ったら、絶対睨まれるに違いない...


嫌だなぁ。行きたくないなぁ。


でも、たぶんひとりじゃぁ絶対に迷うしなー


チラッ


ハルト兄もこっち見てるしなー


(助けてよ!)


って訴えかけられてるしなー


ハルト兄がやんわりと断ってるけど、そのスマイルがむしろ女達を魅了してるってことに気づいてないんだろうなー


はぁ...でもこのままじゃ、埒があかない。



すぅー


「ハルトにぃ...「おお!ハルト、ここにいたのか!」」


ナイス!アレク兄!


でも、私の決意返してほしいな


「あーアレク。」


うんうん。アレク兄がハルト兄に近づいて...


え?近づいてる?

あんなに群がっていたのに?


なんか、アレク兄って避けられてるよね


アレク兄も割とイケてると思うんだけどな

クラスに1人か2人ぐらい、体育系の男子に萌える人とかいたりするのにな

学校でなにかしたのかな?



「なんで、あの2人が兄弟なのかしらね」

「ほんとほんと。実は違うんじゃないか。」

「あんなにも違うなんて...」



聞こえてますよ。

嫌だな。最悪。

ハルト兄もアレク兄も私の大好きな兄様なのに。ムカつきます。


私も兄達に近づく。


でも...


「ユリス、行こっか。」


そんな顔で言われちゃ、なにも言えなくなるではないですか。


学校でもこんな調子なのかな?

ちょっぴり、悲しい。


悲しくて...怒りもでてくる。


「ユリス、気持ちは嬉しいけど、漏れてるよ」


漏れてる?

なにが?


「魔力が。」


お答えありがとう。


魔力が漏れてる?

気持ちが昂ってるってことかな?


早く制御を覚えなきゃ。


なんとなく、寒気がした。



「それに見てよ。あのアレクの様子。」


「ん?」


アレク兄の様子?


「ほんと、こっちが心配して損するよね」




あ、あー確かに...


私達の話の中心人物たるアレク兄はそんな気にした様子もなく、のうのうと露店を食べ歩きしてます。


無理をしているのかとも思ったけど、そうではなくただ単に気にした様子もなく、楽観主義じゃないけど、そういえば、アレク兄ってそんな人だったなーと思いました。



「あはは、じゃぁ、ほんとに今度こそ行きましょうか。」


「そうだね。」





ほんとにほんとに、今度こそ祭りを楽しむのだ!



なんか、すでに疲れてるのは気のせいだ。



───────────────


その後つつがなく...


お菓子屋に行って、またもやハルト兄がお姉さんたちに声をかけられ、店長に私が気に入られ、めっちゃ、お土産を持たされ、アレク兄がいなくなったと思ったら、ちょっとした暴動を抑えてきたり、それをハルト兄が一生懸命、説明したり、アレク兄のお買い物については、私が手紙とかインクとかがいいのではと助言をし、1時間ほど悩んだり...


あっ、私が助言する前にも何十分か悩んだけど、女性の好みとかわかんないから早々に諦め、私に聞いた。


好いてる女性の好みぐらいしっかりリサーチしとけよって思うけどね...


アレク兄から聞いた限りでは知的な女性っぽかったので、手紙とインクにしてみた。


あーあと、桜のような花が描かれたインク瓶があったので、それは私が買った。桜はこの世界でみたことも聞いたこともないのですが、どこかにあるのでしょうか。本当に綺麗でしたのよ。


あっ、そんな話はよくて...


その後、お昼を突き刺さる視線の中、食べ終え、時刻は昼2回目の鐘。つまり、午後2時。



そろそろどうしようかなーって思っていたら...


なにやら、大通りが騒がしい...



「なにあれ?なんで、あんなに盛り上がってるの?」


「あーもうそろそろか。」


そろそろ?


「ねぇ、なにがそろそろなの?」


「んー見てのお楽しみ。」


ハルト兄...


「おう、ぜってーおもしれーからっ」


アレク兄まで...


面白い?ほんと、なにがでしょうか。



とその時



きゃぁー!!!


一際大きな歓声が。


どうやら、パレードのようです。


某テーマパークのような賑わい。


むーよく見えないです。



よいしょっと。


ん?なんか、足が地面についてない浮遊感。

急に視線が高くなる



「ア...アレク兄?」


「この方が見えるだろ?」


まぁ...そうだけど...



なんだか、急に恥ずかしくなって...


「まぁ、見てみろって」


下から声が聞こえる。


まぁ、せっかくだし見てみよう...



沸き起こる歓声の中。

1台の馬車というか荷台がゆっくりと大通りを渡る。その上には...




「おとうさま?」



いつもとは違う、白い軍服に青い刺繍がしてあるマントを着て、悠然と立っている。


いささか、緊張もしているような?







アルカディアの最初の頂点にたったのは、その危機的状況を変えた英雄。金髪の髪に紫色の瞳をしていたという。





なるほと、英雄ね。

今日は建国祭。

今日の主役はどうやら我がお父様のようだ。







...それにしても


下からも微かに聞こえる




いやぁーあれはない。

黒服とかならすごく似合いそうなのに、白い...まるで王族が着ているような服。

それに加え、仏頂面。



あぁーだめ。もうだめ。

アレク兄、下ろして...





「ぷ...ぷははははは!」



お父様には失礼かと思いますが、私はどうにも笑いが止まらなくなってしまいました。

閲覧ありがとうございました。

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