王子様達の日記手帳 ① sideジェラール
タイトル通り、第二王子 ジェラール視点
いつもよりかは少し長め
あー思い出してもむしゃくしゃする〜!
なんなのあいつ!
ほんとふざけんな!
人の言葉を勝手に遮っといて!
俺を誰だと...
ーーこの国の王位継承者第2位、ジェラール・アルカディア・ジ・オール様でしょ
そうだ。俺はこの国の王位継承者第2位なのだ。
まぁ、もっとも実力主義で決まるのだからそんな事関係ないのだがな
あれ?てか、なんであいつは俺のこと知ってたんだ?
ーあいつ、誰?
◇◇◇
「ちっ、どいつもこいつも!」
今日は朝から機嫌が悪い
いつも朝は講義。昼は鍛錬と決まっている。
ランニングから始まって、素振り...
いつもの庭に行ったら、今日は珍しく兄がいた。
兄の名は、ジークフリード・アルカディア・ラ・オール。いつも冷徹な顔をしている、クソ兄だ。
どんなことをしても動じない。
女だって選り取りみどりなのに未だに婚約者の1人もいない。候補はいるけど、それも周りが勝手に決めた相手だ。まぁ、王族だから、政略結婚は当たり前だがな。
って、そんなことは、どーでもよくて
そう、兄はいつも澄顔でなんでもやってのける。
そして、俺はいつもそんな兄と比べられる。
特に勉強面で。
「貴女の兄はこの年でここまで出来ていたのですから殿下も出来るはずです。」
「兄上殿は出来ていたのですがねぇ」
「同じ兄弟とは思えないわね...」
どいつもこいつもふざけんな!
俺は兄じゃねぇ!
勉学面じゃ無理だと分かった。
だから、剣だけは負けねぇ!
そう思っていつも鍛錬してきたのに!
なんで、いるんだ!
しかも剣の素振りが綺麗...
くそくそくそくそ!
これじゃぁ、また笑いものだ!
「あれ?ジル?」
ジルとは俺の愛称だ。
兄は昔からこの愛称で呼ぶ
馬鹿にしてんのか!
「ふざけるな!」
「...ジル?」
そんな困ったような顔しやがって!
そんなのもどうせ嘘だ。
いつかの王位争いを避けるために今のうちに手懐けようって魂胆か!
そんなものに引っかかる俺じゃねぇ
「ここはいつも俺が使っている練習場所だ。勝手に使うな!」
そう、吐き捨てて王城を飛び出す。
抜け穴があるのだ。
だが、彼は知らない。いつも俺が使っている練習場所だと言うが、第一王子だって、使っていたこと。随分前から。
彼が使った抜け穴、実は第一王子が作ったものだと。
彼がそれを知るのはまだずっと先の話。
──────────
くそくそくそ!
ほんとなんだんだよ!
...てか、ここどこだよ!
彼は今絶賛迷子中...
彼自身はそれを認めたくないらしいが。
ここは城下町。しかも市井よりの場所。
もちろん、いい服を着て、髪も下町では絶対にいない艶のある金色。
目立たないはずがないのだが...
「くそ!」
残念ながら、今の彼には周りが見えていないらしい。
ガシャン!
ドサッ
「ん?なんだ?」
そこにいたのはガタイのいい男達と転がっている女の子。
決していい状況ではないことぐらい一目でわかる。
っなんだよ!
ぶざけんなよ!
苛めてるのか、あんな小さな女の子をか!
ふざけんな!どいつもこいつも!
「おい!」
気づいた時には走りだしていました。
「やめたまえよ!」
大の大人が2人がかりえで女の子を捕まえようなんて!
「あぁん?なんだこのガキ」
でかい男が睨みつける
「坊ちゃんは早く家に帰って、ママにねんねしてもらいな!」
ねんね...ねんねだとぉ...
「あははは!そりぁ、いい!」
別の男が笑い声をあげる
ふざけんな!ふざけんな!
俺はそんな年じゃないし、こんな汚い野郎に...
「〜っ!......るさい」
「あぁん?なんて?」
「うるさい、うるさい!貴様こそ何様のつもりだ!俺はこのく...「あっ!衛兵さーん!こっち、こっちですよー!」」
突然、俺の言葉が遮られた。
王子ではある俺の言葉を遮った?
「おい、誰だ、今、俺の言葉に被せたやつは...」
と、後ろを振り返ったら、
「こっち」
さっきの女の子を捕まえて走りだしていました。
は?
「おっ、おい!」
誰だよ。フード被っててよく見えなかったけど、子供っぽかったし、てか、連れてったし、俺、放ったらかしにしたし!
気づいたら、追いかけてていました。
────────────
追いついた先は公園。
そいつは女の子になにか渡しているところだった。
「おい!なにやってんだよ!」
.........
無視かよ!聞こえてるはずだが!
「おい!聞いてんのかよ!」
「あーはいはい。どうされましたか?」
あーはいはいだと!
貴様...
「おい!お前俺を誰だと...」
「この国の王位継承者第二位、ジェラール・アルカディア・ジ・オール様でしょ」
なんだ、知ってんのかよ
「...おおう、わかってんじゃねーか」
「王子。なぜ、あのような行動にでられたのですか?」
は?なぜって...
「はっ!そりゃぁ、子供が虐げらているんだ。見過ごせねーだろ」
「だとしても、あの場であのような行動をとれば、状況はさらに悪くなるとお考えにならなかったのですか?自分の身を呈してもというのは綺麗に見えますが、私からすれば、ただの自殺行為です。例え、鍛えていたとしても子供が叶う相手ではございません。はっきりいって、軽率です。これからは気をつけてください」
は?
「お...お前!不敬だそ!」
って、無視かよ!
なんだよ...なんなんだよ!
そいつと女の子がなにかしゃべってるがなんにも頭に入ってこない。
軽率?だからなんだ。あの場で俺が出なければ、あの子はどうなっていたか
それに俺、怒られた?
俺が?こんな子供に?
そうこうしている内にバタバタと足音が聞こえる。
「じゃぁ、またね、そのハンカチはあげるから」
「あ...」
「大丈夫。きっと、大丈夫だから。」
「......うん。」
「じゃぁね」
...って
「おい!」
そいつは走ってどこかへ行ってしまいました。
ほんと、なんだんだ
「殿下、ご無事でしたか?」
来たのは、側近兼護衛のヨシュア。
昔ながらの幼馴染みだ。
「...ああ」
「その子は?」
「わからん」
「わからんって...」
その後、その子は保護。
俺はみっちり幼馴染みと乳母の小言を聞かされることとなった。
◇◇◇
「なぁ、ヨシュア。」
「はい。」
「お前さ、紫の瞳の女、知ってるか?」
「紫の瞳ですか?」
そう、そいつは紫の瞳だった。
そいつのことは生意気なやつしか印象に残ってなかった。
よくよく見れば、良さげな服を着ていたような気がするが、あんまり覚えてない。
だが、瞳が綺麗な紫だったことは今でも覚えてる。
「そうですね。瞳の濃さは魔力の強さを現します。特に紫の瞳は高魔力保持者によくでる特徴ですね。その人は身なりがよかったのでしょう。貴族で高魔力保持者ですと...紫の瞳......あぁ、そうですね。ルーズフェルト家ですかね?」
「ルーズフェルト家って、あの炎の使い手のとこの?」
「ええ、さすがに殿下でもそれぐらいは知っていますか」
「おい!馬鹿にするなよ!」
「すみません。そうですよ。ランディール・ルーズフェルト様のところです。確か、1人娘がいたような...」
「っ誰だ!」
「えっと...確か......あぁ、そうです。ユリス・ルーズフェルト様ですよ。」
「ユリス・ルーズフェルト...」
「なんでしたら、今度の建国祭の夜会に呼ばれますか?」
「...あぁ、それがいいかもな」
今度の夜会には年齢制限が設けられてない。
ここで、デビュタントする貴族も多いだろう
ユリス・ルーズフェルトか
覚えておけよ!
ぜってー見返してやる!
そうしてジェラールはいつも2行で終わる日記に今日は1ページぎっしり書いて、閉じた。
今回は第二王子ジェラール視点でした。
日記書くとは可愛いですよね
それと、お気づきかもしれませんが、タイトルの王子様‘達’ ってところがミソですよね
いつか第一王子ジークフリード様視点書けるといいなー
まぁ、かなり先の事ですがね
また、この世界で金色の髪自体は珍しいことではなく、輝くような艶のある金色が王族かそれに近い貴族にしか現れない珍しい色なのです。
ジェラールはあの子のこと、女の子と言ってましたが、ジェラールからしたら、小さい子は全部女の子に見えます。
本当の性別はまた今度!
閲覧ありがとうございました。