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既にその名前は使われています

作者: リエッタ

 今、世界中で大ヒットしている【Infinity×Freedom Online】通称【IFO】

 発売してから2ヶ月で既に100万本は売り上げたという大ヒットVRMMO

 そこに今、1人のおっさんが身を投じようとしていた

 

 

 おっさんの目の前にいる幼女アバターが問う

 

 『貴方のお名前を教えてください』

 「う~む……『レン』でお願いします」

 『既にその名前は使われています』

 「あちゃ……流石にこんな単純な名前はもう使われているか……なら4文字ぐらいで、『アトリエ』」

 

 このおっさん、このゲームで錬金術をする気満々である

 レンは錬金術のレン、アトリエは某ゲーム名から

 しかし、返ってきた答えは無情

 

 『既にその名前は使われています』

 「むむむ……流石は大ヒットVRMMOなわけがあるな……TSプレイはできないし、男キャラ名をいれていくか」

 

 そう言って、おっさんは厨二病を発症したイケメン騎士の名前を入れる

 ちなみにおっさん、イケメンではない

 

 『既にその名前は使われています』

 

 むむむ……ならば、と他のキャラ名を入れていく

 しかし、返ってきた答えは全て、

 

 『既にその名前は使われています』

 「くっそー、キャラ名は止めた『チーズケーキ』……これでどうだ!?」

 『既にその名前は使われています』

 

 おっさんは思った

 俺は、100万本という数字をなめていたのではなかろうか……と

 錬金術関連で名前を設定しようとしてもこの100万本っていう数字に全て弾きかえされるのでは……と

 口惜しいが、錬金術関連に名前にするのは止めよう……と

 100万本に売り上げがあるってことは100万の名前が既に使用が禁止されているってことになる、まともな名前はもう禁止だと思っても過言ではないはず

 先ずは皆大好きソロビーターさんで試してみるか

 

 「『キリト』……これでどうだ!?」

 『既にその名前は使われています……ぱんぱかぱ~ん、貴方で1万人目の『キリト』志願者です』

 「え?そんなにいるの?ってかそんなの数えているの?」

 『マーケティングのためにカウントしています

 貴方のお名前を教えてください』

 

 1万人ってことは売り上げの1%の人間が名前を入れている

 ビーターさん実に大人気

 

 「逆転の発想でいくぞ……『既にその名前は使われています』でお願いします」

 『既にその名前は使われています』

 「なん…………だ……と……」

 『貴方のお名前を教えてください』

 

 おっさんは再度考える

 今度は言われてみたい名前にしてみたらどうか……と

 おっさんは会社員で平社員である

 ならば、ちょっと名前に役職をつけたらどうかと

 

 「『田中部長』」

 『個人情報の観点からその名前は使用することができません』

 

 個人情報保護よりリアルばれするような名前は禁止されていた

 残念

 

 「『イケメン』は?」

 『……該当名なし、その名前は使用可能です

 確認です、貴方のお名前は『イケメン』でよろしいでしょうか?

 失礼だと思いますが、スキャンデータによると特にイケメンという感じではなさそうですが、本当によろしいでしょうか?

 もし望むのでしたら、アバター作成時に貴方をベースとして、多少イケメンになるように補正をガッツリ掛けさせていただきますがよろしいでしょうか?』

 

 アバターにガッツリ補正を掛けて多少しかイケメンにならないという事実を指摘されて凹むおっさん

 

 『ちなみに補正を掛けさせてもらえるのでしたら、このようなアバターになります』

 

 そう言って幼女が表示したアバターはおっさんとは別物であった

 おっさんは思う

 これはオフ会できんわな……と

 補正なしで『イケメン』の名前をしたときは……イケメンじゃないのにイケメンって呼ばれるのはからかわれているようで嫌だ……と

 

 「キャンセルキャンセル」

 『『イケメン』キャンセル了解しました……貴方のお名前を教えてください』

 「『イケメソ』」

 『既にその名前は使われています』

 

 『イケメソ』さんも同様に『イケメン』から忠告されて『イケメソ』に変更したがそれはまた別のお話

 そして、ここまで使用できる名前がなくてとうとうぶちきれたおっさん

 色んな名前を言ってみるが、その事如くが使用されていたりで却下された

 その一部を抜粋すると……

 

 「『†聖天使†ミカエル』どうだ?ミカエルは大天使なのに聖天使だぞ??しかも記号の†まで付けている?こんなの付ける人間が他にいるわけがない!!!」

 『既にその名前は使われいます』

 「ヴェアァァァァッァァァァァ!!!!マジデェェェェェ!???!?」

 

 とか

 

 「『ぬるぽ』」

 『ガッ……その名前は弊社のプログラマーに甚大なダメージを与えますので、使用することが出来ません』

 「ぐぬぬ」

 

 とか

 

 「『妹のお兄ちゃん』……これで可愛い子たちからお兄ちゃんと呼ばれる……ちょっと俺、天才かもしれん」

 『既にその名前は使われいます』

 「Nooooooooo!!!!!!!くっそぉぉぉぉぉ!!!俺よりもっと先に天才がいたかぁぁぁ!!!」

 

 とか

 

 「『H☆ERO』……ヒーローの変形だけどどうだ?」

 『えっちぃのはいけないと思います///』

 「あ……はぃ…………」

 

 等々もうこのおっさん、もはや形振り構わない状況になってきている

 そしておっさん、名前を付けるだけなのに先の見えないこの状況に危機を抱く

 そしておっさん、閃く

 

 「だめだ、俺が名前を付けようとするとダメになる気しかしない

 そこでだが、名前をそちらでランダムで決めてもらいたいんだがいいだろうか?」

 『ランダムですね?わかりました……『おしるこぜんざい』はいかがでしょうか?』

 「何その小豆押し?違うのない?」

 『……『かに味噌温泉』はいかがでしょうか?』

 「ぇ?『かに味噌温泉』???……ゴメン無理、別のをお願いします」

 『……『オリーブオイルin柚子味噌ラード』はいかがでしょうか?』

 「もう訳がわかりません、別のをお願いします」

 『……『Shooting ☆彡(ほしさん)』はいかがでしょうか?』

 「スターじゃないの?……そのセンスは無いわぁ」

 『『†聖天使†ミカエル』を思いつく人に言われたくないですーうわーーん』

 「ちょ???」

 

 幼女アバターは泣いた……泣きながら去っていった

 取り残されたおっさん

 

 「オーウィ……オーウィ…………俺は一体どうすればいいんだ?」

 

 途方にくれるおっさん……とその時、前からズシィン、ズシィンと重厚な足音が聞こえる

 

 『お~ぅ~ま~ぇ~か~、うちの子を泣かしたカッス野郎は』

 「へ?ぇ?えぇ???」

 

 目の前にごつい厳ついおっさんアバターが現れた

 名前を決めるという最初のミッションで何故こんなことになっているのだろう……とおっさん全力で混乱中

 

 『話は全てログを見させてもらったが……『Shooting ☆彡』の何がいけない?』

 「え~、読みがシューティングほしさん何ですよ?なんですかこれ?」

 『ふ~む、かっこいいと思うんだけどなぁ……そっか、そんなわがままはお前には選択肢をやろう

 『Shooting ☆彡』と『対ロリ†全力ツンデレたん』好きなほうを選べ』

 「ぇ?」

 『だから、お前の名前だ

 『Shooting ☆彡』と『対ロリ†全力ツンデレたん』……どっちがいい?』

 「その2つしかないのですか?もっとましな名前は」

 『ない』

 「それじゃぁ『Shooting ☆彡』で」

 『なんだかんだでそっちを取るではないか、後はアバターを調整するぞ?』

 

 身ばれしない程度に髪や顔をチョコチョコいじり、すんなり完了する

 

 『お、完了したか?

 ようこそ【IFO】へ』

 

 ごつい厳ついおっさんに言われるよりも幼女アバターにいわれたかったなぁとおっさん改め『Shooting ☆彡』は思ったそうな

 視界が暗転し、気づいたときには街に降りていた

 『Shooting ☆彡』は思った

 先ずはギルドだ

 この名前だ……多分パーティに誘われることは無いだろう

 だから先ずはギルドに入ることに決めた

 とりあえず、『厨二病隔離棟』ギルドか『ランダム名被害者の会』ギルドって無いかな?

 

 こうして1人のおっさんが【IFO】の世界を歩みだす

 

 

 


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