ん、今日から夏休み?
◇
「――ワッ!――キワッ!黄羽ッ!?」
少しずつ意識が浮上して・・・まるで暗い水の底から浮かび上がるような感覚を覚えながら母さんが俺を呼ぶ声が俺の耳に届く。
もう朝かぁ・・・まだまだ眠いな~と、思いながら重い瞼を開けたら思った以上に近くに母さんの顔が合って思わず変な声が出そうになった。
「か、母さん・・・!?」
「黄羽!よかった、目が覚めたのね!」
母さんは涙を流すと俺をきつく抱きしめた。
「母さん・・・?目が覚めたって何?起きちゃダメなの?え、てか学校遅刻?」
どうして母さんがこんなにも強く俺を抱きしめて泣くのかが理解できなかった俺は、一旦冷静になって考えてみる。
う~んえっと?
母さんが俺を起しに来る時は、だいたいが遅刻だな。
学校の遅刻は案外ないかもね、てか、そういえば今日から夏休みではないか。
遅刻するはずがない。
・・・ん?今日から夏休み?
「ああああああ!!!!」
「キ、黄羽!?どうしたの、どこか痛いの?先生呼ばなきゃ!?」
「母さん、どこも痛くなんかないよ、今何時!?俺のキャンプは!?」
「せ、先生!あ、ナースさん、黄羽が、うちの黄羽が目を覚ましましたッ!!」
「ちょっと待って母さん!俺のキャンプは!?時間は?」
「先生!早く!黄羽が目を覚ましたんですよ!!」
「母さん、時間!!・・・て、え、先生?」
飛び起きてからやっと分かったような気がする。
俺のいるこの部屋自体、俺の自室とはまるで違くて今俺が着てる服だって俺のパジャマじゃなくて・・・これってまるで・・・
「おぉ!黄羽君。目が覚めたのか、よかったですね、お母さん」
横に扉をスライドして入ってきたのは白い白衣を着て聴診器を首から下げている男の人。
「黄羽君、もう立って大丈夫なのかい?」
これ、真面目に丸っきり・・・
「病、院・・・?」