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姫雪物語  作者: 夜葉憂人
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 4月8日 雨


今日から、日記をつけることにします。

長い闘病生活に嫌気がさしたというわけではないのですが、此処での暮らしもそろそろ半年を迎え、読書やゲーム以外の暇つぶしを長い間考えていて、これを思いついたのです。

……そういえば、なぜ敬語なんでしょう。なんか恥ずかしいですね。日記なんて小学生のとき以来で、文を書くことに慣れていないものですから、どうやって書けばいいのか。まぁ、このままでいいですよね。こちらの方が書きやすいですし。

さて、今日は辛いことがありました。悲しい、寂しいことです。わたしの病室は二人部屋でして、同室の初老の方が居たのですが、彼が亡くなったんです。末期の癌を患っていました。

そのおじいさんは最近、物憂げに窓の外を眺めていることが多かったような気がします。自分の死を見つめる目だったのでしょうか。相部屋になって一ヶ月くらい、彼と実際に話したことはありませんが、あの瞳を見て、彼のことを少しだけ知る事ができたと思います。

家族の人たちは、泣いていました。同じく初老の女性、若い青年とその隣にいる女性は声を押し殺して、二人に手を引かれた幼児は、悲痛な声で泣き叫んでいました。聴いていて、わたしの胸が痛みました。


――――何故、死ぬのでしょうか?



今日はこれくらいにしておきます。消灯の時間も近づいていますし……。

それでは、また明日。


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