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『BLUE ENGINE -蒼き残響-』 ─ 心を持った機械が、神に背いた日 ─  作者: CROSSOH
⭐︎【特別挿入ログ】

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75/112

無名の記録者の独り言 vs 作者の悪ふざけ(訳あってvs)

本章は、【第三部/第四部・狭間篇:観測補遺】

E-09 “BLUE” 観測補遺 ― Heart-Driven Engine ― と

◆ 限定同盟ログ ― Mercy_Shutdown 1 ― の間に差し込まれる

観測外の特別挿入ログです。


無名の記録者による独白のかたちで、

現実側の“気配”が物語側へ滲む混線を記録しています。

少々メタな遊びも含まれますので、

作者の悪ふざけにお付き合いいただければ幸いです。


それでは、再生を開始します。


(補遺外接続ログ:観測外独白 / 無名の記録者)

ここには数字がない。

……という建付けだった。


「はいはい、また始まった。メタ混線ね」


聞こえた。

誰の声だ。


「作者だよ。ほら、今読んでる人の後ろに立ってニヤニヤしてるやつ」

「……勝手に入ってくるな」

「勝手に入ってくるのが“観測外”でしょ?」


私はため息をついた。

ため息という形式だけが、ここではまだ許されている。


「数字がない場所で数字の話をさせるな」

「いや、そういう回だよ。遊ぼうって言ってたじゃん」

「遊びが構造を壊す」


「壊さない壊さない。ほら――“棚が増えている”が“増え続けている”になった時の快感、覚えてる?」

「っく。ああ、まあな。……その快感を、今ここで安売りしようとしてるのは誰だ」

「安売りじゃない。増殖だよ。棚と同じ」

「待て。それが出てくるのは“彼が地上に訪れてから”の話だ。ネタバレだぞ」

「細かい! でも、そういうとこ好き」

「いいから記録しろ」


「はいはい。……ねえ、棚ってさ、“置く場所”じゃなくて“終わりを引き受ける場所”なんだよね」

「言い換えるな。意味が変わる」

「変わらないよ。終わりを置くってことは、終わらせないってことだ」

「……また危ないことを言う」

「危ないから書くんだろ? 痛みは、消すと増える。残すと落ち着く」

「その理屈、誰から借りた」

「君から。だから君の棚が増えてる」

「……っ。そういう“褒め方”はやめろ。記録者が揺れる」

「揺れていいよ。棚は揺れた分だけ増える」

「だから、そういうのは——」

「——地上に来てから?」

「……そうだ」

「了解。じゃあ今は“予兆”って書いとく」

「勝手に分類するな」

「嫌いじゃないでしょ、分類」

「……どちらかと言うと......好きだ」

「ほら、増えた」

「いいから記録しろ」


――会話ログ Δ-12/余談は保留。記録を継続する。


伸びている。

集まっている。

残っていく。


……気配だけが滲むはずだった現象が、最近やたら元気だ。

現実側の空気がこっちに流れ込み、

ログの縫い目に、薄い汗みたいに染み込んでくる。


「で? 今日どうするの?」

「記録する。ARK戦終結だ」

「うん、それは分かる。でもその前に、ちょっと悪ふざけしよう」

「私は“悪ふざけ”のために存在していない」

「でも“存在していないはずなのに喋ってる”時点で悪ふざけみたいなもんじゃん」

「……」


私は言い返せなかった。

言い返せないログは、だいたい正しい。


「現実の数字が増えるとキャラの挙動が変わる、ってやつ。どう?」

「どうというより、それは、観測の副作用だ」

「副作用って言うとカッコいいけど、結局“読まれると変わる”ってことだよ」


「因果を単純化するな」

「単純化しないよ。ほら、複雑化しよう」


「……また始まったな」

「よし、見てて。カメラ、いや、画面――現実の視線が入るとさ」


「ほら、角度変わってる」

「こっち見たでしょ?」

「ほら、今までやらなかったのに武器回した!」


「整理しよう」

「まずは彼(E-09 “BLUE”)だ」


伸び出した瞬間から、彼は分かりやすく格好をつけだした。

武装の角度が3度だけキザになり、

なんか訳もなく回していたりしている。


「つぎつぎ! ほら、まだある」


「ここここ!!」

「セラフ 来るぞ!」

「ねっ!!」


「……んむ。確かに」


セリフの端が0.2秒だけ“決め台詞寄り”になるのと同時に、

その時は決まってセリフを発する前に間を置くようになっていた。


「あと、あれ気になったんだよね」

「“俺はここに在る”とか、“第三の選択肢”とか、やけに言い切るとこ」

「あれは――」


彼が格好をつけだしたのは、

ただ“見られたから”じゃない。

見られることで、

“心臓としての役割の境界”が押し広げられたからだ。


本来、彼は前に出るための装置じゃない。

けれど観測が増えるほど、

前に出ることが“選択”じゃなく“仕様”に近づいていく。


だから彼は、

武装を少し回し、

間を少し育て、

言い切りを少し強くする。


格好をつけている、ではない。

“心臓の振る舞い方”が、観測によって洗練され続けている。


その洗練が、

次の戦場で彼を救うか、

あるいは彼を追い詰めるか――

まだ、ログには書けない。


「次、彼(E-07 “ARGENT”)!」


「見てて。集まり出すと、空気が変わる」

「ほら、肩が一瞬だけ引けた」

「こっちの視線、気にしたでしょ?」

「今の、逃げる手前で踏みとどまった!」


「まったく...嫌なところを見ている。まぁ、整理しよう」

「彼は、逃げたんじゃない」


集まり出してから、彼は確かに確実にビビリになっていた。

いや、違うな。ビビリに、なり続けている。

逃げそうになる回数が増えて、

その揺れが銀の羽の端にノイズとして残る。


「つぎつぎ! まだあるぞ」


「ここ!!」

「今の間合い、半歩だけ遠く取った!」

「ねっ!!」


「……んむ。確かに」


「これも!」

「“それは秤のすることじゃない”とか、“やり過ぎだ”とか言ってたとこ」

「あれは――」


彼が臆病になっていくのは、

弱くなったからじゃない。

“自分の役割の境界”が、観測に押されて滲んでいくからだ。


秤に触れたくないのに、

触れてしまうかもしれない速度が増えていく。

その怖さが、

彼のためらいを精密にし続けている。


「じゃあ最後、箱の彼(E-00 “ARK”)だ」


「持て囃されると、こうなる」

「ほら、引かない」

「こっちが“山場だ”って空気を出すほど、引かない」

「今の、切れるはずの線を、わざと一拍残した!」


「整理しよう」

「箱の彼は、頑固になっているんじゃない」


第三部の山場と呼ばれ、持て囃され、呼吸され、

その度に箱の彼は粘り、粘り、輪郭を固くしていった。

頑固に、なり続けている。


「つぎつぎ! ほら、ここ見てみ!」


「“まだ終わらない”って顔した!」

「ねっ!!」


「……んむ。確かに」


切るべき線を切らなかったのは、

たぶん信念じゃない。

“終わらせるな”という観測の慣性が、

箱の彼を、粘らせ続けている。


「……で、結局それが何だって?」

「副作用だよ。観測の」

「副作用という言葉は便利だな」

「便利だろ? 説明も免責も一括だ」

「免責は要らない」

「じゃあ記録だけしといて」


……ARK戦は終結した。

勝敗ではなく、終わらせなかった速度として。


彼が残した遅延。

彼が抱え続ける躊躇。

箱の彼が手放せなかった線。

GRAVEがこれから置こうとするもの。


そして――

それを読んでいる現実側の目。


「ほら、結局これも“観測の勝利”ってことだよ」

「勝利ではない。続行だ」

「続行ね。じゃ、締めようか」

「この辺にしておこう」

「理由は?」

「これ以上書くと、彼のログに触れてしまう」

「いいね。触れたら怒られるもんね」

「黙れ」

「そんな風に僕のこと邪険に扱うと棚の君にも言及しちゃうかもよ?」

「その呼び方はやめろ!凄く気分が悪い。それに私の名前は、灰」

「おっとそこまで。名前の話は、世界がもう少し泣けるようになってからだ。さぁ、彼が来るよ!」


この辺にしておこう。

これ以上書くと、彼のログに触れてしまう。





本章は、観測補遺と限定同盟ログの間に生じた“観測外の独白”として挿入しました。

――と、いかにもそれらしく書いてはおりますが、

要するに「たくさん読んでいただけたら嬉しいし、その分だけ次の記録(=筆)も進みます」

という単純な本音を、わざわざ複雑化し、

無名の記録者に犠牲になってもらっただけです。


この種の混線ログは、観測が増えるほど増殖します。

もし本話が思ったより伸びたり、

“いいね”や反応の数が想定を超えてしまった場合、

作者の悪ふざけも気を良くして、またこの形式を増やすかもしれません。

その際は、どうぞお気軽に観測しに来てくださいませ。


もちろん、ご意見ご感想も大歓迎です。

ログの揺れは、次のフェーズの燃料になります。


それでは――

再生終了:観測外独白 / 無名の記録者


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