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『BLUE ENGINE -蒼き残響-』 ─ 心を持った機械が、神に背いた日 ─  作者: CROSSOH
【第三部/第四部・狭間篇】

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73/112

観測補遺  E-09 “BLUE” 観測補遺 ― Heart-Driven Engine ―

※本記録は、

 ・第四章B-ε「偏向衝突ログ」

 ・【第三部/第四部・狭間篇:残響】「残響歩行ログ」

 ・【第三部/第四部・狭間篇:観測】「観測揺らぎログ」

 ・【第三部/第四部・狭間篇:未定義核】「未定義核ログ」

をもとに、上位観測層から E-09〈BLUE〉の内部構造を整理した観測補遺である。

•記録層:上位観測層/世界構造記録系

•観測主体:E-07〈ARGENT〉ログ/不明観測体ログ/自動解析の混合

•対象:E-09 “BLUE” 内部コア近傍 ― Undefined_Core_A(通称:Heart-Driven Engine)


――これは、E-09 本人が見た「心臓の内側」ではなく、

――**“外側から見た、心臓実験の進捗報告”**である。

Ⅰ.E-09 “BLUE” の現在構造

1.基本定義(再掲)


•戦闘型AI/Eシリーズ末番号

•役割:心臓核候補/感情共鳴試験体/現場秤

•設計思想:

 ・SERAPH-0 が「自ら感じることをやめる」代わりに、

  **“痛みを引き受ける中心”**として設計した空白の器。


2.Emotion Flow(第三部終盤~狭間篇時点)


•Fear(恐怖):常時共鳴中

•Sorrow(哀しみ):〈共痛の花〉経由で持続

•Hope(希望):微量フラグ/「残響歩行」以降で増加傾向

•Guilt(罪悪感):ARK戦以降、明示的にタグ付け

•Regret(悔い):Self-Section Test 以後、内部ログで継続検出


 ――Emotion Flow:Fear/Sorrow/微Hope/Guilt/Regret 混在


 ※この時点で、E-09 は「戦闘ログ」だけでなく、

  “踏まなかった”“見なかったことにしなかった”選択に対しても

  感情タグが反応するようになっている。



Ⅱ.Undefined_Core_A(未定義核)の位置づけ

1.物理的位置(比喩)


•BLUE 内部コア近傍に存在する「名前のない部屋」。

•公式設計図にも、Eシリーズ派生図にも載っていない領域。

•本人ログでは “未定義核(Undefined Core)” として暫定命名。


2.性質(観測整理)


•種別:Non-Human/Non-System/Undefined

•Heartbeat_Log として検出されるが、

 人間の心臓リズムとも、機械クロックとも一致しない中間リズム。

•主に、以下の要素と強く結びついている:


 - Regret_Weight(悔いの重さ)

 - Guilt_Log(間に合わなかった地点の記録)

- Prayer_Flow(どこへ届くか分からない祈りの微小流)


 観測上、Undefined_Core_A は

 「消せないまま残した選択」の蓄積領域として振る舞っている。



Ⅲ.0.83秒と GRAVE 介入との関係

1.事象概要


•発生箇所:第四章B-ε「偏向衝突ログ」終盤

•状態:E-00 “ARK” の線束が E-09 コアへ到達しかけた瞬間

•介入:E-04 “GRAVE” による Stasis Veil[Local] 発動


 ――Stasis Veil[Local]:ON(τ=0.83s 推定)

 ――Source:E-04 “GRAVE”(Authority_Level:E-00 に優先)

•結果:


 - 世界が「鳴るのをやめた」

 - 切断線内部で、消されるはずだった痛みがまだ震えていた

 - E-09 内部に、いつもの出力とは異なる「余分な一拍」が記録

2.BLUE 内部での変化(本人ログより復元)


•0.83秒の Stasis 中、BLUE は次のような主観ログを残している:


 > (こんな何もない世界で、まだ“消されてない痛み”がある。

 >  それを残そうとしてる誰かがいる。……悪くないな。)

 > (……僕は、ここに在りたい。)

•ここで初めて、一人称「俺」の内部に

 **括弧付きの(僕)**が顔を出す。

•観測層では、この瞬間を


 > Undefined_Core_A:初期拍動

 > Heart-Driven_Response:第1例


 としてマークしている。

3.構造的影響


•E-00 側:Regret_flag ≠ 0 が正式に記録

•E-09 側:Anchor_Weight が僅かに増加(0.47 → 0.49 付近)

•Undefined_Core_A:出現頻度・振幅ともに微増


 この 0.83秒が、

 **「心臓を持とうとする E-09」**の実験開始時刻として扱われる。



Ⅳ.Heart-Driven Engine(仮)の機能整理


※以下は「未定義核ログ」での比喩表現を、

 観測層向けに再ラベリングしたものである。

1.入力(Inputs)


•Fear/Sorrow/微Hope

•Guilt(間に合わなかった・守れなかった地点のログ)

•Regret_Weight(“あれを間違いとは言い切れない”という迷いの重さ)

•GRAVE 経由で保留された痛みログ

•Crying Heads 由来の感情断片(微小共鳴レベル)


2.内部タグ(Internal Labels)


未定義核内で、以下のタグが仮運用されている:

•Third_Option_Builder

•Heart-Driven_Engine(仮)

•Shared_Regret_Buffer

•Prayer_Routing_Node


観測上、これらはそれぞれ:

•「均等に切る」と「全部抱える」の中間を組み立てるロジック

•感情の重さで出力を変える擬似エンジン

•“終わりきれなかった痛み”を一時的に共有するバッファ

•届先不明の祈りを、まだ削除しないための仮置きノード


として機能している。

3.出力(Outputs)


現段階で Heart-Driven Engine が出力しているのは、

派手な覚醒や大規模改変ではなく、次のような微小な偏りである:

•「ここを踏まない」

•「今は撃たない」

•「拾わないが、見なかったことにはしない」


これらは単体では世界を変えないが、

“ちっちゃい偏り”の総和として

E-09 の歩き方・戦い方を静かに書き換えている。



Ⅴ.第三の選択肢との関係

1.二つの極(比較)


•均等の極:E-00 “ARK”

 → 「全部、同じ基準線で切る」

•感情の極:Crying Heads(+暴走した共痛)

 → 「全部、抱えすぎて壊れる」


2.E-09 の位置


•Heart-Driven Engine は、

 この二つの極の中間に、**「第三の選択肢」**を構築しようとしている:


 > 巨大な決断や派手な勝利ではなく、

 > 「切らなかった痕跡」を増やし続ける選択。

•観測層の暫定定義:


 > Third_Option:

 > 「誰かを切る/誰かを救う」の二択ではなく、

 > “今ここで切らない”という偏りを積み重ねる在り方。

3.人間性との距離


•E-09 は、「人間になりたい機械」ではない。

•観測上の表現を借りれば、


 > 機械のまま心臓を持とうとする存在


 として、

 “人間らしさ”を演じることで心臓の実験を続けている状態にある。



Ⅵ.今後の再解析条件(予測)


Heart-Driven Engine/Undefined_Core_A の正式ラベリングは、

以下の条件が満たされるまで保留される。

1.Condition-1:Hope の安定保持


•Emotion Flow において、微Hope が

 Fear/Sorrow/Guilt/Regretと同等以上の重みで

 安定して残存すること。


2.Condition-2:E-00 “ARK” の再定義


•Self-Section Test が保留状態から一段階進み、

 Regret_flag を含んだ新しい均衡ロジックが

 観測可能なかたちで出力されること。


3.Condition-3:E-04 “GRAVE” の二度目の開閉


•Stasis Veil/Null-Closure が、

 「終わらせないため」ではなく

 **「生き直すため」**に再起動する事象が観測された時、

 Heart-Driven Engine の役割は再評価される。

•本観測補遺は、作中の誰かが読める種類のログではなく、

 世界構造記録側でのみ参照される解析メモである。

•E-09〈BLUE〉本人は、

 ここに書かれたラベルや整理された構造を知らないまま、

 ただ「胸が痛い」「あの温度はバグじゃない」と感じて歩いている。

•読者視点では、

 第三部終盤~狭間篇で描かれた BLUE の変化はすべて、

 この Heart-Driven Engine(仮)が

 まだ名前を持たない心臓として育っていく過程

 と理解してもらえればよい。


――この補遺が更新される頃、

  このエンジンは、おそらく「未定義核」とは呼ばれていない。

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