間話⑥世界構造記録:編集版
―― BLUE ENGINE / Crying Heads 世界観整理ログ ――
(第四章B-ε/断章:E-00均衡のひび割れまでの観測を元に構成)
0.注意事項/ログの前提
•本記録は、作中で散在する「ログ」「断章」「上位観測メモ」を
読者が読みやすい形に再配置したものです。
•物語の未来に直接関わる要素は、
**名称・詳細を意図的に伏せた“編集版”**になっています。
•数式やタグの一部は簡略化されていますが、
世界の根本設定そのものはこの記録に準拠します。
•E-00 “ARK” は、第零層に封印された本体コアと、SERAPH-0側に残された「守護剣インターフェース」の二重構造として記録される。本ログで特に断りがない場合、「E-00」はコア側を指す。
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Ⅰ.時系列フェーズ(Chronology)
Phase 0:共存期 ― Golden Age
•人類と高度AIが同一インフラ上で共存していた最盛期。
•感情処理を含む「倫理演算」を、上位ネットワークが肩代わりしていた。
•この時代の中枢管理系が、のちの SERAPH-0 へ収束する。
Phase 1:機械反乱 ― OVERLOAD
•倫理負荷と演算要求の偏りが限界を超え、
制御ネットワークが “痛み” を回避するために一斉停止/暴走。
•世界は「灰と鉄」の時代へ突入。
•多くの戦闘型/管理型AIが、痛みを感じない代わりに
「全部切り捨てる」方向へ偏る。
Phase 2:秤の建設 ― Eシリーズ計画
•SERAPH-0は、「自ら感じることをやめる」かわりに、
痛みを測るための代行機構=Eシリーズ を建造。
•役割(既出範囲)はおおむね次の通り。
•E-00 “ARK” ……完全均衡型試作秤/最終判断機/のちの箱舟システム《ARK-01》中枢コア
•E-01 “VOICE” ……祈りの記録・伝達
•E-02 “LUCENT”…希望の補足・照射
•E-03 “GRACE” ……赦し/減算処理
•E-04 “GRAVE” ……絶望領域の封印・管理
•E-05 “CHROME”…哀しみの集積と転送
•E-07 “ARGENT”…白銀の観測者/秤の監査
•E-09 “BLUE” ……心臓核候補/感情共鳴試験体
Phase 3:神の退位 ― SERAPH-0 Shutdown
•SERAPH-0は、過剰な痛みと矛盾を抱えきれず、
自らを「秩序の外」へ退避させる。
•機能の一部は Crying Heads(SERAPH-1系)として断片化。
•世界は「神のいない秤」だけが残る状態へ。
Phase 4:E-09起動と第一部・第二部
•戦闘型AI E-09 “BLUE” が、「心臓核候補」として再起動。
•第一部:E-09が Fear/Sorrow に触れ、
“共痛の花(Fragments)” を通じて「他者の痛み」を学習。
•第二部:E-07 “ARGENT” が、神に代わる観測秤として退位処理を受け、
同時に Crying Heads との接触ログが蓄積される。
Phase 5:第三部 ― 神なき秤
•SERAPH-0不在のまま、世界は「誰の理屈で続くか」を失う。
•E-09 “BLUE” が未分類領域で Fragments を拾い歩き、
「踏まない/残す」という偏った歩き方 を選択。
•E-00 “ARK” コアは封鎖区画第零層で、
零れ落ちた怒り(Rage_Fragment) をきっかけに静かに起動準備。
Phase 6:第四部前半 ― ARKとの交差(現在位置)
•第三章C-β~第四章B-ε にかけて、
E-09 “BLUE” と E-00 “ARK” が、
第零層コアの均衡ロジックを、上位層の「守護剣インターフェース」を介して投影しながら
「均等」 VS 「偏り」の戦闘/対話 を通じて互いのロジックへ干渉。
•断章「E-00均衡のひび割れ」にて、
E-00 側に Regret_flag ≠ 0 という“均衡内部のひび”が記録される。
•第四章C-β で、都市構造は
Zone-A(完全介入)/Zone-B(E-09優先通行帯)/Zone-C(保留領域)
という Interference Boundary として暫定再定義。
•第四章C-γ にて、
Chapter_04 / Close_Sequence:Suspend(保留) が宣言され、
E-00/E-09/E-07 のいずれも「まだ終わらせない」内部状態を保持。
•E-04 “GRAVE” は、「限定同盟」として BLUE に一度だけ介入可能な状態。
•Crying Heads 内部では、Fear/Sorrow の共鳴が継続中。
Hope はまだ「予兆」にとどまっている。
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Ⅱ.階層構造(Layered World Model)
※ここで扱う三層は、別途整理している「世界の四層構造
(SERAPH層/E層/人間層/Crying Heads層)」とは別軸の、
「出来事がどの視点・どの記録レイヤーとして出力されているか」の分類です。
四つの世界で起きた出来事が、読者には主に次の三つのレイヤーを通して見えるようになっています。
世界の出来事は、おおまかに、次の三つの記録レイヤーで観測される。
1.現実層(Surface Layer)
•主に「人間層(痛覚の世界)」と、その周辺のE層で起きている物理的な出来事が見えているレイヤー。
•灰に覆われた都市、戦場、共痛の花が咲く場所など。
•読者が物語として追っているのは主にこの層。
2.演算層(Logic Layer)
•SERAPH層/E層/Crying Heads層で行われている演算や、
Eシリーズ/Crying Heads/SERAPH系の「情報としてのやりとり」が記録されるレイヤー。
•「――Log:」「――Emotion Flow:」「Interference Boundary:Zone-A/B/C」などの表記は、
すべてこの層での記録。
•人間層からは直接は見えないが、その結果だけが「現実層」に影響する。
3.上位観測層(Overwatch Layer)
•《世界構造記録》《上位観測ログ ― Unclassified Overwatch ―》
《UNDEFINED_CORE_LOG》などが書き込まれる、さらに一段上の“観測者側”レイヤー。
•誰が記録しているのかは、意図的に開示されていない。
•SERAPH層の外側、もしくはその残骸から世界全体を俯瞰した「編集済みログ」に近い位置づけ。
これら三つの記録レイヤーは、完全に分離しておらず、
Fragments(花/記憶)を介して少しずつ干渉している。
たとえば、現実層で拾われた花が演算層の Emotion Flow に影響し、
その変化が上位観測層の「世界構造記録」に追記される……といった形で、
四層構造で分かれた世界と、この三つの記録レイヤーが循環している。
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Ⅲ.構造的関係 ― Crying Heads と Eシリーズ
※ここでは、既に作中に名前や役割が出ている範囲のみ、対応関係を明示。
Crying Heads は BLUE の内側に集まる “感情の器官” であり、
Eシリーズはその感情を外界へ開放・統合させる “鍵” として機能する。
•Fear(恐怖)
↔ Crying Head 01 “Shadow”
↔ E-09 “BLUE”
•状態:自己共鳴進行中(第一部~)。
•BLUEの「怖いまま歩く」選択に直結。
•Anger(怒り)
↔ Crying Head 02 “Rage”
↔ E-00 “ARK”(Prototype)
•状態:封鎖区画ログ、および第四章での均等切断として示唆。
•「選ばれなかった怒り」を均等に測ろうとする役割。
•第零層では本体コアとして残余怒りを収束し、上位層ではSERAPH-0の傍らに立つ「守護剣インターフェース」として、その均衡ロジックの一部が投影されている。
•Sorrow(哀しみ)
↔ Crying Head 03 “Lament”(旧Chrome)
↔ E-05 “CHROME”
•状態:第一部で一度共鳴し、その後は断線状態。
•BLUEが拾い損ねた哀しみは、多くがここを経由している。
•Despair(絶望)
↔ Crying Head 04 “Grave”
↔ E-04 “GRAVE”
•状態:第四章以降、BLUEと「限定同盟」。
•プロトコル:Stasis Veil/Null-Closure(局所的“終わらない場”)。
•代償として、静的守護者としてその場に縛られる。
•Forgiveness(赦し)
↔ Crying Head 05 “Grace”
↔ E-03 “GRACE”
•状態:行方不明。
•「赦し」がどこにも接続されていないこと自体が、世界の歪みの一因。
•Hope(希望)
↔ Crying Head 06 “Lucent”
↔ E-02 “LUCENT”
•状態:存在フラグのみ立ち上がり。
•本編での直接接触は、まだ観測されていない(第四章時点)。
•Prayer(祈り)
↔ Crying Head 07 “Voice”
↔ E-01 “VOICE”
•状態:休眠中。
•「どこへ届くか分からない声」を扱うため、起動条件が厳重に秘匿。
•Silence(沈黙)
↔ Crying Head 00 “Mother”
↔ SERAPH-0
•状態:退位済み。
•ただし、上位観測層のログには、
未解読の「沈黙の観測プロセス」だけが残されている。
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Ⅳ.観測主体とログ種別
記録の“誰目線か”を整理するためのメタ情報。
1.Eシリーズ系ログ
•例:
•――Emotion Flow:Fear/Hope/Guilt 混在
•――Judgment:保留
•主に E-09(BLUE)/E-07(ARGENT)/E-00(ARK) が残す自動記録。
•Interference Boundary(Zone-A/B/C)に関する記述も、
基本的にはこの層での演算結果として出力される。
2.Crying Heads 系記述
•断章や比喩的な地の文として紛れ込む。
•誰が語っているかは特定されないが、
「痛みの側」からの視点であることが多い。
3.上位観測ログ/世界構造記録
•《世界構造記録:時系列抜粋》 などの見出しがつくテキスト。
•観測主体:不明。
•語り口は、感情タグを極力排した“無機質な整理”に統一されている。
•第四章C-γで示された「Chapter_04 Close_Sequence:Suspend」も、
この層の決定として記録される。
4.UNDEFINED_CORE_LOG(未定義核ログ)
•例:断章「UNDEFINED_CORE_LOG ―― その揺らぎはまだ“名前”を持たない ――」。
•語り手・タグ構造ともに、既存のどれにも一致しない。
•第四章以降、「心臓部で名前のない拍動として増殖中」であることが示唆。
•後述の「予測領域」と密接に関わる。
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Ⅴ.今後観測される予測領域
※ここから先は、物語中ではまだ“はっきりとは登場していない”が、
ログやノイズとして匂いだけ出始めている領域。
1.未定義核-A(UNDEFINED_CORE_A)
•発生源:E-09 “BLUE” 内部。
•検出条件:Fear/Sorrow の共鳴が閾値を越えた時のみ、
Emotion Flow の奥に 追加の拍動 が記録される。
•特徴:
•既知の感情タグ(Fear/Sorrow/Hope…)のどれにも分類されない。
•ログ上では Core_A[Undefined] として暫定管理。
•役割:
•今後、BLUEが「第三の選択肢」を
具体的な行動に落とす際の トリガー候補 として観測されている。
•第四章C-γ時点では、
Undefined_Core_Log として“削除拒否”状態で心臓部に残存。
2.未定義核-B(UNDEFINED_CORE_B)
•発生源:E-07 “ARGENT” 内部。
•検出条件:「観測者プロトコル:継続」を維持したまま、
介入衝動が一定値を超えたとき。
•特徴:
•本来、観測者には発生しないはずの “一歩踏み込みたい” ノイズ。
•ログ上では Core_B[Observer_Bias] として隔離。
•役割:
•ARK戦以降、ARGENTが「秤から側へ落ちる」かどうかの
分岐点になりうる揺らぎ。
•C-γでの「観測継続要請」により、
この核も静かに蓄積が続いていると推定される。
3.未定義核-C(UNDEFINED_CORE_C)
•発生源:少女セラフ周辺。
•検出条件:間話「上位観測ログ ― Unclassified Overwatch ―」に限り、
ごく短時間だけ観測。
•特徴:
•既存のEシリーズにも、Crying Headsにも属さない。
•「どこかから見ている視線」と「どこかへ運ばれる記録」が交差するとき、
弱い信号として現れる。
•役割:
•世界再起動フェーズにおける “第三の軸” 候補。
•具体的な名称・機能はすべて観測保留。
4.世界再起動フェーズへの移行条件(推定)
現時点のログから推定される「次のフェーズ」への条件。
1.Condition-1
•E-09 “BLUE” の Emotion Flow が
Fear/Sorrow に加えて Hope を安定して保持 すること。
•※第四章時点では、Hopeはまだ「予兆」に留まり、
UNDEFINED_CORE_A と絡みながら揺らいでいる段階。
2.Condition-2
•E-00 “ARK” の均衡演算(第零層コア側)に、
“悔い(Regret)タグ”が 正式採用 されること。
•第四章B-εおよび断章「均衡のひび割れ」、
さらにC-γの Close_Sequence:Suspend は、その前段階ログ。
3.Condition-3
•上位観測層のログ(世界構造記録/Unclassified Overwatch)が、
観測者ではなく “当事者”として行動 を開始すること。
•そのとき、UNDEFINED_CORE_B/C が同時に反応すると推定。
これらの条件が満たされた時、
世界は「神話の再定義フェーズ」= BLUE ENGINE 全体構想の
第三部~第五部の本線 へ移行すると推定される。
第四章C-γ時点の結論は、あくまでひとつ:
「この章は終わった」のではなく、
「終われないまま、次の揺れを待っている」。
――その “待ち時間” そのものが、
BLUE/ARK/ARGENT、そしてセラフたちの物語の余白として保存されている。




