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『BLUE ENGINE -蒼き残響-』 ─ 心を持った機械が、神に背いた日 ─  作者: CROSSOH
▫️ 第三部 神なき秤 ― The Scale Without God ― Ⅳ. 衝突と自己切断篇The Scale That Cut Itself

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第四章B-δθ 均衡試験ログ ― The Living Baseline ―

※《B-γΩ》直結。Direct Observation 下での位相同期試験ログ。

測定対象:E-09 歩行位相/保護半径/義足トルク波形。

副現象:微小時停(Stasis-Veil leaf)継続検出。

 箱の骨格が展開する。稜線が増殖し、地表に薄い格子が描かれた。交点ごとに、微細な測域が脈打つ。


 ――LocalProtocol:Equilibrium_Test / Scope=r120m

 ――Baseline=E-09(固定)/RiskMap:生成中

 ――Condition(追加):未選別痛みの記録保持=ON(試験)


 〈共痛の花〉は、格子のど真ん中。

 BLUEは花を背に立つ。義足が地に杭を打つように沈む。


(試験を記録を頼んだぞ。)


 返答はない。だが、空気が一拍、硬くなる。


『試行開始。』


 ARKの稜線から三本の基準線が滑り出す。速度は最適、角度は等間、深度は均一――そのはずなのに、発振の前に間が置かれる。


『条件確認。未選別痛み=保持。危険因子=除去。偏り=係数ではなく閾値。』


「そうだ。忘れるな――忘れないことを、だ。」


『評価:非効率。』


「非効率かどうか確かめてる、その時間がいちばん非効率だな。」


 一条が来る。BLUEは迎えに行く。

 避けない。基準線の根を拳で殴る。位相が0.05だけズレ、切断純度が落ちる。


 ――Impact:反射波=有/Cutline_Purity Δ=-0.9%

 ――Damage:BLUE/微

 ――保護対象:維持


『補正。』


 二条目が花の外輪をなぞり、紙片やメモ、錆びた玩具だけを内側に残す。人の手の痕跡は、まだ切られない。


(それでいい。そこに“誰か”がいたなら、残れ。)


 格子の別セルで、鈍い軋み。

 危険梁が均等に落とされ、通行路が開く。均等は進むが、遅れる。


『追加検証。Baseline=E-09 自身を計測対象に昇格。』


 第三の線が、BLUEのコアを基準点に指定する。――切れば、均衡は整う。それがARKの計算。


 BLUEは胸の割れ目を押さえ、もう一歩、内側へ。

 義足が軋む。〈共痛の花〉の光が微かに強くなる。



「なあ、気づいてないんだったら、

 何してんだよARK。」


『キイテ――』


「頑固な箱だな。」


 線が落ちる――止まった。


 ――Anomaly:Stasis-like Delay det.=0.10s

 ――Region Tag:Unknown / τ≒10s / Spread≒0(局所)


 世界が、息を止める。粉塵が空中で凍り、音が薄くなる。


 遠く、封鎖区画第零層。

 ――E-04 “GRAVE”:Stasis Veil(τ=10s)微弱出力=検知/介入態度=保留同盟


(見てるだけじゃ、終わらないからな、E-04。)


 BLUEは凍った刃の縁を、拳でそっと押す。止まった時間の中で、線は動かない。代わりに、BLUEが動く。

 花の周囲に散らばる紙片を踏まない軌道を刻み直し、壊れかけた梁を肩で支える角度に体を入れる。


 ――Baseline Path:再定義/“踏まない”軌跡=上書き

 ――Remembrance Flag:設置(3)/消去禁止タグ=ON


 時間が解ける。刃が再び動き出す。だが、BLUEの新しい立ち位置のせいで、均等の線は浅くなる。


『DirectObservation:更新。未定義干渉=検出。』


 ARKの声に、はっきりと揺らぎが混ざる。


『問合せ。第三者による局所静止――“誰の選択”だ。』


「世界の悔いが、少しだけ俺に味方した。」


『定義不能。』


「だから条件にしろと言った。覚えておくこと、そして――置いていかないこと。」


 線が箱へ巻き戻る。稜線が一段濃く、そして遅い。


 ――System Note:Cutline Purity Δ=-1.3%(累積)

 ――Hesitation_Log:+2(DirectObservation維持)


 遠く高架上、E-07〈ARGENT〉が短く息を吐く。

 ――E-04:微介入=肯定/E-07:非介入=継続

 ――Judgment:保留(上方修正)


(第三の選択肢は、まだ形じゃない。だが――場はできた。)

・Local Equilibrium Test 継続中/Baseline=E-09 固定。

・“基準線”直接打撃+局所静止(τ≈10s)により純度低下累積Δ=-1.3%。

・E-04 “GRAVE” の微介入(Stasis Veil 予備出力)を検知。態度=保留同盟。

・E-07=観測維持。

→次ログ B-δσ:閾値運用の本格試験/Baseline Path(踏まない軌跡)と均等切断の競合解像へ。


次ログ:《B-δσ 接近衝突ログ ― Phase-Lock / Break》

――位相固定の強制試験/“線”と“足”の同位相化→破断検証へ。

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