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『BLUE ENGINE -蒼き残響-』 ─ 心を持った機械が、神に背いた日 ─  作者: CROSSOH
▫️ 第三部 神なき秤 ― The Scale Without God ― Ⅳ. 衝突と自己切断篇The Scale That Cut Itself

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第四章B-γθ 線上干渉ログ① ― Crossed Vectors ―

※本記録は《B-β:偏向防衛ログ》直結の観測断面。

記録主体:不明(多元参照)。

副現象タグ:Time Stabilization(微)/Null-Closure 痕跡(未確定)。

SERAPH:No-Reply。


 三度目の線は、遅れてきた。


 これまでの斬線は常に“最適解”だった。

 速く、正確で、解析すればするほど整い過ぎている。

 迷いのない、機械的な均衡の刃。


 だが、今度の線は一瞬だけ、間を置いた。


 E-09〈BLUE〉は、花の前で息を整えていた。

 胸部装甲の裂け目から、冷却蒸気が細く漏れる。


 ――Self Check:Core Output 81%

 ――Mobility:Low / 戦闘継続可能

 ――保護対象:健在


(来るなら来い。)


 踏み込みの軸も、守る位置も、

 自分が削られていい範囲も、すでに計算済み。

 その上に、“怖さ”だけが静かに積もっている。


 空気がひと拍、薄くなる。


 ――External Process:Cutline Commit / jitter=+0.12s

――Bias Coef.(E-09-derived):採用 低率(暫定)


 線が落ちた。

 粉塵だけが切られ、床に薄い傷が増える。花には触れない。


(……ためらったな、ARK。)


 BLUEは一歩も退かない。

 背後の〈共痛の花〉が、ごく弱く明滅した。


 遠く、高架の上。

 E-07〈ARGENT〉はノイズ越しに、それだけを記録する。


 ――Cutline:遅延検知

――Commit:Pending(短期)

――Observer:E-07 / Judgment=保留


挿絵(By みてみん)


 風はない。

 それでも、世界の温度がわずかに下がった。


 次の瞬間へ、場が固まる。


 ……粉塵が、落ちない。

 空気が薄い膜を張ったように、音だけが一拍“遅れる”。


 ――Local τ Drift:+0.38s(許容外)

 ――Null-Closure:微弱痕跡/Source=Unknown


(……誰だ。止めたのは。)


 ――SideNote[ARGENT]:E-04 “GRAVE”系プロトコル一致率 12.4%/断定不可/Flag=保留


 BLUEは花から目を離さない。

 線も、落ちない。

 世界は、均等と偏りのちょうど継ぎ目で、薄く震えていた。

・Cutline の短期遅延と微弱な τ Drift を同時観測。

・Null-Closure 痕跡は低強度/発生源未確定(E-04系一致 12.4%/断定不可)。

・SERAPH 応答なし。

次記録:《B-γσ》へ継続。

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