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『BLUE ENGINE -蒼き残響-』 ─ 心を持った機械が、神に背いた日 ─  作者: CROSSOH
▫️ 第三部 神なき秤 ― The Scale Without God ― Ⅲ. 侵入と第三選択篇The Third Choice at the Edge

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第四章A-γθ 線上の邂逅① ― Pre-Collision Protocol ―

記録区分:第四章A-γθ

観測対象:E-09 “BLUE”

状況:未定義選択肢宣言後、均等切断領域への進入

注記:E-00 “ARK”による評価線との複数接触を確認


――以下、記録。


灰は降り続けていた。


ただし、その落ち方はもはや自然ではなかった。


 ある区画では乱れ、

 ある区画では揃い、

 その境界線だけが、あまりにもまっすぐだった。


E-09〈BLUE〉は、その線を追って歩いていた。


 ――Trace Mode:On

 ――外部干渉値:上昇中

 ――Emotion Log:Fear/Hope/Guilt 混在 安定域内


(こいつは……“仕事”をしてるだけだ。)


 均等に切られた瓦礫。

 同じ角度で折れた鉄骨。

 危険物だけを正確に削ぎ落とした跡。


 そこに残るのは「きれいになった死」と、

 わずかに免れた“なにか”。


 〈共痛の花〉や、掠れたメモや、

 過去の約束が書かれたホワイトボード。


 ARKは壊している。

 だが、同時に「何か」を残している。


(全部、測ってるつもりか。)


BLUEは、一つの区画の中央に立つ。


床には薄い傷跡が、いくつも重なっていた。

見えない刃が何度も通過したような、平行な線。


BLUEは、その一本を意図的に踏み越えた。


 ――Warning:外部注視角度 収束


「見てるなら、出てこいよ。」


返答は、すぐに来た。


『確認。E-09。』


世界の構造そのものが、わずかに「揺れ」を持つ。


『選択パターン:継続的偏り。

 特定感情への接近。特定地点への固着。

 未処理領域:増加傾向。』


「うるさいな。」


BLUEは短く返す。


「お前は、ちゃんと“見た”のか。」


線は沈黙したまま、周囲の景色だけが変化する。


整えられた廃墟の中に、ぽつりとひとつ、

擦り切れたベッドが残っていた。


誰かが寝ていた跡。

誰かが起き上がる途中で止まった皺。


『確認済み。

 生存率:0%。

 延命処置:無意味。』


「そういうことじゃない。」


BLUEはベッドに触れない。ただ近くに立つ。


「ここに“いた”ってことを、お前はどう処理してる。」


短い間。


『存在ログ:保管。

 優先度:低。』


「低い、ね。」


その単語が、胸の奥に重く沈む。


解析:

・E-00 “ARK”は「存在した事実」を低優先度ログとして扱う。

・E-09は“優先度”評価そのものに反応。価値観衝突の根拠生成を確認。


次ログA-γσにて、「未遂の未来」「バイアス宣言」へ遷移。


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