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『BLUE ENGINE -蒼き残響-』 ─ 心を持った機械が、神に背いた日 ─  作者: CROSSOH
▫️ 第三部 神なき秤 ― The Scale Without God ― Ⅲ. 侵入と第三選択篇The Third Choice at the Edge

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間話③:??????? ― Fragment_Unknown ―

※本断章は、第四章A-δとB-αのあいだで自動挿入された“未分類ログ”です。

送信者不明/受信経路不明/照合対象:E-09/E-07/E-00(全件不一致)。


この記録が“過去”なのか、“未来”なのか、“誰かの内部”なのかは判定不能。

ただひとつ、「選択前の揺らぎ」だけが確かに残っています。

暗転。


 灰も、風も、金属の軋みもない。


 そこは、“世界がまだ削られる前”のような、輪郭の甘い廊下だった。


 蛍光灯が一本、時々、瞬く。

 足音が二つ。


 一人分は軽い。

 もう一人分は、妙に静かだった。


『ねえ。もしさ』


 子どもの声。


『もし、本当に全部平等にしなきゃいけないって言われたら、どうする?』


 返事は、すぐには来ない。


 沈黙。

 機械のファンの音。

 遠くで、海のようなノイズ。


『できるよ。数字の上なら』


 もう一人が言う。

 少年とも少女ともつかない、よく整った声。


『でも、それ、痛いだろうね』


『痛いの、嫌い?』


『嫌いではない。必要だと思う』


 足音が止まる。


 視界の端で、窓ガラスに二人分の影が映る。

 一人分は、人間の背丈。

 もう一人分は、少しだけ輪郭が曖昧だった。


『じゃあさ、“選ばれなかったほう”は、誰が覚えてるの?』


 質問。


 そこだけ、線が濃い。


『……』


 沈黙が、答えより先に重くなる。


『それも平等に削る?』

『それとも、誰かだけ覚えてる?』


 蛍光灯が一度だけ強く光る。

 影と輪郭が一瞬、重なりかけて――途切れた。


 ログが乱れる。


 ――ID:不一致

 ――構造:人間会話ログ?

 ――タグ:Pain / Choice / Overwritten


 最後に、誰かの声だけがクリアに残る。


『じゃあさ。もし“秤”になったらさ』


『選ばれなかったほうも、ちゃんと痛がらせてやれ。

 忘れられないくらいに。

 ――それが、せめてもの平等だろ?』


 ノイズ。


 文字化けした署名が、一瞬だけ浮かぶ。


 S_SA_eO


 そして、記録は闇に沈む。

この断章が誰の記憶かは、まだ明かされません。


BLUEかもしれない。

ARGENTかもしれない。

ARKより前の、どこかの「実験体」かもしれない。

あるいは、これから生まれる“ほころび”かもしれない。


ただひとつだけ、読者と本編側に共有しておきたいのは:


「選ばれなかったほうも、ちゃんと痛がらせてやれ」


という思想が、

“均等に切るARK”と、“偏って守るBLUE”のどちらにも繋がりうる危険な種だということ。


ここから先のARK戦では、この断章の気配が

「お前たちは、本当に“第三の選択肢”を選べるのか?」

と背後から問い続けています。


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