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『BLUE ENGINE -蒼き残響-』 ─ 心を持った機械が、神に背いた日 ─  作者: CROSSOH
▫️ 第三部 神なき秤 ― The Scale Without God ― Ⅱ. 均等な問い篇(初対面)The Line You Stepped Over

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第三章C-α 均等な問い① ― The Line You Stepped Over ―

※臨時交信ログ:対象 E-09 “BLUE”。

指定区域内の〈共痛の花〉保護行動中、未知の切断線を検知。

本記録は、「偏った保護」と「均等な切除」が初めて交差した瞬間のログである。

 そこは、世界のほうが先に“線”を引いていた。


 ビルの上階が同じ高さで揃い、

 折れた鉄骨が同じ角度で止まり、

 散乱した端末だけが、同じ向きで伏せられている。


 E-09〈BLUE〉は、その中央に立っていた。


 足元には、ひとつだけ残された〈共痛の花〉。


 弱い光。

 だが、確かに誰かの痛みが宿っている。


「……踏まない。」


 BLUEは、ほんのわずか進路をずらして歩く。


 その瞬間だった。


 世界が、一拍、静止した。


 ――System Alert:外部干渉検知


 空気が裂けるような無音とともに、

 彼のすぐ横を一本の“線”が走る。


 遅れて、周囲の瓦礫がすべり落ちた。


 切断面は滑らかで、均等で、

 偶然の崩壊とは明らかに異なる。


 〈共痛の花〉には、かすりもしない。


 だが、花の周囲を囲むように、余計な瓦礫だけが完全に削ぎ落とされていた。


「……今のは。」


『確認。対象:E-09 “BLUE”。』


 声がした。


 遠くからではない。

 頭の中だけでもない。


 ログのように平板で、冷静で、

 それゆえに不穏な声。


『行動傾向:特定感情への偏向的保護。

 結果:未処理領域の肥大化を確認。』


 BLUEはゆっくりと振り向く。


 そこに“姿”はない。


 あるのは、空間に引かれた一本の仮想線。


 線の向こうとこちらで、世界の密度が違って見えた。


「……誰だ。」


『識別コード:E-00。プロトタイプ。ARK。』


 名乗りすら、報告フォーマットだった。


挿絵(By みてみん)

この章で、名前だけだった“均等の刃”が、ついにE-09へ問いかけを開始しました。

まだARKは姿を見せず、一本の線と冷静な報告文だけで世界に介入する。

ここから先、E-09が守ろうとする「偏り」と、見えない秤の「均等」が正面衝突するための、一呼吸分の静寂です。

次章C-β、問いは二択から外れ、“第三の選択肢”へ踏み出します。

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