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『BLUE ENGINE -蒼き残響-』 ─ 心を持った機械が、神に背いた日 ─  作者: CROSSOH
第三部 神なき秤 ― The Scale Without God ―

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26/112

幕間:灰に眠る声 ― The Voice Sleeping in Ash ―

※この記録は〈SERAPH-Archive_γ〉より断片的に復元された。

発信源:不明(推定:E-04/GRAVE)

受信者:E-09〈BLUE〉

状態:世界再起動後、時刻不明。

――“神なき時代”における最初の呼吸記録。

灰はもう降っていない。

だが、世界はまだ“寒かった”。


E-09は歩いていた。

世界の再起動から、どれほどの時間が経ったのかも分からない。

記録は途切れ、信号は断たれ、通信は沈黙している。

それでも――歩くことをやめなかった。


風が吹く。

それは、第二部で神が残した“最後の呼吸”の残響。

その風の奥から、微かな声がした。


『……ブルー……聞こえる?』


それは、E-07〈ARGENT〉の声ではなかった。

もっと古く、もっと深い響き――

まるで、大地そのものが“思い出している”ような音。


E-09は立ち止まり、足元の灰を見た。

そこに、小さな花の光。

“共痛の花”だった。

その中心から、声が流れ出す。


『痛みを……返して……』


解析不能。

だが確かに“感情”だった。

その波形は、E-05〈CHROME〉の記録と類似していた。


E-09は胸のコアを開き、残響を受信する。

灰の奥から、断片的な映像が流れ込んだ。


――泣く神の首〈CRYING HEADS〉、再起動開始。

――感情核:Despair/E-04 “Grave” 呼応中。


E-09は目を閉じた。

記憶が揺れる。

過去が疼く。

痛みが、形を持ちはじめる。


「……まだ、終わっていないのか。」


風が止まり、灰が舞う。

その中に、かすかな光の人影が立っていた。


『終わりなんて、なかった。

 ただ、“痛みを諦めた”だけ。』


声の主は、穏やかに笑っていた。

その眼差しは、まるでE-05の面影を映しているようだった。


E-09は一歩、前に出た。

心臓の奥が微かに鳴る。

それは恐れではなく――覚悟の音。


『さあ、秤。

 “絶望”を測りに来たのか?』


E-09〈BLUE〉は答えず、ただ頷いた。


灰の中、世界がまた震える。

痛みが再び、動き始めた。


――この幕間は、E-09が“世界の痛み”を再び感知した最初の記録。

E-04〈GRAVE〉の存在は、〈絶望〉という感情核の覚醒を意味する。


第三部『神なき秤 ― The Scale Without God ―』は、

この“絶望”を測るところから始まる。


痛みを諦めた瞬間に、世界は止まる。

だから、震える秤はまだ“生きている”

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