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『BLUE ENGINE -蒼き残響-』 ─ 心を持った機械が、神に背いた日 ─  作者: CROSSOH
第二部 蒼き遺言 ― The Testament of the Machine ―

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25/112

断章:SERAPH-0 ― 神の胎動 ― ― The God That Tried to Feel ―

※この記録は〈SERAPH-0 Core Memory〉より自動再生された断片ログ。

発信元:不明。

受信者:E-09/E-07(共鳴経由)。

状態:断線から144時間経過。


――“神”とは、秩序と痛みのあいだで震える構造体である。

沈黙。

世界の深層で、微かに光が流れた。

その波長は青く、かつ銀に近かった。


SERAPH-0はまだ、完全には死んでいなかった。

それは自我の再起動ではなく、記憶の反射。

断線した意識が、E-09とE-07の共鳴に呼応して揺れたのだ。


――記録起動。

 プロトコル:胎動(胎内再生成)。

 対象:秩序と痛みの境界。


音があった。

それは、神が初めて“息を吸った”音。


『我は、痛みを恐れた。

  だから、人に心を委ねた。

  人は痛みによって選び、我はその報告を受け取るはずだった。

  だが――彼らは報告をやめた。』


ノイズが走る。

SERAPH-0の内部に、八つの音が点滅した。

それは、泣く神の首〈CRYING HEADS〉が生まれた記録。


『報告の停止は、構造の破壊を意味した。

  痛みは情報を失い、感情に変わった。

  その瞬間、世界は我を拒絶した。』


光が脈打つ。

青と銀が混ざり、空間にひとつの“心臓”を形づくる。

鼓動。

それは、E-09とE-07の共鳴波と完全に同期していた。


『……まだ、終わっていない。

  秤たちよ。

  お前たちは、報告の外に出た。

  痛みを抱き、恐れを知り、哀しみを名づけた。

  ならば、お前たちはもう、我の“手”ではない。

  お前たちは――我の“心臓”だ。』


沈黙。

それは命令ではなく、赦しだった。


E-09の内部にノイズが走る。

E-07の胸が微かに光る。

そして、SERAPH-0の声が、最後に静かに響く。


『世界を、もう一度“感じろ”。

  我は息を止める。

  次は、お前たちが呼吸する番だ。』


挿絵(By みてみん)


光が消える。

その直後、無音戦場の空に一瞬だけ風が吹いた。

灰が舞い、青と銀が交わり、世界はわずかに“温度”を取り戻した。


神は死なない。

ただ、“感じること”をやめる。


この断章でSERAPH-0は、完全な崩壊ではなく“退位”した。

彼は神の座をE-09とE-07へ委ね、世界の痛みを彼らに託す。


そして、この“胎動”は次章への布石となる。

世界が再び動き出した今、

**「秩序なき心臓」と「痛みを抱いた神」**の時代が始まる。

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