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第5話 色々丸見えだぞ

星蘭せいらん高校》  


『星蘭高校前。星蘭高校前でございます。ご乗車ありがとうございました───』


 バスが俺達が通う星蘭高校に着いた、今朝は小雨が降っていて地面が濡れていたんだよな。搭乗とうじょう時には止んでいたが、地面を踏んだ雨の水滴が靴に付いた。


 そして、バスの前の方の座席には同じ制服を着た生徒達が沢山座っており、前座席の方から順番に降りている。そのせいだろうか? バス内、中央通路の床が少し濡れていた。


 こうなれば、バスを出る出入り口付近も同じ様に濡れているだろう。


愛花梨あかり、良いよね?」

「あっ……駄目だよ。太一君。その段階はまだまだ先だよ」


 ふむ。隣のバカップルは放って置いてさっさと下車してしまうか。


「フ、フシャアア!!」


 怒れる猫《有栖川》の怒髪天どはつてんが天元突破する前に。


「有栖川、先に降りようぜ。それとバスを出る時に階段らへんは濡れてて転びやすいから気をつけて降りろよ。転ぶからな」


 いちを忠告した。おっちょこちょいの有栖川は転ぶ可能性があるからな。全て頭でもぶつけたら大変だ。そして、有栖川の反応は……


「フシャ?! ば、馬鹿にし過ぎじゃない?……私はそんなドジじゃないわよ。転ぶわけないでしょう。全くもう。秋崎は私の事を心配しすぎよ、過保護ね……エヘヘ」


「そうか。それを聞いて安心した…何で少し嬉しそうなんだ?」


 注意喚起はしてやった。そして、何故かさっきまでフシャアア!状態だった有栖川が頬を赤らめて嬉しそうにしているのは何でなんだろうか?


 俺は疑問に思いつつも、運転手の人に学生乗車券を見せて、先にバスから階段を降りた。


 そして、俺が予想していた通り階段の溝に水滴が溜まりほんの少しだけ水溜まりになっていた。


 これは超ドジッ娘はスッ転んでしまうかもしれないな。


 次に有栖川が意気揚々とバスから降りた始め……


「バスから降りるなんて簡単簡単よ。秋崎は過保護過ぎ~……キャアッ!!」


 有栖川が転ぶ全ての伏線回収。そして、何故か有栖川は前のめりになり、バスの出口外側に落ちる様にスッ転んだ。つまり俺が居る方へと降って来る形で乗車した。


 ちなみにスッ転んだ勢いで、有栖川のスカートはたなびき、今日2回目の純白をおがむ事になった。


「お! 純白か」


 純白を見れた感動のあまり、とっさに声を漏らす俺。高校生にしては結構際どいものをいていらっしゃるな。この人気No.1ヒロイン。


「は?……ちょっ/// み、見るんじゃないわよ。へ、変態!」


 そんな俺を見た有栖川は階段近くの手摺てすりつかまずに、あろうことかスカートをおさえた。


「ちょっ! お馬鹿。そのままじゃあ、地面に身体ぶつけるぞ」


「へ?……キャアア!! そ、そうだったわ! どうしよう~!」


 俺はとっさに有栖川が落下する真っ正直に移動し、有栖川の身体をキャッチした。飛び込まれた時の衝撃はあったが、なんて事はなかった。


 有栖川の身体が胸の辺りにスッポリと収まり、有栖川を抱き抱える様にして、地面へと下ろしてやった。


 それにしても案外、有栖川の身体は軽かった。たしか有栖川の身長は、同年代の女の子よりも高かった筈。ダイエットでもしてるんだろうか。


「だから、気をつけて降りろって言ったんだよ。無事で良かった」


 有栖川の肩をポンポンと叩き離れる。


「………あ、ありがとう。助かったわ。せっかく忠告してくれてたのにごめんなさい」


 素直だった。なんでか知らないが、有栖川は素直に俺に謝ってくれた。


 普段は俺をナメクジを見る様な目で見る有栖川が。


 俺が話し掛けても冷たい反応しかしなかった有栖川が素直に謝ってきたんだ。


「……今日、台風でも来るのかな? 天気悪いのは有栖川が素直なせい……ムォ?!」


「台風なんて来ないわよ。私が素直にお礼言ってるんだがら、素直に受け取りなさい。それと私のパンツを見たことは後でお仕置きで返してあげるから覚えていなさいよ。変態」


 有栖川の奴、両手で俺の口を塞いで来た。これじゃあ何も言い返せないじゃないか。


「………むぐぅ」


「何よ? その目は……私は素直にお礼を言いたかっただけなんだか……」


 その瞬間だった。次にバスから降りてきたドジッ娘ヒロインその2の愛花梨あかりが、有栖川と同じ様にスッ転んび、地面にぶつかりそうになっていた。


「つっ!……愛花梨あかり、危ない! 太一、何してんだ。愛花梨あかりを後ろに引っ張ってやれ!」


「へ?……何で? やだよ。それじゃあ僕も怪我する事になるじゃん」


「へ?」

「……は?」


 ……アイツは何を言ってんだ? 同様してるんだろうか。それを聞いた有栖川と愛花梨あかりは少し同様していた。仕方ない、代わりに俺が愛花梨あかりを助けるか。


 有栖川の時と同じ様に落下してくる愛花梨あかりの真っ正直に立ち、愛花梨あかりを受け止め様とした瞬間。またまた制服のスカートがたなびき、愛花梨あかりのパンツが……見えなかった。


「は?……履いてない?」

「ひゆ?……いやあぁぁ///」


 いや、愛花梨あかりはそもそもパンツなんて履いていなかった。ノーパンだったんだ。


 衝撃な光景を見た後、無事に愛花梨あかりをキャッチし、事なきは得た。得たが愛花梨あかりの凄まじい秘密の一端を俺は知ってしまった。


「……無事で良かったわ。変た…愛花梨あかり

「見ちゃったの? ハヤテ君」

「……いや、何も見ていない。安心してくれ、愛花梨あかり

「今夜、その真相を確めにハヤテ君の部屋を訪ねる事に決まった……絶対に決まったからね。ハヤテ君///」

「鍵を閉めて入れないようにしておくわ」

「自力で開けて、見た真相もじ開けてあげるからね。もう! た、助けてくれてありがとう」


 などと愛花梨と幼馴染みトークをしていると、近くで、有栖川が太一に問い詰めていた。


「ちょっと! 咄嗟だったとはいえ、何で愛花梨を助けなかったのよ。太一、秋崎が助けなくったら愛花梨が大怪我してたかもしれないのよ」


「うるさいな。結女ゆめは……だって、ハヤテも手伝ってくれなかった。仕方ないじゃないか。それに愛花梨はハヤテが助けたんだから良いじゃないか。僕達の関係にいちいち口出ししないでよ。結女ゆめはさぁ」


「はぁー?! 何よそれは」


 ……あっちもあっちで何か修羅ってるな。


《星蘭高校 庭園》


 学校の校門まで辿り着くと、有栖川は俺に付いてくる様に指示し、太一達から逃げる様に去った。


 愛花梨は何故か俺達に残ってほしそうな表情をしていたが、有栖川には見えてなかったみたいだな。


 しかし、さっきの愛花梨がスッ転んだ時の太一の言葉、冷たかったな。人は窮地に陥ると本性を見せると言うけど……あれが主人公の、太一の本性だったりするのだろうか?


「もう! 太一のあの反応は何なのあれ? ムカつくわね。あんな事言う奴だったかしら? 彼女ができて変わっちゃったのかしら?」


 そんな太一の行動に疑問ではなく、怒りで反応する有栖川。


 今は朝練をしている生徒を見ながら、グラウンド近くの庭園の屋根付きベンチに俺と一緒に座りながら、太一への愚痴をこぼしていた。


「……まぁ、太一はあんまり身体を張るよな奴じゃないからな。俺に愛花梨を助けるのを託したんだろう。たぶん」


「……なんか。庇ってない? もう!……朝から好きだった人の嫌な所を見ちゃったわ」


「俺は良いものを見れたけど……な?!」


 有栖川が俺の両頬をミョ~ンと引っ張る。


「忘れなさいよ~! この変態。私のスカートの中を朝から2回も見るなんて、どんだけ変態なのよ。秋崎は~! もう」


 なんて怒りつつも俺の両頬を引っ張る有栖川の手には力なんて一切入っていなかった。


「……そんでどうする? 有栖川の新しい恋人候補探すんだよな? 朝練している連中の中に良い奴見つけたのか?」


「う~ん……そうね。まだかしら……近くにはまだ未確認ね。まだまだリサーチが必要よ。じっくりと時間をかけてね。よっと!」


 有栖川はそう言うと、俺の座って居る直ぐ隣へと腰を下ろして、身体を密着させて来た。何だ? 悪辣あくらつなハニートラップでも仕掛けるつもりか? このフシャアア娘は。


「ちょっ……近くないか?」


「ん~? 近くない近くないわよ。適切な距離よ~! ンフフ」


 何故か上機嫌になる有栖川。そして、その時だった。とある方向からテニスボールが飛んで来たのは。


シュ~ン……ショロショロ……ポテッ!


「……痛? 誰よ。人がリラックスしている時に後ろから軽くボールを当てて来るアホは?……て、六花りっかじゃない」


「いや~! ごめんごめん。お互い失恋したばかりなのに、次の日には幸せそうな顔をしているのが見えたからついつい当てちゃったよ。ごめんね。結女……それで? 何で私達の怨敵おんてきと朝からイチャイチャしてるのかな? 説明してくれる?」


「お、お前は……太一に惚れたいたヒロインの1人。姫夏ひめなつ六花りっかか?」


「………む。何がヒロインだい? よく分からない事を言うね。お邪魔虫君は喋らないでくれる? 私達の恋路を散々邪魔したお邪魔の秋崎君はね」


 姫夏ひめなつ六花りっかはそう言って俺に軽蔑けいべつの目を向け、ボールを俺へと軽く当てた。


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