第30話 夜の電話から
《秋崎疾風の部屋 夜》
凛と結構、話し込んでしまった。家まで送り家に着いた時には家族は既に眠っており。合鍵で玄関の扉の鍵を開け、家へと入り。風呂と歯磨きを済ませた今はゆっくりしている。
「えっと。検索検索っと……『催眠術師 女の子 男を襲う』……これじゃあ。ただの変態女じゃなねえか」
凛とファミレスで食事をした後に、話題にしていた事が気になり、検索してみる事にした。
この世界は恋愛ゲー〖私を好きなだけ追い詰めてダーリン。余所見はNoneNone〗なのだが、現代社会の生活はちゃんとできる。
インターネットとは使えるし、自分の好みのエロ動画だって、ちゃんとお金を払えば見放題だ。
そして、今回、検索した内容は、凛から聞いたら男の子の貞操を弄んでやり捨てる女の子 達だ。
凛の話いわく、この星蘭街には1人しか、まだ来ていないが。その催眠術を使う女の子というのは複数人いるらしく。
少人数ながらも組織化もされていて皆超絶可愛いんだとか。その話を聞いて少し狙われたい気持ちに駆られたのは、凛には内緒にしたい。
いや、その催眠術女の子が現れたら。誘惑されない様に気をつけないといけないよな。
「…………あった。えっと検索結果はと………都市伝説。催眠術美少女戦士?……キャッチコピーは、男は必ず籠絡よ………どこの月の戦士だよコイツ等。つうか都市伝説じゃねえか。凛の奴。怖がらせやがって」
催眠術師娘について検索したら、ネット掲示板や都市伝説まとめサイトなんかに、めちゃくちゃヒットした。数千件はあるな。えっと?一番詳しく書いてある掲示板はと……
俺は検索数が一番多い掲示板のサイトを開いて、書かれた内容を読んでみた。
〖いわく。彼女達は自身の可愛いさに絶対の自身を持っており、セックスが物凄く上手く大好きである。
そんな彼女達に1度狙われたが最後、あれやこれやと色々な手口を使われ、寵愛してくれる。
なかには普通にお互いの仲が深まれば、結婚し子供を作るカップルもいたとか。
だが、そんな彼女達の誘惑も効かない男が居た場合は、彼女達は容赦しない。個人個人が得意とする催眠術を巧みに使い、狙った相手を確実にものにしようと動いてくるだろう。
もしもターゲットにされ、1度や2度逃れられたとしても彼女達は諦めない。むしろ本気の恋だと燃え上がり。
別の街に居る仲間を助っ人として呼び、ターゲットを狙いつづけるだろう。
恐ろしいくも超絶可愛い女の子集団。催眠術美少女戦士。かくいうこの掲示板に書き込んだ私も狙われ、彼女達の身体に身を任せ弄ばれた1人である………彼女達は良いぞ。セックスが上手いからな〗
「………掲示板に書き込んだ本人の実態験じゃねえか。そりゃあ一番有力な情報かつWebサイトの一番上の検索結果にも載るわ」
その他にも何か情報はないか、検索結果をスクロールしていると……
プルル……プルル……
「どわぁ?! ビックリした……夜に電話って、誰だ……有栖川? なんかあったのか?」
スマホから着信音が鳴り。画面には有栖川の文字が表示されていた。
「……出るか。有栖川からだしな……もしもし」
「あっ! もしもし。秋崎 ニャフフ。まだ起きててくれのね。良かったわ!」
俺が電話に出ると、やたらとテンションが高い有栖川が嬉しそうに喋り始めた。
「どうしたんだよ。こんな夜に、姫夏と楽しいエロ動画鑑賞仲じゃなかったのか?」
「え? 六花?……六花なら、さっきの自分の恥ずかしい動画を見ながら自い……1人であの動画を鑑賞中よ」
……有栖川が自の後、何を言おうとしたのか、凄く気になるが。これについて質問するとキレられそうなので、止めとくとしよう。
◇
《秋崎家 外》
「ちょっとちょっと……ガード固すぎでしょう。完全な石の囲いで、アルホックまで雇ってるとか、セキュリティロック完璧過ぎでしょ。オマケに女の子のガードまであるなんて」
「守られてるね。あの子、何か特別なのかな?」
「貴女達。《椿》と《春》ですよね? はー君に何の様ですか?」
「おいおい。1人で来たの? こっちは2人だけど?」
「……東雲だけじゃない。私も居る」
「あんたは……つっ! 一端帰るよ。《椿》」
「え? でも後輩君は、もう目と鼻の先なんですけど!」
「相手が悪すぎる。何で南雲千夏が出て来るだかね。ほれ、目眩まし。さいならっと!」
「あ! 待ちなさいよ。《春》~!」
「行っちゃいましたね。負いますか?」
「……今は良い。アイツに被害が出てないし。しばらく様子を見る」
「了解です。班長」
「うん……じゃあ。引き続きアイツの警護よろしく」
◇
「それでね。六花がね。秋崎に裸を見られた仮は絶対に返すって、ずっと言っているのよ。ガンギマリだったわ」
「……それは聞きたくない報告だった」
「ニャフフ……もう話しちゃったわ」
外でそんな事やり取りが繰り広げられているのも知らず、俺と有栖川は今日の出来事を思い出しながら、深夜になるまで会話を楽しく弾ませていた。
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第一章《犬猿の仲から蜜月に》終了。




