第23話 お昼休み争奪戦
《星蘭高校 昼休み》
キーンコーンカーンコーン! キーンコーンカーンコーン!
お昼が来た。俺の自由な時間がやって来た! 朝のホームルーム後、凛に話しかけて、転校の件や、俺との婚約者の話を聞こうとした。
だが、クラスメイトや別教室から凛を一目見ようと人が押し寄せ、凛とゆっくり話せる状態じゃなかったんだよな。
「はー君。これから一緒にお昼ご飯でも食べません……」
艶やかな黒髪、ロングヘアー、端正な顔立ち、美少女、美乳、右下に無き黒子、黒タイツ萌えと、属性盛り盛りの女の子で。俺、秋崎疾風とは。小学生の同級生だ。
恋愛ゲー〖私を好きなだけ追い詰めてダーリン。余所見はNoneNone〗の隠しヒロインの1人だ。
凛の奴がニコニコ笑顔で俺に語りかけて来た。転校生そうそうで、心細いだろうにここは、凛と昼食を……
「秋崎! 緊急作戦会議をするわよ! 私に着いてきなさい! そして、色々と聞かせない~!」
「あ、有栖川?! 何するんだ。身体を密着させるな! 皆が見てるだろうが」
有栖川に右腕を掴まれ、廊下へと連れて行かれる俺……そういえば。今日のお昼は有栖川と食うんだったな。
そして、今日の放課後も恋人探しの作戦会議。そして、次の朝も有栖川と一緒に登校して、そして、次の日の昼休みも一緒に昼食を……おい。これエンドレス○イトになってるじゃないか。永久期間の完成か?
◇
私の名前は東雲凛。はー君の婚約者。数年振りに、この星蘭街に戻って来ました。彼との再会を果す為に。
それにしても、はー君を連れてった金髪ツインテールの女の子は誰なんでしょうか?
「ちょっと待って下さい。有栖川さん。 はー君。私も一緒にお昼ご飯を…」
はー君の腕を引っ張って強引に連れて行った女の子を追いかけようとしたんだけど、私の声届かなかったみたいですね。
「なら私達と一緒に食べるのはどう?」
「凛ちゃんが転校生なんて知らなかったよぉ。ビックリしちゃった」
この声は小学校の頃に同級生だった。姫夏六花ちゃんと椎名愛花梨ちゃん。良かった。私の事を覚えていてくれたみたいね。嬉しいです。
「六花ちゃん、愛花梨ちゃん。お久しぶりですね。初めての登校で心細かったので助かります」
フフフ、2人共。可愛らしい女性に成長されていますね。素敵です。
「やあ! 可愛い転校生さん。初めまして、僕の名前は藤本太一って言うんだ。秋崎疾風とは親友なんだ」
金髪の……特に変わった特徴が無い人ですね。私に何の用なんでしょうか?
「……はぁ。そうですか」
「太一君……何?」
あーちゃんが嫌な物を見るように、藤本と言う方を見ていますね。この方はクラスでは嫌われているのでしょうか?
「ぐ! 随分と反応が薄い子だね。愛花梨もなんでそんな目で見てくるんだ?……い、いや。今はそんな事は良いや。君、僕と一緒に食堂でお昼ご飯でも食べないかい? なんなら君達3人で同時に僕の相手を…」
「貴方は見知らぬ人なので遠慮させて頂きます。 結構です。行きましょう。六花ちゃん。ちゃん」
初対面で、馴れ馴れしくしてくれるなんて、何だか優男に見えます。それに、私はもう、六花ちゃんと愛花梨ちゃんと昼食を取ると約束しているんです。
「……ごめんね。藤本君。そういう事だから今回は諦めてね」
「う、うん。ごめんね。太一、私今日は凛ちゃんとご飯食べるから。行くね」
私達は教室を出で、食堂へと向かったのでした。
「ちっ! 何なんだよ。あの凛って言う女の子。それに愛花梨も何? なんで僕の彼女になってくれたのに僕の命令も聞かないで、勝手に行動してるんだよ……くそ!……ん?」
「フンフンフ、フフフ~ン♪」
「あ! よもぎ。暇なら僕と一緒に食事でも行かないかい?」
「ヤリチン○野郎の誘いは乗らないよ~! 2きりになったら、何をされるかわからないしね。それに私は今から、南雲さんと食事があるからね。君は浮気相手の不良の先輩とよろしくやってれば~! バイバイ~!」
「は? よもぎ。なんでそんな事を大声で言うだよ…………なんでバレてるだよ。くそ!」
(は? 藤本の奴。フツメンの癖に浮気してのん?)
(藤本君って、あかりと付き合ってるんじゃないの?)
(つうか。あの金髪似合わな~! なんで染めたし)
「………どいつもこいつも僕を馬鹿にして、これも全部。疾風と結女のせいだ。そうに違いない! 僕のハーレムを終わらせやがって! くそ!」
◇
《理科準備室》
「ニャフフ……尋問の時間よ。秋崎君」
……有栖川が普段、授業中に掛けている眼鏡を掛けている。理科準備室にあった白衣を羽織り、いつものツインテールをほどき、ストレートの髪型にしている。手には教師用の指示棒こと棒を持っている。
「何してんの? お前」
「悩殺理科教師よ。どう? 似合うでしょう」
「いや。似合うけどさ……」
俺は目線とある方に向けた。そこには有栖川の脱ぎたてのパンツが水気を含んで干されていた。
「なぁ、有栖川……あのパンツなんか染……」
「み、見てんじゃないわよ。ペチペチするわよ!! ペチペチ!」
ペチペチペチペチ!
「ふぉ?!……全然痛くないな」
▽
───時はほんの数分遡る、理科準備室に入った瞬間に俺は椅子に座らされ。
有栖川が、いきなり俺がせっかく履かせてやったパンツを脱ぎ、水道の水で洗い始めた。
「……何してんの? お前。パンツなんか洗って? アライグマの物真似か?」
「誰がアライグマよ! 朝、濡らしちょったの! バスの中でね」
「バスの中?……あぁ、あれか……」
「……ええ……それよ。そのせいで午前中はお尻が痒く痒く仕方なかったわ」
「コンビニにもう一着を買っとけば良かったな。すまん」
「そ、そうね。放課後のコンビニで秋崎に下着買ってもらう事にするわ」
「いや。なんでだよ!」
そんなやり取りをしている間に、有栖川は洗ったパンツを絞って干した。俺に椅子に座るように指示した。
そして、近くにあった白衣を羽織り、眼鏡をかけ、棒を持ち。俺が座る椅子の膝の上へと脚を広げ、俺と向き合うようにして座った。
「………これは何のプレイだ? 有栖川」
「意外にバランス感覚が難しいわね……ニャア?!」
「とっ! 危ないつうの! 」
バランスを崩して椅子から落ちそうになった有栖川を、俺は咄嗟に有栖川のお尻を両手で持った。
有栖川がパンツを履いていないのと、咄嗟だったせいも重なり。手はスカートの中のお尻の地肌に触れてしまった。
だが。有栖川はそんな事を気にする事もなく。俺へと語りかける。
「ニャフフ……尋問の時間よ。秋崎!」




