第20話 平和な2人と不穏な2人
《バス停前のコンビニ》
「ありがとうございました~!……コーヒー缶と下着を朝から買うって。あの高校生。彼女さんに何する気なのかしら?」
ティンタンタンタ~ン♪ テュルルルル~ル♪
出入口で某コンビニチェーン店の聴きながら。俺は下着を付けていない有栖川とコンビニを後にした。
会計時に、コンビニ店員さんから白い目で見られたが、今はそんな事を気にしている場合じゃない。
今は一刻も早く、有栖川に下着を履いてもらうのが最優先事項だからだ。
「ほい。有栖川。ちゃんとコンビニでお前の好きな白色の下着を買ってやったぞ」
「な、何で私が白色が下着が好きなのを秋崎が知っているのよ? 変態なの?」
「それは有栖川が俺に会う度にパンチラするからだろう。それよりもほれ、コンビニのトイレに行ってパンツ履いて来い。他の人にバレる前にな」
星蘭高校の可愛いマドンナの1人が、ノーパンで学校生活してるなんて知られたら。何が起こるか分からんからな。
学校内で変な奴に襲われ危険だってあるんだ。是可否でもパンツを履いてもらわなければいかん。
「い、嫌よ。1度入ったコンビニにまた入ってトイレを借りるなんて、恥ずかしいじゃない!」
「ノーパンで外に居る方が恥ずかしいだろう。良いから行け。お前の大事な所を俺は他の奴に見せたくないんだよ」
「……嘘? 秋崎が私を大事なの? ふ~ん。秋崎は私が大事なのね」
有栖川が頬を赤らめ照れ始めた。違う! たしかに有栖川はこの世界で1番可愛いと思える程のヒロインで大切な存在だが。
今はパンツを履かせる事の方が大事なんだ。
「良いからパンツ履いて来い。お前も愛花梨みたいな本物の痴女になるつもりか?」
「わ、私の親友を馬鹿にしないで!」
「してねえよ。哀れんでんだよ。こっちは奇怪奇天烈な行動をとりやがって。良いから早くパンツ履いて来い。そして、学校に行くぞ」
「む! む! むうぅ!! 何よ。その言い方! これはノーパン健康法なのよ! 身体に良いの昨日の夜だって裸で寝たら寝付きが良かったのよ」
なんだその反応は? 可愛いが過ぎるぞ。有栖川。
「だろうな。俺とのテレビ電話を通して、寝る前にエッチな動画を画面越しに見てストレス発散してるもんな」
「な?! あれは違うわよ。ただ秋崎とお話したいから、あんたにテレビ電話して画面の間に映るものを見ているだけじゃない/// それとも私のストレス発散に何かを文句があるの? 秋崎は……私の趣味やっぱりドン引きしちゃうの?」
有栖川は土曜日のお泊まり会以来、俺との共通の趣味《エロ動画》鑑賞だと分かった瞬間。
俺と居る時は自身の性癖の一切を隠す事を止めた。おのが欲望のままに自分の中のムッツリを解放し、夜に俺にスマホで連絡して来たと思えば。
俺の部屋のパソコンから垂れ流されるエロ動画をスマホ越しにハァハァ吐息を漏らしながら堪能している。
そして、俺はそれを放置し、ヘッドホンを付けて就寝しているがな。
恋愛ゲー〖私を好きなだけ追い詰めてダーリン。余所見はNoneNone〗だとたしかにムッツリ設定ではあったが、まさか実際の有栖川がここまでエッチ大好き娘とは思わなかった。
………いや。限定版だと結構激しい事もしてたな。有栖川は。
「目をウルウルさせて何で泣きそうになってんだよ。別にドン引きもしないって……人の趣味は千差万別だろう。」
「そ、そう……秋崎は私の事をちゃんと肯定してくれるのね。太一と違って……嬉しいわ。ありがとう」
太一? 何で今、あいつの名前が上がったんだ?……あいつ。もしかして有栖川にもなにか変な事を命令してたのか?
「おう。それじゃあパンツ履け。大事な所を見せない為にもな」
「大事な所?………へぅ?! あ、あんた。もしかして私のマ……コホンッ! 彼処を見たの? へ、変態! 鬼畜秋崎!!」
こ、こいつ。また脚を上げて回し蹴りを周りには……良し誰も居ないな。
「い、良いからパンツを履け! それとマ…彼処が丸見えだからパンツを早く履けえぇ!」
「キャアアア!! 変態!! シャアアア!!」
「おっとあぶねえ……どっちがだよ」
「そ、そんなに私に下着を履かせたいなら、秋崎自身が私に着させなさい。バスの中でね。私にノーパン健康法を止めさせたいのならね。良い?!」
「……何でそうなるんだよ。ハレンチかお前は」
有栖川とのそんなやり取りをしながら、俺は賑やかに学校へと登校した。
◇
《星蘭高校 テニスコート裏》
「やぁ! おはよう。愛花梨、今日も可愛いね」
「………おはよう。太一君……髪。金髪に染めたんだね」
「ん? うん。この休みの土日に遊んでくれた先輩がさぁ。あんたは黒髪よりも金髪が似合うから染めろってうるさくてさ。どう? 似合ってる?」
「……う、うん。凄く似合ってると想う。それよりも。なんで今日の朝はバス停で待っててくれなかったの? 毎朝、一緒に行ける時は行こうねって約束してなかったかな?」
「あ~、約束ね……ごめんごめん。休みの日の遊びが楽しすぎて疲れてたんだ。今度から一緒に登校できない日は連絡するからさ。その時は1人で登校してよ。愛花梨」
「それは良いけど……ちょっと聞きたい事があるんだけどいいかな?」
「ん~? 何? これから先輩と会うからさ。早めに……」
「このインサタに写ってる人と文章は何なのかな? もしかして私とは別の彼女さん?」
「………いや。良く分かんないや。そ、それよりも僕は忙しいからもう行くから。じゃあ! また教室でね。愛花梨。じゃ、じゃあ!」
「あ! 待って! 太一君!………そんなにハーレムが好きなの? 太一君は……」
「…………愛花梨? 何かあった?」
「六花ちゃん?!……うん。あのね……太一君がね」
「え? 藤本君が……女の先輩と関係を?……やっぱりね」
「……何がやっぱりなのかな? 六花ちゃん」
「彼……藤本君は○リ○ン糞野郎だったて事だよ。ふぅ~、これはその女の先輩ってのも調べないと駄目かもしれないね。愛花梨耳貸して……(ゴニョゴニョ)」
「う、うん……へ? 放課後。太一君を?」
「そうそう。ボディーガードは秋崎君とあの娘で良いかな。念の為にもね」
六花ちゃんはそう言って、スマホでどこかに連絡した。




