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第13話 よもぎさんは過激

《コンビニ内》


 家の数百メートル離れた場所にコンビニがある為、直ぐに着いた。


 有栖川と姫夏に何が食べたいかを聞いてもなんでも良いと返されたので、アイツ等には激辛パスタと激辛弁当をチョイスして食べやせてやろう。


 そして、共にコンビニへとやって来たよもぎはというと。店内にある薬品販売エリアで悩ましい顔をしてうめいていた。


「う~ん。これだと厚いかな~? でもハヤテ君は太そうだしもっと薄いのでもいけるかも~?」


「………よもぎ、お前。かれこれ5分以上悩んでるけど、何を買う気だよ? 狂暴な猫《有栖川》と女豹《姫夏》が腹を空かせて待っているんだから。早く決めろって」


「う~ん。うん。ゴムの薄さをね~! ほら今日って4ビィーするでしょう? 朝明けまでさぁ。だから厚いのか薄いのかどっちが良いかなと思ってねぇ。ハヤテ君はどっちが良い?」


 ………コイツ。何とんでもない事を言ってんだ? アホの子なのか?


「それに~何回戦するかも分からないし準備はちゃんとしておかいとね~! 孕んだらヤバイしねぇ」


 ………だからコイツはさっきから何を言ってるんだ?


「結女さんは反射神経が良いから動き回るだろうし、六花さんは無尽蔵の体力で夜の運動も止まる事はないだろうし。私もその……処女だけど興味がないわけじゃないし。ハヤテ君との初ならお釣が来るからモウマンタ……」


「おらっ!」


 俺はよもぎの首に容赦なくチョップを撃ち込んだ。


「ふギャらっぱ?!」


「それ以上喋るな歩くセクハラ名言集……帰るぞ! 静絵しずえさん。すいません~! 騒がしくしちゃって」


 俺は女性店員で顔馴染みの静絵さんに、よもぎの暴言ついて謝った。


「ん~? あぁ、ちゃんと本番はゴム付けてやりな~! しかし、重婚が認められているとはいえ4人でパコパコなんてアンタ等。凄いね~! エロゲーみたいだわ。ファイト!一発!」


 静絵さんが嬉しそうに親指を立てて俺達にエールを送り。この人も変態か?


「はいはい~! 頑張っちゃうよ~!」


 よもぎが超嬉しそうに反応した。コイツは本物の変態だが。


「………黙れ。よもぎ」


 俺はよもぎの首元に再びチョップを喰らわせた。


「へっぶし?!」


《秋崎家 玄関前》


 緑橋みどりばし よもぎ。小学生から通っていた塾教室の同じ生徒だった。頭も良く星蘭高校の特待生だ。


 緑髪、ポニーテール、瓶底メガネ、白衣、マッドサイエンティスト、美少女、中身はおっさんと。流石、腐っても恋愛ゲームのヒロイン。属性もりもりである。


 塾では昔からずっと複数人での仲良しグループでつるんでいた為か、俺とよもぎはフレンドリーな間柄だ。


 まぁ、太一の件で妨害している時は、お返しにしょっちゅう、よもぎが作った謎の薬を飲まされ、記憶を飛ばせれて気絶させられたんだがな。


「ちょっとちょっと~! 女の子の首に手刀を喰らわせるなんて酷くない? それでもハヤテ君は男の子なの?」


「夜とはいえ、近所近くのコンビニでとんでも発言してんじゃねえ。俺が静絵さんに変態認定されるだろうが」


「いやいや。変態でしょう。私や他の娘達が太一さんに迫ってたら、しょっちゅうラッキースケベを味わっていたくせに~」


「……あれは不可抗力だ」


「え~? 本当に?」


「黙れよもぎ!」


「きゃぽん?!」


 こ、こいつ! 昔から仲が良いからって調子に乗ってからかいやがって、覚えてろよ。とか思ってたら無意識によもぎの首元にチョップしてたわ。はぁ~! スッキリした。


「女の子への暴力反対なんですけどぉ」


 涙目で俺を睨み付けるよもぎ。暴力じゃない。これはしつけだ。常時発情気のよもぎにたいしてのな。


「そんな事よりもさっさと家の中に入るぞ。腹を空かした狂暴な動物達がキレる前にな」


「ぶふぅ! 狂暴な動物達って……相変わらず表現が秀明だねぇ。ハヤテ君は~!」


 

 玄関の扉を開けてリビングを見る。誰も居ない、リビングでくつろいで居てくれて良いと言ったんだがな。


「……静かだね。2人で一緒にお風呂に入って百合的な展開を向かえているのかも? あっ痛」


 変態よもぎの脳天にチョップした。


「全てを下ネタとひっくるめるな。変態……第一風呂場の電気ついてないだろ……という事は俺の部屋で何かしてるのか?」


「いやいや。だからハヤテ君が普段使っているベッドの上で……あっ痛」


「……もしかしたら。俺達が居ない間に何かあったのかもしれん。有栖川達が心配だから早く部屋に行くぞ」


「有栖川達……ねえ……ちゃんと意識しちゃってるじゃない。ハヤテ君は……お馬鹿」


 よもぎは何故か不機嫌になり、俺に脳天チョップを喰らわせた。


《疾風の部屋前》


 扉は少し空いていた……まさか俺達がコンビニに行っている間に強盗でも入って捕まっているのか? だんだん心配になってきた。


「す、凄いはこれ……こんなにエッチなの? 金髪ツインテールの美少女を俺は愛でながら大切にするって。秋崎……変態なの///」


 ん? エッチなの? どういう事だ?


「……そ、そうだね。最近のは凄いらしいとは聞いていたけど……青髪ショートボブのクールビューティーは俺の嫁って……秋崎君はもう///」

 

 何だ? 有栖川と姫夏が俺の勉強机にあるパソコン前の画面を見ながらニヤニヤしている?


「あわわわ! ハヤテ君。あ、あれは不味いいぃ! あの画面。私がハヤテ君と共有しているエロサイトの動画ファイルだよ。しかも結構過激なファイルのぉぉ! あ、あれはバレちゃ駄目なやつなのにぃ」


「なん……だと?」


 慌てるよもぎに、頭が真っ白になる俺。


「ど、ど、どうしよう? あれ、私達の秘蔵のコレクションなのにぃ。このままだと消される。消される事になっちゃうよ。ハヤテ君」


「そ、それは……駄目だ……あれには俺の趣味と嗜好の全てが詰まっている。それを消されるなんてあってたまるかぁぁ! 有栖川! 姫夏! 何してやがる? それはよもぎと俺の大切な共有ファイルだぞ」


「シャアアア?! ごめんしゃい! て?! 秋崎? つっ! 黙りなさい。この変態。な、何よ?そんなに金髪ツインテールの美少女が好きだったの? それならそうと言いなさいよ。馬鹿ぁぁ!」


 顔をほころばせ赤面しながら俺に罵声を浴びせる有栖川。


「そ、そう。そう……青髪のクールビューティーをそんなにいじめたいなら、早く言ってほしかったかな。ハヤテ……」


 恥ずかしがりながら俺の手をにぎにぎし始める姫夏。


「……あ! これ……良かったぁ。私のお気に入りの動画消されてなくて。制服白衣を着た緑髪美少女を俺は嫁にし守り抜く。ハヤテ君~! ハヤテ君の一番のお気に入れの動画ちゃんと残ってたよぉ。良かったね~!」


『あ!駄目……理科準備室で襲わないで~!……』


 ニヤニヤしながら嬉しそうに動画を流し始めるよもぎ。


「………よもぎ。お前……こんな状況で動画を流し始めるんじゃねえぇえ!」

 

「へぶちぃ?! だってだって。ハヤテ君は緑髪の美少女が大大好きなんでしょう~?」


 俺はよもぎに容赦なく制裁のチョップを喰らわせた。


 

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