第12話 何で家で尋問を?
《夜 拷問部屋(仮)》
ここは俺の家で俺の部屋だ。
「よもぎ~! アンタ。また私に悪戯したわね! 張り倒すわよ」
「痛たた!! 張り倒してる! すでに私のお尻を高速で張り倒してるよ。結女さ~ん! 助けて。六花さん~!」
「幾ら中学生からの中だからって、やって良い事と悪い事があるよね? 結女にちゃんとお灸を据えてもらおうね。よもぎ」
現在、夜の21時良い子はお家で勉強かお眠の時間だろうか? そんな時間に〖私を好きなだけ追い詰めてダーリン。余所見はNoneNone〗の人気キャラヒロイン3人が俺の部屋でキャッキャウフフしているのはどういう事なんだろな。
「……なあ。お仕置きするのは構わないんだが。そろそろ帰ってくれないか? 明日は土曜日だし夜更かして本を読み漁りたいんだ」
そう。俺は本が好きだ。そして、俺の部屋で騒がぎ立てる美少女達は邪魔なだけた。俺は休みの日くらい自分の世界に引きこもりたいんだ。
とっ! そんな事を考えながら、今日の放課後の帰りに買った、京極先生の新刊を鞄から取り出しつつ、ヒロインズに帰ってくれコールをしたんだが。これがバットコミュニケーションだった様で……
「………ちょっと。今の聞いた? 2人とも。もう直ぐ夜の22時になるのに、か弱いJK の私達に帰れとか言ったわよ。秋崎ったら」
「最低最低~! ハヤテ君は相変わらず。自己中だね~! そこは普通。もう夜も遅いから。今日は家に止まっていって良いぞ。俺は廊下で寝るからな。とか言う場面だよね~」
「今日はもう遅いし……久しぶりに秋崎君の部屋に止まろうかな。中学生の時みたいね」
有栖川は呆れ顔だった。よもぎの奴は俺にプーイングをかまし。姫夏は顔を赤くして恥ずかしそうにしていた。
三者三様の反応がなんとも個性的なヒロインだなと心の中で思った。
「いや。今日は父さんと母さんは旅行に行ってんだぞ。妹のなーちゃんは友達に家に泊まりに行ってんだ。そんなの許されるわけないだろうが。なんならタクシー代も出してやるからそれで」
「あ! 雪乃さん。六花です……今、ハヤテと仲治りしたくて、ハヤテの家にいるんだけど。一晩泊まって良いかな?……うん。ありがとう……え、 押し倒されればって?……そ、それはまだ早いかな~」
姫夏の奴がスマホで誰かに電話をかけたと思ったら、雪乃って名前が出てきたな……雪乃って俺の母さんの名前なんだけど。こ、こいつ。まさか~!
「六花。お前。まさか!」
「うん。雪乃さんからはちゃんと許可下りたからさ。今日は美少女3人仲良く止めさせてもらうからね。ハヤテ」
俺の部屋にいるせいだからか、お互い昔の呼び名同士に自然となっていた。
「……ふ、ふざけるな~! 若い男女が同じ部屋に居たら不味いだうろが~! あの母親はぁー!」
◇
「うぅぅ……お尻がいたいよぉ。ハヤテ君」
「自業自得だろうがよもぎ……普段大人しいお前が何で催眠術なんてアホな事をしでかしたんだよ」
美少女ヒロインズが急遽とした秋崎家に泊まる事が決まった為、夜食を買いにコンビニに行く事になったんだが。
よもぎの奴が禊をさせてほしいとか言い出して、家から飛び出そうとしたんだが。女の子をこんな夜更けに1人で歩かせるわけにもいかない為、一緒にコンビニへと行く事になった。
「それは…なんか。失恋した時の復讐をしてやろうかな~! とかいきなり思いついて」
「………それに関しては俺が全部悪いわ。悪い。よもぎ……太一を愛花梨にくっ付ける為とはいえ。よもぎの恋路を邪魔する様な事をしてしまって」
「いや~、別にハヤテ君にはあんまり怒って無いんだけどねぇ~! むしろ抜け駆けした結女さんへとヘイトを貯めていたというか……まあ、今回で存分に結女さんの恥ずかしい所を見れたから、もう良いかな~!ってのが今の感情だね~」
……う~ん。会話の内容が良く分からなかったが。まぁ、俺の今までの愚行を許してくれたみたいだし助かる。
「……やっぱり。ハヤテ君への嫌悪感がクリーンになってるんだよねぇ。それで今度は太一君の方が嫌かな~! まぁ、失恋させられんだから。当然と言えば当然の拒否反応かな~? ねえ? 君はどう思うか~な? ハヤテ君」
「よもぎ。また自己完結で話を進めてるな。いや言いたい事はなんとなく理解できるけどさ」
よもぎは変態マッドサイエンティストキャラだが。感は本物だ。この世界がリアルではあるがゲームの世界だと薄々気付いているのかもしれないな。
「……ん~、なら太一さんの行動には気をつけておいた方が良いね」
普段はお馬鹿なよもぎが真剣な表情になっているだと?
「太一が? 何でだよ」
「彼……以前と同じ環境を求めているんだよね。可愛い美少女達に囲まれていたハーレム状態の環境を……ね」




