Filing1-7 狩人たち…
ーだからあの娘は傑作なんだ。
私たちが育てたんだ。次はないが、次がある場合に備え、私たちが仕込んだんだ。生きる術を、繋ぐ術を、断ち切る術を…。
私たちは信じているぞ。ーーー
構えろ、次が来る…。呼吸は乱れてない、いける。
ノゾミは静かに右手を前に構え左足を半歩下げる。
あいつはまだこっちの弱点が分かってない。分かられない内にこっちが弱点を突きにいく!
一歩を蹴りだし、私は怪物の背後をとり足を掛ける。重心が後ろに動いたことを確認し、首根っこの服を下に引いて地面に押さえつける。
っうし、フリーズした今打ち込む。
麻酔弾を怪物の顔に叩きつけようとした刹那、天を割くようにノゾミの目の前を小石が横切る。
のっぺりしていた怪物顔に口が生えている。戦闘中に口に含んだ小石をノゾミが接近した時を計らい、真上へ放っていたのだ。
と同時にノゾミの風船ガムは小石によって破壊される。耳を割くようにけたたましく鳴り、四方に爆ぜる。
っん…、ヤバい。コイツ分かってたんだ。私の弱点が風船ガムってこ…とに。目の前が歪む。力が入んない、やば…キモ…ちい。
ノゾミはその場に固まり、痙攣しながら自制を失いブーツ伝いに地面を濡らす。
「私が思った通りだった。キミが何故頑なに顔に向かう攻撃を躱すのかが理解出来なかったんだよ。」
怪物はその若々しい外見とは異なる低く渋い声を発する。
「これ程の強度を誇る肉体を有しているのに、顔の攻撃や衝撃を決まって避けてるんだよ。そして私は暫し考えたよ。顔の前のフウセンに仕掛けがあるから避けてるのでは…とね。」
怪物は立ち尽くすノゾミの背後に立ち、先程のノゾミ同様足をかけ首根っこを掴み、地面に抑え込む。
なんで、同じことしてるだけなのに、こんな違うのよ。
渾身の力は体を激しく打ちつけ、私の鎖骨は青黒く腫れだす。舞う砂がパラパラと顔に降りかかる。
「まだ早いけど、今でも悪くないな。前倒しも悪くない…。」
怪物はノゾミの胸ぐらを掴みジワジワと持ち上げる。歯を食い縛りノゾミは僅かながらに抵抗をする。
早く…回復、を。動け、動け…、今動かなきゃ、これまでの成果が…報われなくなる。
諦めと希望が入り混じった感覚が襲ってくる…。それでも、踠き、弱々しく蹴るしかない。
視界が斑に黒ずみ始め、私は暗い水中を沈んでいく。
…ヤバ、堕ち…る。回復も、ま…だ。
ーーーぉぃ、危ないだろ!!
薄い意識のなかで聞き馴染みのない声が耳に響いてくる。
「少女にむかって、本気になるのは俺の姿しといてないぜ。」
それは、端麗で美しい瞳をしているがどこか頼りになる女性だった。
腕で全身を包んでくれ、そっと彼女は耳打ちしてきた。
「こいつが、何か知らないけど、俺があんたを殺そうとしてるのを遠目で眺めてたくはないよ…。」
「あなた、早く…に、げなさい。あなたも犠牲になるでしょ…。」
絞り出せるだけ掠れた声をだし、胸の中から抜け出そうとするが、離してくれない。
「じゃあ、キミが立て直すまで俺が繋ぐ…これでいい?」
正直、いまここで少しでも休めればアイテムを使用できる。でも、次使うとしたらハイリスクローリターン…。でも、今ここの現状を打破するには…。
「わかりました。詳しい説明は省きます。今はあの怪物を私に近づけないことに集中してください。」
「いきなり!?」
「1分間でいいです。耐えてください。」
彼女は今あちら側に片足を入れかけているのかもしれない。
彼女の腕が微弱に左右非対称なことを確認した上で、怪物と近しい存在になっている可能性を考慮する。
「1分間耐えてくれたら、絶対私が仕留めるので安心してください。」
どこか不安げに口を尖らせるが、快く了承してくれた。
「じゃあ、俺を足止めしてきます。」
ーーーーー『彼がようやく姿を見せたのか、長かったな。期限が近づいている証拠だな。ここで、逃がすなよ小娘…。』
サーと鳴り響く暗く閉ざされた部屋で老人は事を静観するのだった。
ご高覧ありがとうございました(*- -)(*_ _)ペコリ
サスペンス、アクションがメインの回は見てて退屈に感じるかもしれませんが、これからもよろしくお願いいたします。
今回もですが、ここまでの話の中でも第1章「異物遭遇編」のラストに繋がる伏線を張っています。
どこが伏線か考察しながら見ていただけると幸いです。
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次回更新もぜひご覧ください( ̄□ ̄;)!!




