Filing1-4 秘匿事件特別捜査係介入
「夜分遅くにすみません、私たちこういったものなんです。」
ノゾミは、警察手帳を高等部事務室の窓口にかざして事務員に説明する。
ー特例員ー
潮田ノゾミ
ー警察庁ー
「ちょっと事案の調査がありまして、こちらの学校内を調べてもよろしいですか?」
事務員は後ろの同僚に目配せして、なにかを伝える。
少し経ち、事務員が戻ってきた。
「結論から、あなた方を校内にあげることはできません。警察関係者だとしても、事前に手続き願いたい。」
頭をカリカリとかきながらノゾミは俯く。
この辺の管轄は、伊藤班の如月さんに来てもらって話つけた方がいいか…。
「ちょっと、待ってください。今、担当の者が参りますので、校舎の入構を許可してください。」
事務員は明らかに顔をしかめ、ノゾミにため息混じりにいい放つ。
「…規則なので、許可するかどうかは、その担当者がいらしてから検討します。」
うっさいなこいつ、分かってるっての。融通効かんな。まぁ、しょうがないか。
「ヒデト、如月さんに連絡して、○○○私立○○学園高等部まで来てください、可愛い後輩が待ってますってね。」
冷ややかな目で、ヒデトはノゾミを見つめる。
「了解です。今連絡します。」
ヒデトは席を外し、通信機に耳を当て連絡をする。
「…そうです。ノゾミ先輩じゃ門前払いされます。早く来て説明…え、僕がですか?了解です。」
ヒデトは、事務員と睨み合うノゾミを呼ぶ。勝ち誇るかのような笑みを浮かべ、ノゾミはヒデトの元に歩み寄る。
「如月さん、あとどんくらいで来るって?」
ヒデトは思った、あんたはそんなにこの事務員と張り合いたいのか…と。
「あと20分くらいだっていってますよ。」
まぁ、20分なら大丈夫だよな。教職員の方々からすればいい迷惑だけどね。
ノゾミは、鼻で笑いながらどこか満足そうにベンチへ腰をかける。
なんだろうな、この感覚…。ヌメヌメしてる感じ。
首をかしげながらノゾミは如月の到着を待つ。
すると、廊下の奥から騒々しい声が聞こえ始める。と同時にヒデトの携帯用端末に着信がはいる。
女子生徒が2階から事務室までかけ降りてきた。
「3年の先生が!…流血して、意識がない、んです。」
「今、警察…と、救急車読んだんですけど、事務の人にも…一応、連絡しろって。」
息が上がり、動揺した様子の女子生徒が手元のスマートフォンを震わせながら必死に状況を訴える。
「わかりました。一旦落ち着いて、近くに他の生徒はいませんでしたか?記憶がないならそれでいいです。」
事務員は女子生徒たちをなだめ、話を聞く。
「…日暮さんと、…月野、月野カナさんが、まだいると思い、ます。文化祭の作業を終えてから教室に向かったのでまだ、帰宅してないはずです。」
生徒の1人が涙ぐみながら、事務員に伝える。
苦悶の表情を浮かべて事務員は、現場に向かおうとする。
「あなた達は校門まえに待機して、警察や、レスキュー隊員がきたら誘導してください。」
生徒たちは頷き、校門へと駆け出す。
事務員は刺股を強く掴む。
「ちょっと、いいですか?」
肩を震わせる事務員の背に、ノゾミは手を添える。
「一応私たち、警察なんですが。」
「これはまだこちら側の問題です。まずは私たちから…。」
ノゾミを遮り、事務員の前にヒデトは立つ。
「ここからは、警察庁所属、秘匿事件特別捜査係上野班班長の、この上野ヒデトが管轄いたします。有事ですので、ご容赦ください。」
ー警部ー
上野ヒデト
ー警察庁ー
ヒデトは、警察手帳をかざして事務員を下げようとする。
どこか安堵したように、事務員は肩の力を緩める。
「しかし、ここは…。」
顔を近づけ、強張った目をヒデトは事務員にむける。
「何か、問題があった場合は公安を通じてご連絡ください。あなたは生徒の避難誘導をお願いします。」
静かに頷き事務員は避難誘導を始める。
ヒデトは口角をあげて、ノゾミを見下ろす。
「まぁ、有事は手続き関係ないですからね、先輩。」
手元でノゾミはグッドサインをだして、ヒデトに指示する。2人はインカムの電源を入れて、スーツを脱ぎ武装する。
「「付近の捜査員は現場周辺に集合、現時点で対象が把握不可、対象把握しだい担当の捜査員は現場突入を命ずる。」」
バットをケースから出しながら、ヒデトは他の捜査員に伝達する。
「ノゾミ先輩、いけます。」
手首足首を回し、背伸びをノゾミはする。
「…これより、突入する。」
目つきが変わり、冷徹な声色でノゾミはヒデトに指示する。
廊下には2人のきしむ足音がこだまする。
ご高覧ありがとうございます。今回からやっと書きたかったパートにはいり始めました。次の更新も是非楽しみにしていてください。
次回更新は、月曜日までの正午のどこかに更新します( ̄□ ̄;)!!




